執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2025年2月28日 14時50分
米関税が欧州にも拡大
ユーロ/円・ポンド/円、終盤に失速
ユーロ/円、ポンド/円は終盤に失速。新たな手掛かり待ちの状況から、方向性の見定めづらい展開となったものの、トランプ米大統領がEUへの25%関税の方針を示したほか、予定通り3月4日からカナダ・メキシコへの関税を実施することを明らかにしたため、投資家心理が圧迫されリスク回避の流れが強まりました。156.50円を挟んで推移していたユーロ/円は154.798円、189.00円を挟んで推移していたポンド/円は187.683円まで下げました。(各レート水準は執筆時点のもの)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
ECB、4月利下げの見通し高まるのか注目
3月6日にECB理事会が開催されます。政策金利は0.25%引き下げられ、預金ファシリティ金利は2.50%となる見込みです。また政策スタンスも、金利はなおも抑制的なレベルとして引き続き緩和方向であることが示されると思われます。また、次回の利下げのタイミングについては経済指標次第と突っ込んだ言及はないと思われますが、OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)市場における4月理事会での利下げ織り込み回数は半数程度しか織り込まれていないこともあり、ECB理事会後に4月利下げ織り込みが進む中でユーロの上値が重くなる可能性はありそうです。
また、ポンドは足許で底堅い展開が続いています。ユーロ圏が連続利下げする中で、英国が段階的な利下げに留まるなど、ユーロ圏との利下げペースの違いが要因と思われます。来週は、ベイリー英中銀総裁などの発言を通じてこの格差が広がるのかどうか着目されます。もっとも、市場の目線がトランプ関税へ向いていますので、米国から発信されるニュースによっては、値動きが荒くなり方向性が見定めづらくなる危険もあるのではないかと、考えています。
支持線割れで、下げ幅拡大(テクニカル分析)
ユーロ/円はディセンブルトライアングルの形状に近くなっており、サポートライン割れからの下げ幅拡大に警戒が必要と考えます。支持線と見られる154.00円を割り込んでくるようなら、152.00円を試す展開も考えられそうです。上方向は158.00円付近を推移する21日移動平均線がレジスタンスラインとして機能するのではないかと、考えています。
また、ポンド/円もユーロ/円と似たようなチャート形状で、再度187.000を割り込んでくれば、次は184.00円を目指す流れが強まるのではと見ています。21日移動平均線に頭を抑えられると考えていますが、仮にそこを超えたとしても、190.891円で推移する日足一目均衡表・基準線では上昇の勢いが一巡するのでは、ないでしょうか。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:EUR/JPY:152.000-158.000
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:GBP/JPY:184.000-191.000
3/3 週のイベント:
一言コメント
日本時間、3月1日にウクライナのゼレンスキ―大統領とトランプ米大統領がウクライナの鉱物資源の権益をめぐる合意文書に署名する見通しです。ただ、これが直接ウクライナ戦争の停戦実現にどのようにつながるのか、個人的には判断できずに悩んでいます。
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