<第188回>2025年2月1日
外為どっとコムの口座開設者のお客様を対象とした投資動向等に関するアンケート調査です。
分析・レポート作成
外為どっとコム総合研究所
調査実施期間
2025年1月24日(金)13:00~2025年1月28日(火)24:00
調査対象
外為どっとコムの『外貨ネクストネオ』に口座を開設のお客様層。
調査方法
外為どっとコムの口座開設者にメールでアンケート回答URLを送付。
今回の有効回答数は565件。
※必要項目を全て入力して回答して頂いたお客様を「有効回答数」としました。
問1:今後1カ月間の米ドル/円相場の見通しについてお答えください。
「今後1カ月間の米ドル/円相場の見通し」については、「米ドル高・円安方向」と答えた割合が39.1%であったのに対し「円高・米ドル安方向」と答えた割合も39.1%であった。この結果「米ドル/円予想DI」は±0%ポイントと前月の△24.7%ポイントからプラス幅が減少して中立となった。
調査期間前後の米ドル/円相場は155円を中心に方向感が定まらなかった。トランプ米大統領による関税政策に関する発言を受けて右往左往する展開となる中で、個人投資家の相場観も定まりにくかったと考えられる。
今後1カ月の米ドル/円相場の高値と安値の予想については、最高値が164.00円、最安値が140.00円となり、高値の平均値は158.09円、安値の平均値は152.16円であった。高値の中央値は158.00円、安値の中央値は153.00円だった。実勢レートが前回調査時(最終日)から1.4円程度切り上がったのに対して高値・安値の予想中央値は3~4円程度、米ドル高・円安方向にシフトした。
※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問2:今後1カ月間のユーロ/円相場の見通しについてお答えください
「今後1カ月間のユーロ/円相場の見通し」については、「ユーロ高・円安方向」と答えた割合が、27.6%であったのに対し「円高・ユーロ安方向」と答えた割合は33.8%であった。この結果「ユーロ/円予想DI」は▼6.2%ポイントとなり、前月の▼0.8%ポイントからマイナス幅がやや拡大した。
調査期間前後のユーロ/円相場は、上値の重い展開。欧州圏の1月購買担当者景気指数(PMI)・速報値の結果を受けて164円台へ上昇する場面もあったが勢いは続かず伸び悩んだ。ドイツ経済への懸念などから欧州中銀(ECB)による年内4回程度の利下げが予想される中で、ユーロの上値は重いと見る個人投資家が増加したと見られる。
今後1カ月のユーロ/円相場の高値と安値の予想については、最高値が171.50円、最安値が148.00円となり、高値の平均値は164.73円、安値の平均値は158.78円であった。高値の中央値は164.70円、安値の中央値は159.22円であった。前月調査時(最終日)の実勢レートかほぼ同水準だったのに対して、高値・安値の予想中央値は2~2.7円程度、ユーロ高・円安方向にシフトした。
※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問3:今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通しについてお答えください
「今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通し」については、「豪ドル高・円安方向」と答えた割合が、26.4%であったのに対し「円高・豪ドル安方向」と答えた割合は30.3%であった。この結果「豪ドル/円予想DI」は▼3.9%ポイントとなり、前月の△8.0%ポイントから弱気を示すマイナスに転じた。
調査期間前後の豪ドル/円相場は、98円台を上値に反落。中国の新興企業DeepSeek(ディープシーク)による人工知能(AI)モデルが米ハイテク市場に混乱をもたらすとの見方から世界的に株価が下落。リスク回避の動きから一時96円台へ下値を切り下げた。豪中銀(RBA)が2月の理事会で利下げを開始する可能性が高まったこともあって、個人投資家は円高・豪ドル安見通しに傾いたと考えられる。
今後1カ月の豪ドル/円相場の高値と安値の予想については、最高値が105.00円、最安値が90.00円となり、高値の平均値は99.40円、安値の平均値は95.59円であった。高値の中央値は99.17円、安値の中央値は96.00円だった。前月調査時(最終日)と比べ実勢レートが1円程度切り下がったのに対して、安値の予想中央値は1円程度、豪ドル高・円安方向にシフトした。
※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問4:今後1カ月間のポンド/円相場の見通しについてお答えください
「今後1カ月間の英ポンド/円相場の見通し」については、「英ポンド高・円安方向」と答えた割合が、26.4%であったのに対し「円高・英ポンド安方向」と答えた割合は34.0%であった。この結果「英ポンド/円予想DI」は▼7.6%ポイントとなり、前月の△12.3%ポイントから弱気を示すマイナスに転じた。
調査期間前後のポンド/円相場は、方向感が定まらない展開。トランプ大統領が中国に対する関税賦課を望んでいないことを示したことがドル売りで反応するとポンド/ドルが上昇。その動きに連れてポンド/円が上昇する場面もあったがその後は伸び悩んだ。英財政問題への懸念がくすぶっていることもあり個人投資家は円高・ポンド安に振れやすいと見ているようだ。
今後1カ月の英ポンド/円相場の高値と安値の予想については、最高値が204.30円、最安値が176.87円となり、高値の平均値は197.19円、安値の平均値は189.00円であった。高値の中央値は198.00円、安値の中央値は189.34円だった。前月調査(最終日)から実勢レートが2円程度切り下がったのに対して高値の予想中央値は前回から2円程度、ポンド高・円安方向へシフトした。
※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問5:今後3カ月程度の期間で買いたい、もしくは強くなると思う通貨はどれですか
今後3カ月程度の期間で買いたい、もしくは強くなると思う通貨はどれですか(ひとつだけ)と尋ねたところ、「米ドル」と答えた割合が44.8%で最も多かった。次いで「円」が30.8%、以下「トルコリラ(10.1%)」、「豪ドル(2.7%)」と続き、「メキシコペソ(2.5%)」と「南アフリカランド(2.5%)」が並んだのち、「ユーロ(2.1%)」と続いた。「米ドル」は3カ月連続で首位を維持したが、回答割合は前回の52.8%から低下した。他方、2位の「円」は前回の25.2%からやや上昇した。個人投資家の米ドル選好の姿勢に大きな変化はないが、「円」の先高観がいくぶん強まった様子も見て取れる。また、個人投資家が「トルコリラ」を有望視する動きも注目に値する。このところ、リラ/円相場は上値を切り下げつつ弱含みで推移しているものの、昨年まで数年続いた大幅安の展開には至っていない。トルコ中銀による大幅な利上げの効果もあって、インフレが落ち着きつつあることでリラの下落ペースが鈍っている。そうした中で、今回「トルコリラ」と答えた理由を自由記述形式で尋ねたところ、「スワップ(ポイント)が魅力」、「スワップ(ポイント)狙い」などの声が多く上がっていた。そのほか、「トルコのインフレ正常化」、「通貨の信頼を取り戻した時のポテンシャルを感じる」、「ウクライナ戦争の鎮静化」など、今後への期待感を理由に挙げる向きもいた。
問6:今後3カ月程度の期間で売りたい、もしくは弱くなると思う通貨はどれですか
問5とは反対に、今後3カ月程度の期間で売りたい、もしくは弱くなると思う通貨はどれですか(ひとつだけ)と尋ねたところ、「円」と答えた割合が37.2%と最も多かった。次いで「米ドル」が25.0%、さらに「ユーロ(9.7%)」、「メキシコペソ(6.0%)」、「中国人民元(5.5%)」、「英ポンド(4.6%)」、「カナダドル(3.7%)」と続いた。円は首位を堅持しており、回答割合についても前回(38.6%)と遜色ない結果であった。一方で、2位の「米ドル」は前回(19.9%)から割合がやや上昇した。問5の結果と合わせて考えると、個人投資家の「米ドル」選好の姿勢は今年に入りいくぶん弱まったように見える。「円」が最も弱くなると考える理由については、「日銀が利上げしても円が買われる様子はなかった」、「利上げしても金利差はたいして縮まらない」、「25bp程度の利上げでは円高に振れず、介入してもトレンド転換にはならない」、「次の利上げは7月頃までない見込み」など、日銀の金融政策に関する回答が圧倒的に多かった。日銀の利上げによって円安が止まると期待する個人投資家はごく少数のようだ。
問7:今年(2025年)の米ドル/円相場の「最高値」はどの水準になると思いますか
今回の特別質問として「今年の米ドル/円相場の最高値はどの水準になると思いますか」と尋ねたところ、「160円台」が26.7%で最も多かった。次いで、「163円台以上」が21.4%、「158円台」が21.1%と続き、以下「161円台(12.4%)」、「162円台(10.1%)」、「159円台(8.3%)」の順になった。回答者の3分の1以上が、昨年7月に付けた1986年以来の高値161.95円前後を年内に更新すると見ていることがわかった。「162円台」や「163円台以上」に上昇すると見る理由ついては、「米国のインフレ再燃でFRBは金利を下げられない」、「トランプ大統領の関税でドル買いが進む」、「(日銀の)利上げが難しい局面となり円安に振れていく」などの声が上がった。そのほか、「160円を超えれば勢いが付く」、「160円を超えれば節目が少なく、瞬間最大風速として165円を目指してもおかしくない」などの意見も出ていた。
問8:今年(2025年)の米ドル/円相場の「最安値」はどの水準になると思いますか
重ねて「今年の米ドル/円相場の最安値はどの水準になると思いますか」と尋ねたところ、「149円台以下」が43.0%で最も多かった。次いで、「150円台」が22.5%、「154円台」が12.9%と続き、以下「152円台(8.3%)」、「153円台(7.8%)」、「151円台(5.5%)」の順になった。昨年2024年の安値が9月に付けた139.58円前後(高値は7月に付けた161.95円前後)であることを考えると、「149円台以下」が最多となったのも頷ける。米ドル/円相場は、ひとたび下落が始まれば速度・値幅ともに大きくなってもおかしくないとの見方が反映された結果であろう。実際に、「149円台以下」と答えた理由として「為替介入などで急落のリスクがある」、「持ち高調整などで一時的に下落する場面がありそう」、「トランプ新政権の政策による市場の混乱」、などの声が上がった。やはり、継続的な下落(米ドル安・円高)局面が訪れるというよりは、一時的に下押しする場面があっても不思議ではないとの見方が多いようだ。

神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。

宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe) 2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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