執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
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今週の振り返り
今週の豪ドル/円は96.88円前後で、ニュージーランド(NZ)ドル/円は87.58円前後で週初を迎えました。
14日にはトランプ次期米政権の関税が当初予想されていたほど厳しいものにはならない可能性が報じられたことで、中国と交易関係の強い豪ドルやNZドルは買いで反応。豪ドル/円は97.96円前後、NZドル/円は88.73円前後まで上値を伸ばしました。その後、日銀の1月金融政策決定会合での追加利上げ観測が浮上したことや米インフレ指標の鈍化を受けて米ドル/円が大幅に下落した影響もあり、豪ドル/円は一時96.26円前後、NZドル/円は一時86.92円前後まで下落しました(執筆時)。
中国人民銀行が追加利下げも?
来週は豪州では注目の経済指標の発表はありません。中国では20日に1年物/5年物最優遇貸出金利(ローンプライムレート)が公表されます。中国人民銀行(PBOC)は2024年10月に1年物/5年物の金利をそれぞれ25bp(0.25%ポイント)引き下げました。その後の12月には2025年の金融政策をこれまでの「穏健な」から「適度に緩和的」に変更しています。同日夜にトランプ次期米大統領の就任式を控えており、トランプ次期政権の動きを見極めたいとの見方から、ブルームバーグのエコノミスト予想で利下げを予想しているのは1割程度しかいません。ただ、PBOCが米国との第2次貿易戦争に備える形で先行して追加利下げに踏み切る可能性もあります。
NZ四半期CPIでRBNZの利下げ幅拡大も
NZ準備銀行(RBNZ)は昨年8月以降3会合連続で合計100bpの利下げを実施しています。それでもNZ国内経済は弱くGDP成長率は2四半期連続で前期比でマイナスで、テクニカルリセッションとなっています。インフレに関しても四半期CPIは2022年4-6月期の前年比+7.3%をピークに+2.2%まで鈍化。RBNZのインフレ目標である1~3%の中央値近くでの推移となっています。弱い国内経済とインフレ鈍化を背景に次回(2月19日)の金融政策会合では50bpの追加利下げに踏み切ると市場は予想しています(オーバーナイト・インデックス・スワップ市場では約87%が50bp利下げを織り込んでいる)。22日にはNZ10-12月期消費者物価指数(CPI)が発表されます。市場予想は前年比+2.2%で前期から横ばいとなっていますが、ダウンサイドリスク(下振れの可能性)は依然として残っています。仮に予想を下振れて2.0%を下回った場合には、2月のRBNZ会合でのさらなる大幅な利下げを織り込みに行く動きにつながる可能性もありますので注意が必要です。
トランプ氏就任式、日銀金融政策決定会合にも注意
来週のメインイベントは2つ。20日のトランプ次期米大統領の就任式と24日の日銀金融政策決定会合です。トランプ氏は以前、「就任初日のみは独裁者になる」といった発言をしました。そのため、市場ではトランプ氏が就任初日にすべての国に対して一律に追加関税をかける、移民の強制送還などの大統領令を発行する可能性を警戒しています。実際にトランプ氏は前回(2017年)の大統領就任直後の1週間で6本もの大統領令を発しています。関税などの大統領令が市場の予想した規模のものとなるのか。それによって米ドルの動きが大きく変わりそうです。
また、日銀については、14日に氷見野日銀副総裁が1月の追加利上げの可能性について言及。「トランプ氏の就任後に金融市場が大きく荒れなければ、1月に追加利上げ」との観測報道が出るなど、市場は追加利上げを急速に織り込む形となっています。そのため、トランプ次期米大統領の動きを受けた円の動きにも要注意です。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は日足一目均衡表雲に上値を抑えられた状況が続きます。来週も雲の下限が目先の上値目途になりそうです。その上の水準では雲上限(98.96円前後)や1/7高値99.17円前後が意識されそうです。一方で下値は12/6安値の95.52円前後が意識されそうです。この水準を下抜けた場合は9/11安値の93.60円前後が次の目途となりそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表】
予想レンジ:AUD/JPY:94.50-98.50、NZD/JPY:85.00-89.00
1/20週のイベント:
01/20 (月) 10:00 中国 1年物/5年物ローンプライムレート公表(CPI)
01/22 (水) 06:45 NZ 10-12月期四半期消費者物価(CPI)
一言コメント:
年末に受けた健康診断の結果が出ました。昨年は食事の量や質を変えるなど、摂取するものを中心にダイエットをしました。結果は一昨年と比べてだいぶ改善が見れました。今年はこれに加えて、もう少し運動量を増やそうと考えています。
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中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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