執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
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今週の振り返り
今週の豪ドル/円は97.61円前後、ニュージーランド(NZ)ドル/円は88.19円前後で週初を迎えました。6日にはトランプ次期米大統領の関税政策を巡る報道を受けて、米ドルが全般的に売られる中で中国と交易関係の強い豪ドルやNZドルは買いで反応。その後、トランプ氏が報道内容を否定したことで米ドルは買い戻されましたが、米ドル/円の上昇幅が豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルの下落幅よりも大きかったことで、7日に豪ドル/円は99.16円前後、NZドル/円は89.70円前後まで上値を伸ばしました。ただその後は、豪州の冴えない経済指標の結果やストレートドルの下落を受けて、豪ドル/円は97.67円前後、NZドル/円は88.14円前後まで下落しました(執筆時)。
利下げへの注目は?
1月8日に発表された豪11月消費者物価指数(CPI)は前年比+2.3%と市場予想(+2.2%)以上に前月(+2.1%)から加速していました。ただ、値動きの大小それぞれ15%を除外した11月CPIトリム平均は前年比+3.2%と前月(+3.5%)から低下。この結果を受けて金利先物市場では2月の豪中銀(RBA)理事会での利下げ開始の織り込みが78%まで上昇しています。
ただし、2月の利下げに関しては後ずれする可能性はまだあると考えています。まず、11月CPIトリム平均は前月から低下しましたが、9月と同レベルであり、RBAのインフレ目標レンジ(2~3%)の上であること。そして、2月の理事会の前には12月CPIと10-12月期CPIの発表(1月29日)が控えています。特にRBAが重視する四半期ベースでのCPIの結果次第で2月の利下げの織り込み度合いが大きく変化する可能性は十分にあるでしょう。
来週は豪12月雇用統計が発表されます。豪州の労働市場は昨年10月を除くと6カ月以上非常に強い状況が続いています。失業率は昨年7月に4.2%まで上昇しましたが、11月には3.9%まで低下しています。そのため注目は雇用者数の増減とともに失業率になります。市場予想よりも悪い結果となれば、2月の利下げへの追い風になりそうです。
【豪月次CPIとCPIコアの推移】
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は日足一目均衡表雲に上値を抑えられた状況が続きます。来週は雲の下限が低下してきますので、目先の上値目途は雲上限(98.96円前後)になりそうです。その上の水準では心理的な節目となる100.00円が意識されそうです。一方で下値は日足一目均衡表基準線が目先の目途となりそうです。この水準を下抜けた場合は、12/31安値の96.93円前後が意識されそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表】
予想レンジ:AUD/JPY:96.00-99.5000、NZD/JPY:87.00-90.00
1/13週のイベント:
01/13 (月) 未定 中国 12月貿易収支
01/13 (月) 06:45 NZ 11月住宅建設許可件数
01/14 (火) 08:30 豪 1月ウエストパック消費者信頼感指数
01/16 (木) 09:30 豪 12月新規雇用者数
01/16 (木) 09:30 豪 12月失業率
01/17 (金) 11:00 中国 10-12月期四半期国内総生産(GDP)
01/17 (金) 11:00 中国 12月小売売上高
01/17 (金) 11:00 中国 12月鉱工業生産
一言コメント:
年末年始は子供と公園に行ったりと、久々にゆっくりと過ごしました。子供は2、3時間走り回っても元気。私はヘロヘロでした。
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中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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