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メキシコペソ/円 月間予想「ペソ円は7~7.4円のレンジを予想。司法制度改革や米国との関係悪化などがペソの悪材料に」FXレポート 2024年10月

 

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メキシコの金融政策

9月26日の会合でメキシコ中銀は政策金利を0.25%引き下げ10.5%とした。0.25%利下げは予想通りの結果に。決定は全会一致ではなくヒース副総裁が据え置きを主張した。
中銀は声明でインフレを巡る環境を踏まえ、一段の政策金利の調整が可能になると予想しているとしたが、インフレ見通しは依然として金融政策の引き締め姿勢を求めていると強調した。
また第4四半期のインフレ率をこれまでの予想の4.4から4.3%にコアインフレ率も3.9から3.8%に引き下げた。
8月下旬に公表した中銀の四半期報告書で4~6月期すべての地域で経済活動が低迷したとし、今年のGDP成長率を2.4%から1.5%に下方修正、25年も1.5%から1.2%に予想を引き下げた。その理由として司法制度改革を含む不確実性が続くことを挙げた。
インフレは低下傾向にあり、今年利下げを継続していくものと思われる。

メキシコの政治

9月11日にメキシコ上院は憲法改正を伴う司法制度改革法案を強行採決し可決した。この法案に対して10日にはデモ隊が上院に突入するなど国内でも、海外でも反対が大きな法案になっている。
裁判官を選挙で選ぶ制度には腐敗を招く可能性も高いとのレポートもあり、米国の駐メキシコ大使のサラザール氏は司法改革を批判した。これに対してロペスオブラドール大統領は関係を一時停止すると通告。
カナダもこの法案には反対しており、大統領は内政干渉と批判している。
ただ2026年にはUSMCA(米国、メキシコ、カナダ協定)の見直しを控えており、更新時にメキシコの法の支配の後退が批判されて交渉に影響を与える可能性がある。
メキシコに進出する企業はもともとメキシコの治安悪化に不満が強く、法案改正がメキシコへの投資にとってマイナス材料になる可能性があり、ペソの売り材料にもなっている。

メキシコペソの投資戦略

9月のドルペソは20.145ペソ付近まで上昇後に19.06ペソ付近まで下落した後に19.67ペソ付近で推移している。司法制度改革をめぐる混乱や米国とカナダとの関係悪化などがペソの悪材料になっている。
一方でFRBの0.5%の引き下げ、メキシコ中銀は0.25%の引き下げで金利差は依然として5.75%あり、このことはペソにとってはサポート材料になっている。
20ペソがレジスタンスになっておりここは中期的に重要なレベルと思われる。現状は政治でペソ売り、金利差でペソ買いの綱引きが続いており19~20ペソのレンジを予想する。次の大きな動きはシェインバウム大統領が現実的な政策にかじ取りをできるか、米国大統領選の結果待ちと考える。
ペソ円は9月11日に6.99円付近と一時7円を割ったが7.47円付近まで反発していた。しかし27日の自民党総裁選後に7.2円付近まで下落し7.22円付近で推移している。ここまで円売りの流れで反発していたクロス円全般にしばらく調整売りが続くものと思われる。
当面7.47円付近が中期的なレジスタンスとなり7~7.4円のレンジを予想するが、7円を完全に下抜けする場合は6.8円付近への下落を予想する。

メキシコペソ/円 週足チャート

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新興国通貨が高金利である理由について
新興国に分類される国々は概して政治リスクや財政リスクが先進国よりも高く、したがってその経済的信用度は相対的に低い水準にあります。こうした条件下では海外投資家の資金を呼び寄せられず、経済発展の支障となるため、金利を上げたり税金を安くしたりすることで、信用度の低さを補いうる投資環境を構築しようとします。そのため新興国通貨は一般に先進国通貨よりも高金利となる傾向にありますが、前述したように各種リスクが高い水準にあることから、長期的には先進国通貨に比べて価値が下がる(=通貨が下落する)条件を備えているともいえます。
 
YEN蔵
株式会社ADVANCE代表取締役 米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行で、20年以上にわたり、為替ディーラーとして活躍。現在は投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。ドル、ユーロなどメジャー通貨のみならず、アジア通貨をはじめとするエマージング通貨でのディーリングについても造詣が深い。また、海外のトレーダー、ファンド関係者との親交も深い。ブログ「YEN蔵のFX投資術」、メルマガ「YEN蔵の市場便り」で個人投資家に対して為替に関する情報を発信しており、人気を博している。
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