執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
X(Twitter):@gaitamesk_naka
日々、為替情報発信中!
今週の振り返り
今週の豪ドル/円は97.86円前後、ニュージーランド(NZ)ドル/円は89.67円前後で週初を迎えました。
25日(日)にレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラがイスラエルに対して大規模攻撃を実施したことを受けて、26日はリスクオフの動きが先行。豪ドル/円は97.26円前後まで下落しました。28日には豪7月消費者物価指数が発表されました。結果は前年比+3.5%で前月(+3.8%)からは低下したものの、市場予想(+3.4%)は上回りました。豪政府が7月からエネルギー料金支援などの生活補助策を実施していることからCPIが大きく低下することは市場も予想していたのですが、期待ほどインフレが鈍化していなかったため、豪中銀(RBA)の利下げ開始が遅れるとの見方が強まり、豪ドルが買われました。
NZドル/円は豪ドル/円同様に26日に89.13円前後まで下落しましたが、その後は米株価指数が底堅く推移したこともあり、じりじりと下値を切り上げる展開となりました。(執筆時)。
豪GDPは予想通り成長加速を示せるか?
来週は4日(水)に豪4-6月期国内総生産(GDP)が発表されます。豪州のみならず、米国や日本などの先進国ではGDPの構成項目の中で個人消費の割合が比較的大きいです(米国:約7割、日本:約6割、豪州:約5割)。その個人消費ですが、豪小売売上高を見ると、1-3月期と比べ、4-6月期は約0.6%増加していました。1-3月期はその前の期から約0.3%増加だったことから、個人消費の増加がGDP成長率の拡大の一助となりそうです。豪4-6月期GDPの市場予想は前期比+0.2%、前年比+0.9%です。RBAが8月に公表した四半期ごとの金融政策報告の中では、6月末時点のGDPは前年比+0.9%となっています。豪ドル/円は予想に対して結果がどうだったか上下ともに素直に反応しそうです。
【豪小売売上高の推移】
米雇用統計に注目が集まる
来週は6日に米8月雇用統計が発表されます。8月23日のジャクソンホール会議にて米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が9月利下げ開始を事実上宣言しました。その際に、利下げのタイミングや幅については「データや見通し、リスクバランスに依存する」と述べました。またパウエル議長はインフレが目標に戻ることへの自信を示しましたが、労働市場のさらなる減速には懸念を示しています。そのため、米8月雇用統計の結果次第では米国の9月の利下げ幅が25bp(0.25%ポイント)ではなく50bpになる可能性があります。市場の注目が集まっている分、来週の為替相場は米ドル中心の動きとなりやすいです。豪ドル/円は方向感が見出しにくくなりそうです。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円の目先の上値目途は8月20日高値の99.03円前後です。8月15日以降、約2週間にわたり99円前後がレジスタンスとして働いており、幾度となく上値を抑えられています。その上の水準では200日移動平均線(青点線)です。同線の近くには心理的節目となる100.00円や、今回の下げ相場(7/11~8/5)の半値戻し(99.74円前後)もありますので、相応の抵抗がありそうです。下値目途は、週足一目均衡表雲上限(96.66円前後)がサポートとして意識されそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表、200日移動平均線】
予想レンジ:AUD/JPY:96.00-100.00、NZD/JPY:88.50-92.00
9/2週のイベント:
08/31 (土) 10:30 中国 8月製造業購買担当者景気指数(PMI)
08/31 (土) 10:30 中国 8月非製造業購買担当者景気指数(PMI)
09/02 (月) 10:30 豪 7月住宅建設許可件数
09/02 (月) 10:45 中国 8月財新製造業購買担当者景気指数(PMI)
09/03 (火) 10:30 豪 4-6月期経常収支
09/04 (水) 10:30 豪 4-6月期四半期国内総生産(GDP)
09/04 (水) 10:45 中国 8月財新サービス部門購買担当者景気指数(PMI)
09/05 (木) 10:30 豪 7月貿易収支
一言コメント:
先日、スモーカー(燻製機)を買いました。以前、いただいたナッツの燻製が美味しかったので家で作る!と張り切って調理しました。結果は大失敗、ナッツが焦げて真っ黒になってしまいました。ちなみに、一緒に燻製した沢庵は大成功でした。水分の多いものと少ないものを一緒にやるのは難しいですね…またトライします。
お知らせ:FX初心者向けに12時からライブ解説を配信
外為どっとコム総合研究所の調査部に所属する外国為替市場の研究員が、FX初心者向けに平日毎日12時ごろからライブ配信を行っています。前日の振り返り、今日の相場ポイントなどをわかりやすく解説しています。YouTubeの「外為どっとコム公式FX初心者ch」でご覧いただけます。
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。