執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年8月29日 12時25分
米雇用指標などを吟味、値ごろ感からの安易な取引は控えよ!
米ドル/円は下げ一巡後に方向性見失う!
23日のパウエルFRB議長による政策転換を示唆する発言を受けた米ドル売りの流れが継続し、序盤に米ドル/円は143.444円まで下げました。しかし、ダウ平均株価が史上最高値を塗り替えるなど投資家のリスクセンチメントの改善から下げの勢いが一服すると、米ドル/円は米4-6月期GDPの上方修正も加わり145.553円まで持ち直しました。もっとも、米国の景気の先行き不安は払しょくされず、米ドル/円の上昇幅は限定されました。(各レート水準は執筆時点のもの)
FXのライブ解説、ドル円 短期反発余地あり、NZドル・南アフリカランドに注目 (2024年8月29日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
利下げサイクルの度合いは?
米国の金融政策の転換が間近に迫る中、マーケット参加者の関心は米国の利下げが、予防的利下げサイクルに留まるのか、それともそこを超えて経済を支えるべく本格的な利下げサイクルとなるのかに移りつつあります。この場合、予防的利下げであるなら、株高を伴って円はこれまでの円安基調へ回帰する期待が膨らむ一方、本株的利下げが必要な状況に陥れば、米景気後退に伴う株価調整とリスクオフの円買いへの不安が燻りやすくなると見られています。単月の指標結果で方向性が明確になるものではないものの、少なくとも来週発表される景気・雇用指標から、市場参加者は今後の方向を理解しようとするでしょう。
特に注目は、足もと急速に減速が懸念され始めた労働市場の動向です。前月に続いて失業率やNFP(非農業部門雇用者数)が悪化した場合は、FRBの9月利下げ幅拡大への期待が高まる可能性や米景気減速懸念から、ドル安・円高が強まりそうです。逆に、米経済に対する信頼性が保たれれば、株高・円安が強まると考えています。米ドル/円はどちらに向かうかは経済指標次第で、発表されるデータの強弱に一喜一憂する展開が見込まれます。そのため、予め方向性を決めた値頃感だけによる押し目買いや、戻り売りには注意が必要と考えます。
21日線を基準に強弱判断(テクニカル分析)
米ドル/円は、週ベースのローソク足は実体部が比較的小さく上下にヒゲが伸びた格好になっていますので、やや気迷い気味のため、足許の安値圏で上下両方向を見据えた動きになりそうです。判断基準としては、レジスタンスラインとして機能している21日移動平均線を越えられるかどうかと考えています。同線を抜けた場合、7月10日高値(161.808円)→8月5日安値(141.661円)の下落幅(20.147円)の38.2%戻しとなる149.357円付近が次の上値めどとして意識されてきそうです。かたや21日線に上値を抑えられれば、8月26日安値(143.444円)割れから、141.661円を試しに行くのではないでしょうか。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:142.500-147.500
9/2 週のイベント:
一言コメント
ホントにマーケットは先が見通せませんね。7月の円買い介入実施前まではいつ165円行くかワクワクしていましたが、今は140円割れがあるのか心配しています。安易に神頼みするべきではないのでしょうが、相場の神様がいるなら次の動きを教えて欲しいものです。
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