執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年6月14日 17時44分
米ドル安・円安の中、160円に向けて158円台定着できるか注目
米ドル/円、二転三転
157.00円を挟んで推移していた米ドル/円は、予想を下回る米消費者物価指数(CPI)を受けて、155.718円付近まで下げが強まりました。しかし、米FOMCでの利下げ回数見通しが3月時点の3回から1回にまでに引き下げられたことを受けて、米ドル/円は157.20円付近までの戻りを試しました。その後、米卸売物価指数の下振れでインフレ圧力の緩和が意識されると、米ドル/円は156円半ばまで下げたものの、今度は金融政策が据え置きだった日銀会合を受けて、158.257円まで上昇するなど、荒い値動きとなりました。(各レート水準は執筆時点のもの)
FXのライブ解説、米CPI・PPI下振れもドル円全戻し「いたちごっこ」 (2024年6月13日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
米ドル安・円安で方向性見極めづらい可能性も
来週は、米小売データやFRB高官の発言内容を横目に見ながら、本邦の介入ムードの高まり具合を見極めて行くことになるのではないでしょうか。今回のFOMCでは、米金融当局が現状のディスインフレ進展に満足していないため、引き続き高い水準でFF金利を維持したい意思は伝わりましたが、9月利下げの可能性が排除されたわけでもないようです。パウエル議長は「ほとんどのメンバーは会合中に予測をアップデートしない」と述べたほか、「経済見通しなどをあまり真剣に受け止めるべきではない」とも忠告しています。直前に発表された弱かった5月CPIの結果は、今回のドットチャートや経済見通しに十分に反映されていない可能性があります。来週の米当局者の発言内容次第では、9月利下げ期待や年内2回の利下げ観測が高まり、米ドルを圧迫する危険もあります。
また、円については目先積極的に買う理由は少ないように感じます。日銀会合では7月の会合で今後1-2年の新たな国債買い入れ計画を発表することが決まったほか、同時に追加利上げを行なうことに対しても扉を閉ざしませんでした。このこと自体は、金利上昇から円買いバイアスとなります。しかし、消費の弱さなどこの期待をさらに強めるファンダメンタルズが揃っているとも思われません。そのため、円のじり安案はなくなりづらそうです。来週は、ドル安・円安で方向感が掴みづらいかもしれませんが、円安バイアスの方が若干強いように感じられ、米ドル/円は160円を睨んで底堅い展開になるのではないでしょうか。
158円台定着がカギ(テクニカル分析)
155円半ばから156円半ばにかけて、短期トレンドラインが並んでおり、サポートの充実ぶりが窺え、上値をさらに伸ばす期待はあります。もっとも、4月以降で見るとお世辞にも158円台定着が出来たと言えないチャート形状であるため、先ずは、158円台定着が出来るかどうかが着目されます。定着に失敗するようなら、短期調整から155円半ばまでの後退もあり得るかもしれません。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:155.000-160.000
6/17 週のイベント:
一言コメント
米FOMC・日銀会合と気が休まらない1週間で、ご苦労された投資家の皆様も多かったと思われます。相場がない週末にゆっくりお休み頂いて、英気を養ってください。
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