午前の為替予想は… 150円台の重さを再確認 米重要イベント控え下値も限定
作成日時 :2024年3月4日8時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
ドル円予想レンジ
149.500-150.500円
前日の振り返りとドル円予想
1日のドル/円は約0.1%上昇して150.10円台で取引を終えた。植田日銀総裁が物価目標の達成が見通せる状況ではないと発言したことをきっかけに円売りが強まると一時150.70円台に上昇。しかし、米2月ISM製造業景況指数が予想外に悪化したことでドル売りに傾くと150.00円台へと上げ幅を縮小した。またしても年初来高値150.88円前後の上抜けに失敗した形で、市場はあらためて150円台後半の上値の重さを意識せざるを得ないだろう。
なお、週末2日に一部通信社が報じたところによると、日本政府はデフレ脱却を表明する方向で検討に入った模様だ。今月中旬に集中回答日を迎える春闘の動向などを踏まえ月内にも政府がデフレ脱却を宣言、その上で日銀が4月会合でマイナス金利を解除すると見るのが自然だろう。
もっとも、日銀は仮にマイナス金利を解除してもその後の追加的な利上げにはきわめて慎重な姿勢を示していることから、日本の実質金利がマイナス圏にとどまる状況(物価上昇率より金利のほうが低い状態)に当分変化はなさそうだ。日銀のマイナス金利解除および解除観測は為替の円安基調を反転させるには明らかに力不足であろう。
そうなると、ドル/円相場の当面の方向性はドルの動きがカギを握ることになる。今週のNY市場では明日5日に米2月ISM非製造業景況指数、6日に米1月JOLTS求人件数とパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言、8日に米2月雇用統計と、重要イベントが続く。本日のドル/円は先週1日の米2月ISM製造業景況指数が悪化したことによるドル売りの余韻と、日銀のマイナス金利解除観測で上値の重い展開が見込まれるものの、米国の重要イベントを前に下値も限られそうだ。
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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