年末にかけてもう一段ドル安の可能性、「どこまでドルが売られるのか」が焦点【マット今井 実践トレードのつぼ】
収録日:2023/12/14
元邦銀ディーラーの今井雅人氏が現状の世界経済を詳細に分析し、今後の為替相場動向まで踏み込み見通しを示します。
目次
0:00 FOMCふり返り
1:35 米利下げ&ドル円下落の可能性
2:39 ECBも利下げの可能性 ドル円に下落圧力
3:10 メキシコペソ円も下落の可能性
3:28 足元のトレード戦略
3:48 【PR】口座開設特別キャンペーン
要約
FOMCふり返り
今日は12月14日の朝なんですけども、数時間前にアメリカでFOMCがありました。正直、ちょっとびっくりしました。今回の会合では金利は据え置かれる、というのは事前に皆さん予想していましたので、実際据え置きになったことは全く驚きがありませんでした。FOMCの声明文の中身も当たり前のことしか書いていないので、これも予想通りでした。
問題はその後に行われたパウエルFRB議長の会見です。この会見の中でパウエルFRB議長が、今回の会合で利下げのタイミングについて議論したという発言をしました。これが非常に大きな影響を与えたということなんです。というのは、パウエルFRB議長も含め、これまでいろんなメンバーが、利下げのことに関しては議論をすることすら時期尚早であると、まだ早いということをずっと繰り返し言ってきたわけです。それが今回、利下げのタイミングを議論したということを言っているわけなので、いよいよ利下げをしていく準備があるということを言っているわけです。これは今までの発言と180度違いますから、非常に大きな転換を示す発言となっています。これを受けてドル全面安、株価も上がってます、金利も下がってます。
米利下げ&ドル円下落の可能性
これまでも利下げ観測が出ていたんですが、利下げをマーケットが先に織り込みに行くと、FRBが「そんなのまだ早いよ」と公式の発言をして冷やすという繰り返しでした。ところが、今回FRB自身が利下げの可能性を言い出したので、ステージがはっきり言って変わりました。こうなってくると、いよいよ本当に「来年いつ利下げがあるか」ということにマーケットが傾いていきます。僕は年末にかけて落ちついた動きになってくるんじゃないかと思っていましたが、こういう転換が出てくると別ですね。年末にかけてもう一段のドル安ということが現実化してきたなという感じがしています。
ドル円も一時期ポジション調整の売りが出たんですが、まだロングが溜まっているのでどこまで下がるのかと。前回の141円台を割ってしまうこともあるのかもしれません。それぐらい衝撃的な発言だったということです。
ECBも利下げの可能性 ドル円に下落圧力
明日ECBがありますけれども、ECBもひょっとすると利下げの話をすると思います。そういう意味でいうと、ユーロドルでドル安っていうのはなかなか進みづらいかもしれません。やはり一番狙われるのはドル円ということになると思いますから、ドル円に結構下落圧力がかかる可能性があるということです。ドル円に下落圧力がかかってくると、当然クロス円にも影響しますので、クロス円も下落傾向に入ることになります。
メキシコペソ円も下落の可能性
特にFRBが利下げをしていくと、メキシコ中銀も利下げムードに入っていきます。一蓮托生みたいなとこありますから、そうするとメキシコペソ円は一時期より安定したんですけど、ひょっとしたらまだ下がっていく可能性が出てきたなという感じがしています。
足元のトレード戦略
このニュースは他のニュースをも凌駕してしまうほどの大きな影響を持っています。これから数日間、あるいは年末にかけて「どこまでドルが売られるのか」、ここに注目が集まると思いますので、安易にドル買いをしていかないようにすることが大事だと思います。
今井雅人 氏
1962年生まれ、岐阜県下呂市出身。上智大学卒業後、1985年に三和銀行入行、1987年よりディーリングの世界に入る。1989年から5年間シカゴに赴任、その間多くの著名トレーダーと出会う。日本に戻ってからは為替部門に従事。2004年3月までUFJ銀行の為替部門の統括次長兼チーフディーラーを勤めていたが、同年4月に独立。内外の投資家にも太いパイプを持ち、業界を代表するトレーダーとして活躍するが、2009年8月第45回衆議院選挙に立候補し、初当選。現在は、経済アナリスト活動など多忙な毎日を送る。元東京外為市場委員会委員、東京フォレックスクラブ理事歴任。株式会社マットキャピタルマネージメント代表取締役。
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