高金利通貨であるメキシコペソについて、中長期にわたり買いポジションを保有する場合に知っておきたい情報、投資を行う視点で、現在の市場を分析します。
執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
Twitter:@gaitamesk_naka
メキシコペソ/円 上昇・下落のパワーバランス
メキシコペソ/円をトレードするうえで重要となる経済指標やイベントを個別に点検します。
9月の失業率は2.88%に低下(前月:2.93%)。ただし、低水準は統計基準が緩いからとの指摘もある。労働環境は厳しく、最低賃金(もしくはそれ以下)での労働者数は増加している。2005年に現在の方法で統計を開始して以降の最低水準は2023年3月の2.39%。
メキシコ中銀は3月に政策金利を11.25%に引き上げて以降、5会合連続で金利を据え置いている。声明では、現在の政策金利の水準をこれまでの『長期的に維持』から『しばらくの間』に修正。中銀の姿勢が幾分か和らいだことを印象付けた。11月29日にはロドリゲス・メキシコ中銀総裁が24年前半の金融政策決定会合で「利下げを議論する可能性がある」と述べている。
11月9日に発表されたメキシコ10月消費者物価指数(CPI)は前年比+4.26%となり、9カ月連続で鈍化。食品とエネルギーを除く10月コアCPIは+5.50%となった。メキシコ中銀のインフレ目標は3%±1%。
最大の貿易相手国である米国の景気に陰りが見え始めてきた。特に雇用関連の経済指標の悪化が目に付く。メキシコからの出稼ぎ労働者も多いことから注目材料となる。
国内を見ると、小売売上高(前年比)の上げ幅が縮小しているが、設備投資は引き続き堅調。メキシコ7‐9月期GDPは前期比+1.1%と堅調さを維持している。また24年6月に予定されているメキシコ大統領選挙を前に現政権によるインフラなどの公共投資増加が予想されている。
パワーバランス まとめ
メキシコ中銀は、5会合連続で政策金利を11.25%で据え置いている。インフレは中銀の目標レンジに迫っており、24年序盤には利下げが議論される可能性も示された。国内経済は堅調で、来年6月にメキシコ大統領選を控えインフラ投資増加も予想されている。
メキシコペソ/円、いまが買いどき?
メキシコ中銀は5月に利上げを停止して以降、5会合連続で政策金利を11.25%で維持している。インフレが中銀の目標レンジ近くへ鈍化しており、24年前半には利下げの可能性も浮上している。経済的に繋がりの強い米国経済が底堅いことはメキシコペソの支援材料。米国にはメキシコから数多く出稼ぎ労働者がいることから、米国の労働市場関連の経済指標に注目だ。そして米国からメキシコへの送金額の動向にも目を配りたい。
最新のメキシコペソ/円チャート
メキシコペソに関する経済指標予定
11月30日 21:00 10月失業率
12月1日 24:00 11月製造業PMI
12月1日 24:00 10月送金総額
12月7日 21:00 11月CPI
12月14日 28:00 メキシコ中銀オーバーナイト・レート(政策金利)発表
メキシコペソ 関連レポート
スワップポイント自動振替│初心者にもわかるFX積立(外貨積立)投資 | 外為どっとコムのFX積立
FX積立│初心者にもわかるFX積立(外貨積立)投資 | 外為どっとコムのFX積立
NEW!!スワップポイント最大50%増額キャンペーン | 外為どっとコムのFX
NEW!!らくつむ定期買付応援キャンペーン | 外為どっとコムのFX
当社取扱通貨のうち、いわゆる新興国通貨に分類されるトルコリラ・南アフリカランドおよびメキシコペソ(MXN)はインターバンク(銀行間為替市場)における流動性が主要国通貨に比べ相対的に低く、経済指標発表のみならず金融政策変更やその他政治的要因、さらには地政学的リスク等の要因による突発的な相場急変動が起こりやすい環境下にございます。また、こうした急変動時には実勢インターバンクレートのスプレッド(BidとAskの差)も平常時に比べ大幅に拡大する傾向にあり、その場合には当社でもやむなく提示スプレッドを一時的に拡大することがございます。あわせて、相場状況により「ダイレクトカバーの対象となる注文」の基準Lot数(最低数量)を一時的に変更する場合がございますので、あらかじめご承知おきくださいますようお願いいたします。これら新興国通貨のお取引、およびこれらを対象とするキャンペーンへのご参加に際しては、以上につきあらかじめご留意のうえ、ポジション保有時、特に法人会員様の高レバレッジ取引における口座管理には十分ご注意くださいますようお願い申し上げます。以上の新興国通貨それぞれのリスク、および直近時点でのリスクレポートにつきましては、こちらのページをご参照願います。
新興国通貨が高金利である理由について
新興国に分類される国々は概して政治リスクや財政リスクが先進国よりも高く、したがってその経済的信用度は相対的に低い水準にあります。こうした条件下では海外投資家の資金を呼び寄せられず、経済発展の支障となるため、金利を上げたり税金を安くしたりすることで、信用度の低さを補いうる投資環境を構築しようとします。そのため新興国通貨は一般に先進国通貨よりも高金利となる傾向にありますが、前述したように各種リスクが高い水準にあることから、長期的には先進国通貨に比べて価値が下がる(=通貨が下落する)条件を備えているともいえます。
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。