あまり動かない相場展開が続くが基本は押し目買い戦略【マット今井 実践トレードのつぼ】
収録日:2023/10/19
元邦銀ディーラーの今井雅人氏が現状の世界経済を詳細に分析し、今後の為替相場動向まで踏み込み見通しを示します。
目次
0:00 相場振り返り
0:55 米長期金利の動向
1:18 ベースはドル高傾向
1:57 相場展望
2:35 メキシコペソの動向
3:04 レンジ相場のトレード戦略
4:22 おしらせ
要約
この1週間は、そんなに大きなニュースはありませんでしたけども、先週アメリカの消費者物価指数が発表になりまして、これが年率で3.7%のプラスということで予想を若干ですけど上回ったということがありました。ただ予想より、ちょっと上回ったぐらいですから、これでFOMCに影響があるというわけではないと思います。11月1日のFOMCはもう金利据え置きでほぼ決まりだと思います。今マーケットは今年最後の12月のFOMCで利上げがあるかどうかということに注目が移ってきていますが、CPIの予想が若干良かったことで、12月の利上げ期待が少し膨らんでいると、こんな程度だと思います。
注目すべき点はアメリカの長期金利でして、10年債がいったん4.89%まで上がった後、4.5%ぐらいまで下がったんですけど、また4.8%台に戻ってきています。やっぱり長期金利は、下押しも一回確認しましたので、非常に強いという印象です。そうなってくると、ベースはやっぱりドルは強いということですから、ドル円にしてもユーロドルにしても、基本的にはドル高傾向ということになろうかと思います。ドル相場になってしまっているということで、クロス円はもみ合いに入ってしまっているということです。
ただ、ドルの上昇も非常にゆっくりでして、やはりドル円は150円を超えたところは介入警戒感が出るということと、ユーロドルもやっぱり1.05ドルはなかなか抜けていかないということで、どちらかと言えばドル高ですけども、あまり動かないというような相場展開になってきているところです。当面新しい材料がありませんので、こんな感じのモヤモヤとした相場は続くと思います。
ドル円は、日銀が物価見通しを引き上げるというようなニュースが出て、それに反応して一瞬148円台まで下がるってことはありましたが、ほんの数分で、なかなか下を買えないんですけども、やっぱり押し目買いというのが中心になっていると思います。150円を超えてくるようなところを買っていくと、また介入の噂とかでカツンと下げられたりしますから、これは注意は必要ですね。
それからメキシコペソですけども、これもやはりアメリカの金利が上がるとこの通貨にはマイナスの影響出るということで、しばらくは8.0~8.4円の間のレンジに入ってきていると私は見ていますから、その間での推移ということになろうかと思います。
こういう相場をどうやって乗り切るかってなかなか難しいんですけども、やはりレンジ相場だということを決めて、下がったら買い、上がったら売りということを続けるということしかないと思っています。例えばドル円で言えば、148円台あるいは149円の前半あたりのところはしっかり買っていって、150円手前のところは売る。それからユーロドルでいうと1.06ドル台に近いところはやはり売りだと思いますし、どちらかというと売りから、つまりドル買いから入った方がいいと思いますが、1.04ドル台のところはやっぱり一回買い戻すというような、そういうオペレーションを細かくやっていくという時期だと思います。
今月の重要な指標はもう発表してしまいました。今日はフィラデルフィアの連銀指数とか、そういうちょっと小物に若干反応することはあるとは思いますが、基本的には小動きというような1週間が今週も続くと思います。トレーダーの人にとってみると、ちょっとストレスがたまるような相場が続いて、私もなかなか利益が出ないで苦労しておりますけれども、こういう時もありますので、細かくレンジを取っていくということを根気にやっていきたいと思います。
今井雅人 氏
1962年生まれ、岐阜県下呂市出身。上智大学卒業後、1985年に三和銀行入行、1987年よりディーリングの世界に入る。1989年から5年間シカゴに赴任、その間多くの著名トレーダーと出会う。日本に戻ってからは為替部門に従事。2004年3月までUFJ銀行の為替部門の統括次長兼チーフディーラーを勤めていたが、同年4月に独立。内外の投資家にも太いパイプを持ち、業界を代表するトレーダーとして活躍するが、2009年8月第45回衆議院選挙に立候補し、初当選。現在は、経済アナリスト活動など多忙な毎日を送る。元東京外為市場委員会委員、東京フォレックスクラブ理事歴任。株式会社マットキャピタルマネージメント代表取締役。
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