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ドル円見通し:円安トレンドは簡単には止まらない!?上昇予想も147.50円以上には大量の売りオーダーあり 9月15日(金)志摩力男

配信期間が終了しました。
最新動画は【外為マーケットビュー】で公開しています。

動画配信期間:2023/9/15~2023/9/29

外為市場に長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。

時間がない方向け「30秒ポイント要約」振り返り
・ドル高推移
・ドル円は147.50円以上に大量の売りオーダー
・米CPIの影響は限定的
・ECB理事会は予想に反して0.25%利上げ
・原油がリバウンド
 →資源国通貨が強くなってきた
トレード展望
・ドル円上昇予想も上値が妙に重い
・絶対的な金利差は続く
・円安トレンドは簡単には止まらない

 

目次

0:00 ドル円相場振り返り・見通し
4:17 ユーロドル相場振り返り・見通し
7:02 資源国通貨が強い
8:23 円安の力強さ
10:16 おしらせ

要約

今週は月曜日に、ドル円はギャップダウンして始まりました。それは、その前の週の土曜日、読売新聞において植田日銀総裁の発言があり、マイナス金利解除もインフレ率が十分に上がるという見通しが立つならば、確信が持てれば選択肢としてあり得ると、そういうヘッドラインになっておりました。それに引っかかってドル円が下がったということになります。しかしながら、そのニュースを読むと、その条件が満たされないなら金融緩和を続けるということなので、政策の変化を探している海外の投機家も「マイナス金利解除があるのか」ということでビビッと反応しました。ちょっと驚きではありましたが、やはり下は堅くて、結局のところショートカバーでどんどん上がっていった、というのがこれまでの経緯です。

そして、このギャップがある時のテクニカルの教科書なんかに書いてあることは、「ギャップを埋めに行くんだけれども、完全には埋まらない」というのがセオリーになっております。このまま埋まらないで落っこっていくのか、それとも上がっていくのか、ここはちょっとよくわからないところではありますが、私個人の感想としては、結局下がらないから上がっていくのかな、という感じはしております。
ただ147.50円以上に行くと、妙に重い展開が続いております。これは、外為どっとコムの外為注文情報(板情報)というところを見ると、いっぱい売りオーダーが入っています。147.50円以上からなぜドルが重いのかというのは、この情報がマーケットの全てを表してるとは思いませんが、まあ売りが結構あるというところです。

今週ポイントとなったのが米CPIとECB理事会ですね。まずCPIの方を見ますと、予想とほぼ同じではあったんですが、CPIの対前年比が0.1%ほどちょっと高かったということと、コアの対前月比が0.1%高かった。予想よりは強い数字だったので、それに反応してアメリカの金利が上昇し、瞬間的にドル円も上昇しました。しかし、結局あまり上がらず、売りオーダーが多かったんだと思いますけども、昨日の東京市場で147.02円まで落ちています。147.02円では2回止まってるんですけど、ここにはゴツい買いオーダーがあるんだろうなと、買いたい人がいるんだろうなというのを象徴するような値動きだったと思います。一方、147.50円から上は、いっぱい売りオーダーがあるんだろうなということで、膠着しております。
ECB理事会では、政策変更なしという予想だったんですけど、0.25%利上げしてきました。これは立派だなと思います。しかし、マーケットは一瞬ユーロが上がっただけですぐに売られました。利上げをしてもここは精一杯のところで、おそらくもうECBは利上げないだろうと、最後の利上げになったんじゃないかと、そういう感触がマーケットにあるんだと思います。
この発表後にドイツ・フランス・イタリア、すべての金利が低下しました。これに反応してアメリカの金利まで下がったんですけれども、ユーロは大きく下落しました。しばらく長い間、狭いレンジでもみ合いだったので、どっちかに抜ければ走るな、という形にはなっておりました。欧州のファンダメンタルズが悪いことを鑑みれば、多分下なんだろうな、っていうことではあったんですが、利上げしたら上がるんじゃないかなと思ってたところもあるので、警戒もしてました。また、この2ヶ月ほど、ずっとダウントレンドを続けておりました。恐らくこのダウントレンドをずっとやっていくんじゃないかと思います。全体的な図を見ると、7月の1.1275ドルがトップだった感じの動きになっています。恐らくもうちょっと下がってくるんじゃないかな、っていうような形はしてると思います。まあ、ドル高ですね。

ユーロとポンドは素直に落ちました。ただ、昨日は豪ドルなんかはあまり下がっておりません。カナダドルも強い。資源国通貨がちょっと強くなってきております。これは、原油が急にリバウンドしてきており、一昨日のOPECのレポートありましたけれども、10-12月期、300万バレルほど需要過多・供給不足だってことで、これは過去あまりなかったレベルの供給不足なので、上がるんじゃないかっていう予想が結構出てきております。やっぱり、サウジとロシアが組んで協調減産してますけれども、あれがやっぱり効いてますね。昨日は90ドル台に乗せてますけれども、もうちょっと行くんじゃないかなっていう感じはしております。

原油が上がってくると、日本の貿易赤字がまた心配になってきます。最近、日本の貿易収支もほぼフラットに戻ってきたので、これで一難去ったと、貿易赤字がなくなったんだから、円安ももう終わるんじゃないか、という希望的観測が結構マーケットに流れてたりします。しかし、ちょっと甘いんじゃないかなと僕は個人的には思っております。
ドル円は昨年150円をつけまして、調整もありましたが、これまでのところずっと上げ相場になっております。来年どこかでアメリカの金利はピークを打ち、6月ぐらいから実際に利下げ局面に入ると言われております。日本もマイナス金利の解除が来年どこかであるんじゃないかということで、日本の金融政策は引き締めに転じる、アメリカは緩和方向に向かうということで、ドル円もここがピークで下がるんじゃないかとおっしゃられる人も最近すごい増えてます。ただ、今年の最初の頃、多くの人はどう予想してたかというと、同じ理由で115円とか120円に落ちる、っていう風に言ってる人がほとんどだったと思います。しかし、今年もやっぱり円安の一年だった。日本のファンダメンタルズはそんな簡単なことで改善するほど生易しいほどものではないと思います。この円安の力はものすごく強いです。根本的にあるのは絶対的な金利差なんですけれども、アメリカが利下げしたとしても多分4%ぐらいで終わると思います。日本は利上げしたとしてもマイナス金利が0になるか0.5%になるかわからないですけれども、ちょっとでも景気が崩れてくると、また利下げするような経済です。絶対的な金利差はずっと続くので、この円安トレンドは簡単には止まらない。僕は155円ぐらいだと思うんですけど、上がっていくところで1回介入が入って、ドーンと下がる局面はあると思うんですが、そこはまた買い場になって、上昇していく相場になっていくんじゃないかなという風に考えております。

 
志摩力男氏96_130.jpg 志摩力男 氏
慶應義塾経済学部卒。1988年ー1995年ゴールドマン・サックス、2006-2008年ドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダーを歴任、その後香港にてマクロヘッジファンドマネージャー。独立した後も、世界各地の有力トレーダーと交流があり、現在も現役トレーダーとして活躍。
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