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FXの高金利通貨「リラ・ペソ・ランド・人民元のリスクをチェック」第一生命経済研究所 主席エコノミスト 西濵 徹氏

高金利通貨のリスクをチェック

高金利・新興国通貨のFX取引について、主にリスクにフォーカスし、簡潔にまとめました。

【トルコリラ】

トルコリラ相場を巡っては、5月の大統領選でエルドアン大統領が再選を果たし、その後に行われた閣僚人事でシムシェキ財務相、エルカン中銀総裁という改革派官僚が任命されたものの、リラ相場の安定化策が撤廃されるとの見方を反映して調整の動きを強める展開が続いた。

一方、新体制の下ではインフレ抑制を目的に大幅利上げを実施するとともに、マクロプルーデンス政策の簡素化に取り組むなど、正統的な政策運営に舵を切る動きをみせており、リラ相場の安定に向けた「本気度」の高さを示していると捉えられる。ただし、頭打ちしてきたインフレ率は早くも再加速に転じている上、当面はリラ安も重なり一段と上振れする可能性もあり、物価高と金利高の共存により景気に悪影響が出ることが懸念される。

過去には中銀総裁の更迭が繰り返されてきたことを勘案すれば、リラ相場の安定が実現するか否かは、エルドアン大統領の堪忍袋の緒の行方次第と捉えることが出来る。

トルコリラ円 最新FXチャート 

【トルコリラ/円 週足】

トルコリラ円 週足チャート

【メキシコペソ】

メキシコペソ相場を巡っては、中銀が米国との金利差を維持することを目的に米FRBと歩調を併せる形でタカ派姿勢を強めたことも追い風に、米ドル高が意識されるなかでも比較的堅調に推移してきた。さらに、足下ではインフレが鈍化しているにも拘らず、中銀は政策金利を高水準で維持しており、実質金利のプラス幅拡大による投資妙味の高まりを追い風に資金流入が活発化する動きもみられる

実体経済は輸出の8割を占める米国経済の動向の影響を受けやすいなか、米国景気の堅調さは移民送金を通じて景気を下支えする一方、ペソ高に伴うペソ建で換算した目減りが家計消費の重石となることが懸念される。

メキシコ中銀は年内いっぱいについて政策金利を据え置く意向を示しているが、ペソ高の弊害が顕在化する動きもみられる。さらに、現政権は財政出動に及び腰の姿勢をみせるなか、米国の景気減速をきっかけに景気への不透明感が意識され、ペソ相場を巡る状況が一変する可能性はある。

メキシコペソ/円 最新FXチャート

【メキシコペソ/円 週足】

メキシコペソ円 週足チャート

【南アランド】

南アランド相場を巡っては、国際商品市況の動向に連動する傾向がある一方、同国経済については慢性的な電力不足が幅広い経済活動の足かせとなっている上、事態打開に繋がるかは見通しが立たない状況が続いている。高止まりしてきたインフレは鈍化しており、中銀はこうした動きを好感して利上げ局面の休止に舵を切るなど、タカ派姿勢は幾分後退する動きがみられる。他方、インフレ鈍化を受けて実質金利はプラス幅が上昇する動きが確認されるなど、一見すれば投資妙味が向上する兆しもみられる。

ただし、電力不足が経済活動の足かせとなっている上、近年は経済的な結び付きを強める中国経済も不透明感が強まるなど、内・外需双方で景気の足を引っ張る材料が山積している。

懸案だったBRICS首脳会議は滞りなく終了したものの、2024年には次期総選挙が予定されており、与野党を巻き込む形で政局が混乱する可能性も懸念されるなど、ランド相場には不透明要因が山積している。

南アランド/円 最新FXチャート

【南アランド/円 週足】

南アランド円 週足

【人民元】

中国当局は昨年末にゼロコロナ終了に舵を切ったものの、足下の中国景気は早くも息切れが意識されている。さらに、景気減速懸念を受けてインフレ率はマイナスとなっている上、不動産市況の低迷による資産デフレの懸念も相俟ってデフレに陥ることが警戒されている。

共産党、及び政府は景気下支えに向けた取り組みを強化する姿勢をみせているものの、過去に実施した過大な財政出動による副作用を警戒する姿勢を崩しておらず、財政面での「実弾」は乏しいなどその効果は不透明なところが多い。

こうした状況に加え、米FRBとの政策の方向性の違いも影響して人民元相場には調整圧力が掛かりやすい

ただし、人民元相場を巡っては当局が基準値設定に際して「カウンターシクリカル(景気変動抑制的)要因」を駆使するほか、外貨準備率の引き下げなどにより一方的な人民元安の進展に歯止めを掛ける動きもみられる。こうした状況ながら、当面の人民元相場は景気の不透明感を材料に上値の重い展開が予想される。

人民元/円 最新FXチャート

【人民元/円 週足チャート】

人民元円 週足チャート

高金利通貨特集│初心者にもわかるFX投資 | 外為どっとコムのFX

店頭FX(外国為替保証金取引)における新興国通貨取引のリスクについて
当社取扱通貨のうち、いわゆる新興国通貨に分類されるトルコリラ・南アフリカランドおよびメキシコペソ(MXN)はインターバンク(銀行間為替市場)における流動性が主要国通貨に比べ相対的に低く、経済指標発表のみならず金融政策変更やその他政治的要因、さらには地政学的リスク等の要因による突発的な相場急変動が起こりやすい環境下にございます。また、こうした急変動時には実勢インターバンクレートのスプレッド(BidとAskの差)も平常時に比べ大幅に拡大する傾向にあり、その場合には当社でもやむなく提示スプレッドを一時的に拡大することがございます。あわせて、相場状況により「ダイレクトカバーの対象となる注文」の基準Lot数(最低数量)を一時的に変更する場合がございますので、あらかじめご承知おきくださいますようお願いいたします。これら新興国通貨のお取引、およびこれらを対象とするキャンペーンへのご参加に際しては、以上につきあらかじめご留意のうえ、ポジション保有時、特に法人会員様の高レバレッジ取引における口座管理には十分ご注意くださいますようお願い申し上げます。以上の新興国通貨それぞれのリスク、および直近時点でのリスクレポートにつきましては、こちらのページをご参照願います。
新興国通貨が高金利である理由について
新興国に分類される国々は概して政治リスクや財政リスクが先進国よりも高く、したがってその経済的信用度は相対的に低い水準にあります。こうした条件下では海外投資家の資金を呼び寄せられず、経済発展の支障となるため、金利を上げたり税金を安くしたりすることで、信用度の低さを補いうる投資環境を構築しようとします。そのため新興国通貨は一般に先進国通貨よりも高金利となる傾向にありますが、前述したように各種リスクが高い水準にあることから、長期的には先進国通貨に比べて価値が下がる(=通貨が下落する)条件を備えているともいえます。
 
株式会社第一生命経済研究所 経済調査部・主席エコノミスト
西濵 徹(にしはま・とおる)氏
2001年3月 一橋大学経済学部卒。2001年4月 国際協力銀行(JBIC)入行。同行では、ODA部門(現、国際協力機構(JICA))の予算折衝や資金管理、アジア(東アジア・東南アジア・南アジア・中央アジア)向け円借款の案件形成・審査・監理、アジア・東欧・アフリカ地域のソブリンリスク審査業務を担当。2008年1月 第一生命経済研究所入社。2011年4月主任エコノミストを経て2015年4月より現職。2017年10月より参議院第一特別調査室客員調査員(国際経済・外交、政府開発援助等)(兼務)。 担当は、アジア、オセアニア、中東、アフリカ、ロシア、中南米諸国など、新興国・資源国のマクロ経済及び政治情勢分析。
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