ドル円は137円台で一旦底を付けたか【マット今井 実践トレードのつぼ】
収録日:2023/7/20
今井雅人氏が現状の世界経済を詳細に分析し、今後の為替相場動向まで踏み込みます。
目次
0:00 相場振り返りと展望
0:36 FOMC パウエル議長会見に注目
1:30 ECB理事会 利上げ継続なるか
1:47 日銀会合 金融緩和政策の行方
4:07 基本的には円安方向 ドル円・クロス円の押し目買い戦略
要約
相場の方向感が欠け、この状況はおそらく1週間程度続くと考えられます。来週にはFOMC、ECB、日銀の政策会合という3連発でビッグイベントがありますので、それまでは動きが限定的になる可能性が高いです。ドル円は一時期137円台まで下落しましたがおそらくここが底で、一方で140円台でオプション絡みの売りも見られますので、その中でのレンジ内ということになると思います。
まず、FOMCの方向性についてですが、0.25%の利上げはほぼ確定と考えられます。問題は、今年内にさらに2回の利上げがあるという見通しについて、最近のアメリカの消費者物価指数が予想よりも3.0%低いことから、利上げペースがトーンダウンする可能性がある点です。そのため、パウエル議長の会見の内容が注目されます。個人的には、インフレは確実に収まってきていると考えています。
次に、ECBは0.25%の利上げを予定しています。今後ですが、CPIが5.5%と高止まりしているため、利上げが続くというメッセージが示されていると思います。
そして、金曜日の日銀の政策会合ですが、一部には、YCCの変動幅を拡大するなど、金融緩和政策の修正があるのではないかとの憶測が飛びました。そのため、一部では円買いが進み、137円まで下落した原因となりました。しかし、私はこれは過剰反応だと考えています。
日銀は来週の会合で何も変更しないと予想していますが、それが100%ではないため、内容は確認したいと考えています。日銀の現メンバーの多くは、まだ基調的な2%の安定的な物価上昇状況にはない、つまり完全にデフレから脱却していないという考えを示しています。また、来年以降物価が下落する可能性があるという予測があるため、金融緩和政策を修正する意味はないと考えます。マーケットは警戒していますので、もし何も変更しなければ円売りになる可能性があります。
最後に、私の戦略としては、基本的に円安方向を見ています。そのため、ドル円やクロス円の押し目買いが良いと考えています。特に、メキシコペソ円は一時期8.17~8.18円程度まで下落しましたが、その後8.35円前後まで回復しています。この通貨は下がると買いが出る傾向があることがよくわかりました。したがって、このあたり通貨の押し目買いを狙うのがいいのではないかと思います。
明日ぐらいまで、ドル円の140円台のオプションの売りがあるそうですので、来週頭ぐらいにひょっとしたら上に抜けることもありうるかもしれませんが、それも程度問題だということで冷静に捉えておきたいと思います。そういう踊り場の1週間ですので、過剰期待しないでレンジを決めてトレードをしていきたいと思っています。
今井雅人 氏
1962年生まれ、岐阜県下呂市出身。上智大学卒業後、1985年に三和銀行入行、1987年よりディーリングの世界に入る。1989年から5年間シカゴに赴任、その間多くの著名トレーダーと出会う。日本に戻ってからは為替部門に従事。2004年3月までUFJ銀行の為替部門の統括次長兼チーフディーラーを勤めていたが、同年4月に独立。内外の投資家にも太いパイプを持ち、業界を代表するトレーダーとして活躍するが、2009年8月第45回衆議院選挙に立候補し、初当選。現在は、経済アナリスト活動など多忙な毎日を送る。元東京外為市場委員会委員、東京フォレックスクラブ理事歴任。株式会社マットキャピタルマネージメント代表取締役。
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