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来週の為替予想(米ドル/円)「植田日銀『緩和策継続』で『追加緩和』ではない、過剰な円安期待は厳禁」ハロンズ FX 2023/4/15

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執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人

目次

執筆日時 2023年4月14日 16時20分

植田日銀『緩和策継続』で『追加緩和』ではない、過剰な円安期待は厳禁

4月10日週の米ドル/円は米雇用統計後の上昇幅を失う

就任会見に臨んだ植田新日銀総裁が、金融政策について「現状の経済、物価、金融情勢を鑑みると継続が適当」との考えを示すと円売りが優勢になり、米ドル/円は134.050円と1カ月ぶりの高値を記録しました。しかし、米インフレ圧力後退を意識させる消費者物価指数や卸売物価指数を受けると、米ドル/円は132.024円まで下落し、7日の米雇用統計以降の上昇幅のすべてを失いました。(各レート水準は執筆時点のもの)

※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。

差し引き米ドル安か

直近の米ドル/円は、米経済指標の強弱を受けて振幅しているものの、明確な方向感はなくトレンドが醸成しにくい状態が続いています。来週も、日米のファンダメンタルズに一喜一憂しながらも、米ドル/円は方向性の見定めづらい展開と見るのが妥当なのかもしれません。しかし、筆者は米ドル/円の下振れを警戒したいと考えます。

植田日銀総裁は緩和策の継続姿勢を示しましたが、債券市場の機能度低下などのため、追加緩和のハードルは高いと思われます。つまり、黒田総裁が再三唱えてきた「必要があれば躊躇(ちゅうちょ)なく『金融緩和』を講じる」との呪文の効力はすでに失われています。そのため今回の緩和策継承は、昨年のような円安地合いの醸成にはつながりづらく、あくまでも円高を和らげる効果に留まるのではないでしょうか。

一方で、ドル高バイアスは失速気味です。インフレ指標の鈍化で、FRBに対し年内の利下げ開始観測が膨らみつつあります。OPECプラスの減産合意などで、商品価格が持ち直し始めているほか、米国のインフレ率がまだFRBの目標値を上回る中で、FRBが素直に利下げに舵を切るとは考えにくいですが、来週発表の米4月NY連銀製造業景気指数(4月17日)、同製造業・サービス業PMI(4月21日)がさえない結果となれば、市場は早期利下げを織り込む動きを活発化させるかもしれません。日銀の緩和策修正の後退とFRBの早期利下げ観測は円安・米ドル安の綱引きを引き起こし、方向性を見定めづらくさせますが、米国の利下げ観測の方が市場へのインパクトは強いでしょう。米ドル/円は下値警戒が残りそうな雰囲気です。また、本格化する米企業決算で、3月の米地銀破綻の影響が見られるかどうかも注目されます。

米ドル/円、トライアングル脱却には燃料不足

テクニカル分析では、米ドル/円は昨年10月21日高値(151.942円)からの下降トレンドラインと、1月16日安値(127.225円)からの上昇支持線に挟まれたトライアングル状態でトレンドは出ていません。また、日足一目均衡表での三役逆転からの下方ブレイクも意識される一方、3月24日安値(129.647円)を起点とした上昇チャネルに沿って底堅い展開もイメージでき判断に迷います。

一目均衡表の雲を下抜けて下に走ったとしても、チャネル下限が推移する131.37~131.50円付近で支えられれば、次はチャネル上限に向けて切り返す期待があります。また、チャネル下限を下回るようなら、次は下値支持線が走る130.200円付近まで視線が下がりそうです。ただ、トライアングルを抜け出すにはまだエネルギーが足りないように感じます。

【米ドル/円チャート 日足】

USDJPYチャート
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:
USD/JPY:130.000-134.000

4/17 週のイベント:

4/17(月) 21:30 米国 4月NY連銀製造業景気指数
4/18(火) -米国 バンク・オブ・アメリカ(BofA)・ゴールドマン、1-3月期決算発表
4/18(火) 21:30 米国 3月住宅着工件数
4/18(火) 26:00 米国 ボウマン米FRB理事、発言
4/19(水) -米国 モルガン・スタンレー、1-3月期決算発表
4/19(水) 13:30 日本 2月鉱工業生産・確報値
4/19(水) 27:00 米国 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
4/20(木) 6:30 米国 グールズビー米シカゴ連銀総裁、発言
4/20(木) 8:00 米国 ウィリアムズ米NY連銀総裁、発言
4/20(木) 8:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
4/20(木) 8:50 日本 3月貿易統計
4/20(木) 21:30 米国 新規失業保険申請件数
4/20(木) 21:30 米国 4月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
4/20(木) 23:00 米国 3月中古住宅販売件数
4/20(木) 23:00 米国 3月景気先行指標総合指数
4/20(木) 25:00 米国 ウォラー米FRB理事、発言
4/20(木) 25:20 米国 メスター米クリーブランド連銀総裁、発言
4/20(木) 28:00 米国 ボウマン米FRB理事、発言
4/21(金) 6:00 米国 ボスティック米アトランタ連銀総裁、発言
4/21(金) 8:30 日本 3月全国消費者物価指数(CPI)
4/21(金) 22:45 米国 4月総合購買担当者景気指数(PMI、速報値)
4/21(金) 29:35 米国 クック米FRB理事、発言

一言コメント

今岸田政権は広島G7サミットを成功させ、支持率をもう一段上げて解散総選挙に臨むのではとの見方が自民党内で強まっているようです。もしそれが事実なら、7月会合まで日銀は政策修正に手をつけない可能性も出てきそうですね。

 
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