オーストラリアの通貨「豪ドル」をデイトレードする上でFX個人投資家が事前にインプットしておきたいトレードシナリオなどを、ギュッとまとめました。
執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
目次
- ▼今日の豪ドル トレードシナリオ
- 昨日から現在までの相場
- 今日のメインシナリオは
- この先の個別相場変動
- 豪ドル/円 最新チャート分析
- 今後の注目経済指標・イベント
- 「ぴたんこテクニカル」内「お天気シグナル」の分析結果
今日の豪ドル トレードシナリオ
昨日から現在までの相場
・WTI原油価格は大幅続落。スイスの金融大手機関の経営不安が意識されたことで金融市場全体でリスク回避姿勢が強まった。終値は前日比-3.72ドルの1バレル=67.61ドル(3月15日)。
・3月7日に豪準備銀行(RBA)は金融政策決定会合を開催。市場予想通りとなる0.25%の利上げを実施し、政策金利を3.60%とした。声明は前月から比べるとタカ派度合いが弱まった。
・3月1日に発表された、豪1月月次消費者物価指数(CPI)は前年比+7.4%となり、前月(+8.4%)からインフレは鈍化した。
・豪1月雇用統計は、雇用者数は市場予想(2万人増)に反して1.15万人の減少となったほか、前月分も2万人減に下方修正された。失業率は3.7%、労働参加率は66.5%とともに前月から悪化した(2月16日)。
今日のメインシナリオは
豪雇用統計!雇用が強くてもRBAは利下げに転じる?
本日は豪2月雇用統計の発表が予定されている。
RBAは今月7日の理事会で0.25%の利上げを実施したが、声明では「今後数カ月にわたり金利を引き上げる必要」という文言が、「金融政策のさらなる引き締めが必要」に置き換わっていた。これは豪州の雇用者が12月、1月と2カ月連続で減少していたことにより、豪労働市場のひっ迫が多少なりとも改善されたためだ。また月次CPIが鈍化傾向を示したことも要因となっている。市場はRBAの声明の変化を「RBAがタカ派度を緩めた」と判断している。
現時点で市場はRBAが4月に利上げをする可能性は「ほぼない」と見ている。これを覆すには、豪雇用統計の結果が予想を大幅に上回ること、29日に発表される豪2月月次CPIでインフレ再加速が確認されることが必要条件となりそうだ。そのため豪雇用統計が堅調だった場合は、豪ドルへの影響は一時的なものと予想している。一方で、3カ月連続で雇用者数が減少していた場合、RBAが既にハト派に傾きつつある現状を勘案すると、RBAの年内利下げ開始への思惑が台頭し、豪ドル売りで反応する可能性が考えられる。
豪ドルはリスクマインドに敏感な資源国通貨である。上記以外の材料では、米国の景気動向や、今夜発表される欧州中央銀行(ECB)の政策金利と欧州圏の景気見通しを受けたリスクマインドの遷移が豪ドル相場に大きく影響を与えそうだ。
この先の個別相場変動
■豪雇用者数が前月から減少
⇒豪州の雇用のひっ迫が解消されつつある
⇒豪州のインフレ鈍化期待が高まる
⇒RBAの年内利下げ期待が浮上
⇒豪ドルは売られる
豪ドル円 最新チャート分析
今後の注目経済指標・イベント
豪2月雇用統計
世界的な株価動向
ECB会合
「ぴたんこテクニカル」内「お天気シグナル」の分析結果
外為どっとコムのテクニカル分析ツール「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」では豪ドル/円、豪ドル/米ドルともに曇り空に太陽が覗いている。5時に豪ドル/米ドルのボリンジャーバンドで買いシグナルが点灯。
【情報提供:外為どっとコム】
<「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」 詳細はこちら>
- ※ 「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」とは、選択した通貨ペア・足種に対して、複数のテクニカル分析を行った結果をパネル形式で一覧表示することにより、直感的に相場状況を把握することができるツールのことを指します。
- ※また、高機能チャート(パソコン版)/(スマホ版)では「取引分析」 を選択することで、外為どっとコムの『外貨ネクストネオ』でお取引をされているお客さまの指値やストップ注文の状況をチャート上に表示が可能です(「外為注文情報」)。
- ※ なお「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」や、「外為注文情報」は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家ご自身でなさるようお願い致します。
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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