上昇1カ月、下落3日【知っトク!メキシコペソ】2023/3/14
新興国通貨であり、アメリカ経済との親和性の高いメキシコペソについて、投資に役立つ「知ってトクする」情報をまとめました。
執筆:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
堅調だったメキシコペソの変調
順調に上昇してきたメキシコペソ/円が足元で変調をきたしている。先週8日にはメキシコ中銀の追加利上げ期待などから1ペソ=7.643円前後まで上昇していたが、9日に発表された同国の2月消費者物価指数(CPI)が予想を下回る伸びにとどまったことで利上げ期待がやや後退。加えて米国のシリコンバレー銀行(SVB)が資金難による経営破綻に追い込まれたことで市場心理が悪化する中、10日には一時7.2円台へと続落した。週明け13日にはSVBの破綻が金融システム不安に繋がるとの懸念からリスク回避の動きが強まり一時6.907円前後まで下落して1カ月ぶりの安値を付けた。1カ月かけて積み上げた上昇幅を僅か3日でほぼ吐き出した格好だ。
リスク回避の動きが重し
当面は、SVB問題の行方がペソ/円相場を左右することになりそうだ。SVBは新興テクノロジー企業が中心という顧客基盤や、長期債に偏った運用方針などの特殊性から、他の銀行への波及リスクは小さいと見るが、中小規模の取引銀行の経営に不安を感じた米国人がもし預金を一斉に引き出せば資金繰りに窮する銀行が出ても不思議ではない。その意味でも、米当局の迅速な対応(12日日曜日にはSVBの預金全額保護と、金融機関に対する緊急融資制度を導入)は高く評価できるが、現時点では市場が先行きを不安視するのもまた致し方ないところであろう。仮に、米国で金融不安が広がれば同国への経済依存度が極めて高いメキシコも無傷ではいられない。その場合、メキシコ中銀もこれまで政策金利を11.00%まで引き上げた「のりしろ」を使って利下げに動く公算が高まるだろう。足元では、そうしたリスクを先回りで回避しようとペソの買い持ちを落とす動きが先行していると考えられる。
逆張りの買いには相応のリスクも
将来的には今回のペソ下落局面が「絶好の買い場」だったということになる可能性もあるが、SVB問題の影響がどれほど広範囲に広がるかはまだ予断を許さない以上、逆張りのペソ買いにはリスクがあることも留意しておきたい。
メキシコペソ/円(MXN/JPY) 日足:一時6.9円台に急落
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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