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南ア国内の政局不透明感が後退
南アフリカ・ランドの対ドル相場は、グローバルな為替市場におけるリスクセンチメント、そしてそれを大局的に反映して変動する安全通貨であるドルの名目実効為替レートと連動性が高い(第1図)。
図1:南アフリカ・ランド対ドル相場とドル名目実効為替レート
米インフレ率の頭打ちやFRBによる利上げペースの減速を織り込み、11月以降、米金利と共にドルの反転下落基調が続いて来たが、12月以降は、ランドはそのドルに対して弱含みに推移していた。11月30日に国会に提出された報告書によりラマポーザ大統領の汚職疑惑が再燃。同大統領が辞任する可能性も取り沙汰されたことによる政治的な不透明感の高まりが、市場で嫌気されたためだ。その後、12月13日には国会で同大統領の弾劾手続きの実施が見送られ、19日には与党アフリカ民族会議(ANC)の党首選でラマポーザ氏が再選を果たしたことで、こうした先行き不透明感は一先ず後退。ランドにも反発の動きがみられている。
ドル高再開には警戒
もっとも、下落して来た米10年金利が足元下げ止まる兆しもあり、今後市場のセンチメントが再びリスク回避・ドル高の方向へ振れ始める可能性もあり注意が必要だ。南アフリカ経済は、第2四半期の洪水の被害などによる落ち込みから第3四半期には回復をみせるなど、引き続き一定の底堅さをみせているが(第2図)、来年にかけては、主要国においてこれまでの急速な利上げの影響がいよいよ本格化する可能性があり、市場のリスクセンチメントの変化によりドル高・ランド安の流れが再開するリスクも依然警戒される。
第2図:南アフリカ・実質GDP成長率(前年比)
今般の日銀による金融緩和政策の微修正も、仮に市場が大規模緩和の修正の始まりではないかと勘繰るような推移となれば、円高圧力からランドは対円でも下落圧力が燻り易いだろう。
(国際通貨研究所 上席研究員 橋本 将司 氏)
【南アフリカランド/円 日足】
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新興国通貨が高金利である理由について
新興国に分類される国々は概して政治リスクや財政リスクが先進国よりも高く、したがってその経済的信用度は相対的に低い水準にあります。こうした条件下では海外投資家の資金を呼び寄せられず、経済発展の支障となるため、金利を上げたり税金を安くしたりすることで、信用度の低さを補いうる投資環境を構築しようとします。そのため新興国通貨は一般に先進国通貨よりも高金利となる傾向にありますが、前述したように各種リスクが高い水準にあることから、長期的には先進国通貨に比べて価値が下がる(=通貨が下落する)条件を備えているともいえます。

橋本 将司(はしもと・まさし)氏
慶應義塾大学卒業後、三菱UFJ銀行に入行。国際通貨研究所研究員、グローバルマーケットリサーチ・シニアアナリスト、経済調査室ニューヨーク駐在などを歴任し、グローバルな為替市場やマクロ経済に加え、米国金融業界や金融規制など幅広い分野の調査業務に従事。現在国際通貨研究所において、為替市場や主要国の金融政策・マクロ経済動向の分析を担当。理論的な観点からの為替市場分析を得意とする。
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