目次
▼メキシコの経済状況
▼メキシコ中銀は利上げするも、利上げの終着点も近づいた?
▼メキシコペソの予想
メキシコの経済状況
12月22日に発表された12月前半のCPIは前年同月比7.77%上昇と11月の7.46%から加速しました。食品とエネルギーを除くコア指数は前年比8.35%上昇し、11月の8.37%から伸びは鈍化しました。食料品と飲み物、たばこの価格は前年同期比14.13%上昇しました。
メキシコ中銀は利上げするも、利上げの終着点も近づいた?
12月15日、メキシコ中銀は政策金利を予想通り0.5%引き上げ10.5%としました。5人の政策委員のうち4人が0.5%を、ハト派のエスキベル副総裁が0.25%の利上げを主張しました。声明では次回会合でも利上げの必要があると判断、ただ金利水準をさらに調整する必要のほかに、実勢に基づく調整ペースについて評価していくとしました。前日のFOMCで利上げが0.75から0.5%に縮小され、伝統的に米国との金利差を考慮するメキシコ中銀も利上げ幅を0.75から0.5%に縮小してきました。メキシコ中銀の引き締めサイクルが間もなく終了することをにおわせていますが、1日に発表されたメキシコの民間金融機関の政策金利見通しは2023年末が10.25%となっており、23年中に利下げに転じると予想しているようです。
メキシコペソの予想
ドル/ペソは12月2日の米雇用統計を受けて今月の安値19.1077ペソ付近から19.8643ペソ付近に上昇しました。今月のドルペソの高値は12日の19.9187ペソで、その後は19.3250ペソ付近に下落しました。 下落前のサポートレベルである19.90ペソ付近がレジスタンスになり、ここを抜けなければ短期的には21ペソからのドル安の流れが継続しそうです。19~19.90ペソのレンジを予想します。
ペソ/円は米雇用統計を受けたペソの下落で11月のサポート7.10円付近を下抜けして6.83円付近まで下落しました。12月前半はこの6.83円付近がサポートされていましたが、日銀政策決定会合を受けて6.5880円付近までペソ安・円高が進みました。250日移動平均線が6.58円付近まで上昇してきており、長期的なサポートとして機能しています。 ペソ/円は6.58円で底打ち後堅調に推移し6.93円付近まで反発しています。日銀前のレジスタンス7円付近が短期的なレジスタンスになっていますが、ここを上抜けすれば7.25円付近への上昇を予想します。7円が上抜けできないようであれば6.6~7円のレンジを予想します。
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新興国通貨が高金利である理由について
新興国に分類される国々は概して政治リスクや財政リスクが先進国よりも高く、したがってその経済的信用度は相対的に低い水準にあります。こうした条件下では海外投資家の資金を呼び寄せられず、経済発展の支障となるため、金利を上げたり税金を安くしたりすることで、信用度の低さを補いうる投資環境を構築しようとします。そのため新興国通貨は一般に先進国通貨よりも高金利となる傾向にありますが、前述したように各種リスクが高い水準にあることから、長期的には先進国通貨に比べて価値が下がる(=通貨が下落する)条件を備えているともいえます。
株式会社ADVANCE代表取締役 米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行で、20年以上にわたり、為替ディーラーとして活躍。現在は投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。ドル、ユーロなどメジャー通貨のみならず、アジア通貨をはじめとするエマージング通貨でのディーリングについても造詣が深い。また、海外のトレーダー、ファンド関係者との親交も深い。ブログ「YEN蔵のFX投資術」、メルマガ「YEN蔵の市場便り」で個人投資家に対して為替に関する情報を発信しており、人気を博している。
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