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経済状況
10月7日に発表された9月の消費者物価指数は前月比0.62%と8月の0.7%、予想の0.67%を下回って低下しました。前年同月比は8.7%と8月の8.7%上昇と一致しました。物価指数は2000年12月以来の高水準が続いています。
農産物とエネルギーを除いたコアインフレ率は前月比0.67%と8月の0.8%、予想の0.74%から低下しました。前年同月比は8.28%と8月の8.05%を上回りましたが予想の8.34%は下回りました。
食料品、飲料、たばこの価格が前年同月比13.38%の上昇、果物と野菜の価格が14.18%上昇しました。
ロペスオブラドール大統領は7日の定例会見で、インフレ率はすでにピークに達しており、これから下がっていくだろうと述べました。
金融政策
9月29日にメキシコ中銀は政策金利を予想通り0.75%引き上げ9.25%としました。 8月会合では次回会合で政策金利引き上げ方向で調整の規模を評価、としていたために大幅利上げには違和感はありませんでした。
声明文ではパンデミックと軍事的衝突によるインフレ圧力が影響を及ぼしていると表明。想定よりも強いインフレで、これが消滅するのにより長い時間を要するとの見通しを出しました。この見通しに基づいてインフレ見通しをヘッドライン、コアともに上方修正しました。
これまで2024年1~3月期までにインフレ率が目標の3%に達するという見通しを、2024年7~9月期まで後ずれさせました。
インフレ見通しに対するリスクバランスは、著しく上振れ方向に傾いているとの見解も示しました。
またFEDはFFレートを3会合連続で0.75%引き上げ、更なる引き上げも予想されているとFEDの利上げに対する警戒感を示しています。メキシコ中央銀行は米国との金利差によるペソ安を伝統的に警戒しており、今回も警戒感を緩めていないようです。
インフレ見通しを引き上げたこと、インフレのリスクバランスが著しく上方に傾いていると認識していること、FEDが次回も0.75%の利上げが予想され、これに対して警戒感を持っていること。
この3点を考慮するとメキシコ中銀のタカ派的なスタンスは変化がなく、次回11月10日の会合でも利上げを予想します。
メキシコペソの予想
メキシコ中銀の0.75%の連続利上げ、タカ派的なスタンスはペソをサポートしています。ドル/ペソは9月28日に一時20.579ペソ付近まで上昇しましたがすぐに下落しました。10月に入ってから19.885~20.176ペソと20ペソを挟んで推移しています。米長期金利が上昇しドル高の流れの中で南ア、トルコ、中国など新興国通貨が売られているなかでペソは堅調に推移しています。
11月の会合での利上げも予想されドル/ペソは引き続き堅調な動きを予想します。19.80~20.20ペソのレンジを予想します。
ペソ/円はドル/円が151円台後半に上昇したこともあり、21日に7.578円の高値まで上昇しました。その後、政府・日銀の為替介入でドル/円が下落すると7.3円まで下落しましたが7.475円付近(25日NYクローズ付近)で推移しています。
ペソ/円のこのレベルは2015年8月以来の水準です。2014年11月に8.71円まで上昇し、その後は7.7~8.2円のレンジで推移していましたが2015年8月に下抜けして、その後2016年11月の4.878円まで下落しました。7.7円付近はその時下抜けした重要なサポートレベルで、今回はこのレベルがレジスタンスになるのではないかと予想しています。
介入後の安値の7.3円は9月22日の介入前の高値7.294円にほぼ一致しています。この7.3円付近が短期的なサポートで、ここが維持されれば7.3~7.7円のレンジを予想します。
7.3円を下抜けする場合は節目と75日移動平均線が位置する7円付近への下落を予想します。
7.7円を上抜けする場合は2015年のレンジの上限の8.2円付近がターゲットと予想します。
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当社取扱通貨のうち、いわゆる新興国通貨に分類されるトルコリラ・南アフリカランドおよびメキシコペソ(MXN)はインターバンク(銀行間為替市場)における流動性が主要国通貨に比べ相対的に低く、経済指標発表のみならず金融政策変更やその他政治的要因、さらには地政学的リスク等の要因による突発的な相場急変動が起こりやすい環境下にございます。また、こうした急変動時には実勢インターバンクレートのスプレッド(BidとAskの差)も平常時に比べ大幅に拡大する傾向にあり、その場合には当社でもやむなく提示スプレッドを一時的に拡大することがございます。あわせて、相場状況により「ダイレクトカバーの対象となる注文」の基準Lot数(最低数量)を一時的に変更する場合がございますので、あらかじめご承知おきくださいますようお願いいたします。これら新興国通貨のお取引、およびこれらを対象とするキャンペーンへのご参加に際しては、以上につきあらかじめご留意のうえ、ポジション保有時、特に法人会員様の高レバレッジ取引における口座管理には十分ご注意くださいますようお願い申し上げます。以上の新興国通貨それぞれのリスク、および直近時点でのリスクレポートにつきましては、こちらのページをご参照願います。
新興国通貨が高金利である理由について
新興国に分類される国々は概して政治リスクや財政リスクが先進国よりも高く、したがってその経済的信用度は相対的に低い水準にあります。こうした条件下では海外投資家の資金を呼び寄せられず、経済発展の支障となるため、金利を上げたり税金を安くしたりすることで、信用度の低さを補いうる投資環境を構築しようとします。そのため新興国通貨は一般に先進国通貨よりも高金利となる傾向にありますが、前述したように各種リスクが高い水準にあることから、長期的には先進国通貨に比べて価値が下がる(=通貨が下落する)条件を備えているともいえます。
株式会社ADVANCE代表取締役 米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行で、20年以上にわたり、為替ディーラーとして活躍。現在は投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。ドル、ユーロなどメジャー通貨のみならず、アジア通貨をはじめとするエマージング通貨でのディーリングについても造詣が深い。また、海外のトレーダー、ファンド関係者との親交も深い。ブログ「YEN蔵のFX投資術」、メルマガ「YEN蔵の市場便り」で個人投資家に対して為替に関する情報を発信しており、人気を博している。
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