執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
目次
執筆日時 2022年10月14日 18時00分
米ドル/円32年ぶり高値へ急騰、上昇への死角見つけづらい
10月10日週の米ドル/円は32年ぶり水準へ上伸
米国のインフレ高進が定着する可能性を示唆する物価統計や、グローバルな利上げ継続観測から、本邦の金融政策との差異が意識されて円が独歩安となりました。米ドル/円は147.728円と32年ぶりの高水準をつけました。また、G20財務相・中央銀行総裁会議に出席のため渡米中だった、黒田日銀総裁は金融緩和の継続を改めて表明しています。(各レート水準は執筆時点のもの)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
FXライブ/為替予想【実践リアルトレード】米CPI Live、ドル円高値更新すると、介入あるのか?(2022年10月13日)- YouTube
米ドル/円、しばらく強含み
米国のインフレ再燃で、米金利には上昇圧力がかかりやすくなっており、米ドルの底堅さは増しています。CMEグループが公表しているFedWatchによると、来年3月までにFF金利は4.75-5.00%まで上昇し、そこから9月まで金利据え置くとの見方が優勢と、米消費者物価指数の発表前より、タカ派方向へ動いています。また、国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は「インフレと戦うため、金融引き締めを続けるよう各国中銀に要請」と述べており、世界的な利上げ競争は今後も続きそうです。この流れに逆らう日銀の金融政策を考えれば、円独歩安の基調がそう簡単に変わるとは考えづらく、米ドル/円は米ドル高・円安の両輪で上値トライしていきそうな雰囲気です。
政府・日銀がどのタイミングで円買い再介入のカードを切ってくるのか分かりませんが、市場参加者がそのぎりぎりのラインを見極めようして上値を試す動きが活発化しそうです。では、こうした米ドル/円の動きに死角はないのかと言えばそうではなく、英国の政治リスク、グローバルな成長鈍化、ウクライナ問題、日銀総裁人事などのリスクファクターは存在しています。こうした要因へ視線が向かう可能性は低いながらも想定しておいて損はなさそうです。
米ドル/円、149円台トライ
三角保ち合いのレジスタンスラインを突破して、一気に上値を拡大し地合いの強さをうかがわせます。150円突破の前哨戦となりそうな149円台トライも想定されます。ただ、高値警戒心が高いため、一度、ロングポジションの解消が始まれば、相当に大きな値幅を伴って調整が出る可能性があり、下値方向への注意も怠れません。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:143.500-149.500
10/17 週のイベント:
10/17(月) 13:30 日本 8月鉱工業生産・確報値
10/17(月) 13:30 日本 8月設備稼働率
10/17(月) 13:30 日本 8月第三次産業活動指数
10/17(月) 21:30 米国 10月ニューヨーク連銀製造業景気指数
10/18(火) 23:00 米国 10月NAHB住宅市場指数
10/18(火) 29:00 米国 8月対米証券投資
10/19(水) 21:30 米国 9月住宅着工件数
10/19(水) 21:30 米国 9月建設許可件数
10/19(水) 27:00 米国 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
10/20(木) 08:50 日本 9月貿易統計
10/20(木) 08:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
10/20(木) 21:30 米国 10月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
10/20(木) 21:30 米国 新規失業保険申請件数
10/20(木) 23:00 米国 9月中古住宅販売件数
10/20(木) 23:00 米国 9月景気先行指標総合指数
10/21(金) 08:30 日本 9月全国消費者物価指数(CPI)
一言コメント
外為どっとコム総合研究所のTEAMハロンズ(@TeamHallons) が平日毎日21時よりライブ配信しています。番組では、注目材料の紹介、テクニカル分析でエントリーポイントや利食い・損切りポイントを解説し、実際にリアルトレードも行っています。ご興味のある方は、一度、こちらにアクセスしてみてください。
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