豪ドルのFXデイトレードを行ううえで、インプットしておきたいトレードシナリオなどをギュッとまとめました。
執筆：外為どっとコム総合研究所 中村 勉
Twitter:@gaitamesk_naka
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目次
今日の豪ドル トレードシナリオ
ここまでの相場
・9月29日に豪統計局は7，8月の月次消費者物価指数（CPI）を発表。7月が前年比+7.0%、8月が6.8%とインフレ率は高止まりしている。7月27日発表の豪2022年4-6月CPIは前年比+4.9%（トリム平均）と、インフレ率は前期（+3.7％）から急伸する結果となった。
・WTI原油価格は小幅反落。メキシコ湾岸にハリケーンが上陸したことによる供給不足が懸念されていること、OPECプラスが原油生産目標の引き下げを検討していると伝わったことが買い材料となったが、世界的な景気減速への警戒感が強く、一時1バレル=80ドル台まで下落した（9月29日）。
・8月分の豪雇用者数は3.35万人増と予想の3.5万人増を下回る。失業率は3.5%に上昇したが、労働参加率が66.6%（前月66.4%）に上昇した（9月15日）。
・9月6日の豪準備銀行（RBA）理事会で政策金利は市場予想通り0.50%の利上げが発表された。政策金利を2.35%とした。声明内容に大きな変更はなく、次回以降も大幅利上げの可能性は残した。
・2022年4‐6月期の賃金指数（前年比）は+2.6%と市場予想（+2.7%）を下回る。前期比は+0.7%（前回:+0.7%）と、賃金は堅調さを維持している（8月17日）。
今日のメインシナリオ
欧米の経済指標が景気悪化を示唆すれば、豪ドルは売られる
昨日、新しい指標となる豪月次CPIが発表された。7月、8月はそれぞれ前年比+7.0%、+6.8%と6月（+6.8%）と比べて、インフレが高止まりしていることを示唆する結果となった。この結果を受けて、市場では来週10月4日に開催されるRBA理事会での0.50%利上げの可能性が高まったものの、豪ドル相場に大きな影響を与えるほどの内容ではなかった。本日も豪ドルは上値の重い展開が予想される。世界経済の減速懸念が根強いからだ。欧州での天然ガス価格の高騰が欧州経済をさらに悪化させるとの懸念がある。その中で、昨日発表されたドイツのCPI（速報値）が前年比+10.0%まで急伸していたことは、ドイツの経済の先行き懸念を強めるには十分な結果だった。本日はユーロ圏の9月CPIが発表される。市場は前年比+9.7%と8月（+9.1%）から更にインフレが伸びていると予想している。市場予想を上回る結果となれば、欧州の景気先行き不安が高まることとなる。
また、本日は米国でも個人消費支出（PCE）やミシガン大消費者態度指数などの注目指標が発表される。市場は米連邦準備制度理事会（FRB）が急速で大幅な金融引き締め（利上げ）を継続するとみている。そのため、一連の経済指標で米経済の減速を想起させる結果となれば、リスク回避姿勢が一層強まることとなりそうだ。
豪ドルは資源国通貨の一面を持っている。世界経済に減速懸念が強まると、資源需要が減退するとの思惑から、豪ドルには売り圧力がかかりやすくなる。世界経済の減速懸念が高まっている現状では豪ドルの上値は限定的となりそうだ。
警戒しておきたいのは、月末のリバランスがロンドン時間に持ち込まれる可能性があることだ。今月は特に米ドルが全般的に買われている。そのため、米ドルポジションの調整売りが入った場合には、豪ドルが上昇する可能性がある。特にロンドンフィキシングとなる日本時間24時にかけては注意しておきたい。
個別の想定シナリオ
■欧米の経済指標が欧米経済の減速を示唆する結果
⇒世界経済の減速懸念が資源需要の減退を想起させる
⇒豪ドルは資源国通貨
⇒豪ドルは売られやすくなる
チャート分析
今後の注目材料
欧米の経済指標
欧州をはじめとした世界的な景気動向
「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」
外為どっとコムのテクニカル分析ツール「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」では豪ドル/円と豪ドル/米ドルは共に雨となっている。12時に豪ドル/円のボリンジャーバンドとストキャスティクス、RSI、豪ドル/米ドルのRSIで売りシグナルが点灯。
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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員中村 勉（なかむら・つとむ）
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー（株）へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から（株）外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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