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FX/為替 月間見通し「米欧の利上げ期待とリセッション懸念の綱引き 」ユーロ/円 外為どっとコム総研 House View 2022年7月

【外為総研 House View】

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執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 6月の推移
・6月の各市場
・6月のユーロ/円ポジション動向
・7月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 7月の見通し

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

ユーロ/円の基調と予想レンジ

ユーロ/円 6月の推移

6月のユーロ/円相場は137.830~144.273円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約3.0%上昇(ユーロ高・円安)した。

日銀が大規模緩和を維持するスタンスを強調した事で円売りが先行。欧州中銀(ECB)が大方の予想通りに引き締めスタンスに舵を切ると材料出尽くしのユーロ売りが強まる場面もあったが、日銀とECBの政策スタンスの違いが意識される中、1ユーロ=140円台割れでは下げ渋った。16日にスイス中銀(SNB)がサプライズ利上げを行うとユーロ/スイスフランの下落に連れて一時137円台に差し込んだものの、やはり下値は堅かった。欧州のリセッション(景気後退)懸念がくすぶる中でユーロの上値はやや重かったが、円安を原動力とする上昇基調に大きな崩れはなかった。28日には144.27円前後まで反発して2015年1月以来の高値を付けた。

ユーロ/円 6月の推移

ユーロ/円 6月の四本値
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

9日
ECBは金融政策の現状維持を決定。声明では「量的緩和措置である資産購入プログラム(APP)を7月1日に終了する」と表明するとともに「7月会合でECBの主要金利を25bp(0.25%ポイント)引き上げる予定」とし、「9月以降については、緩やかだが持続的な追加利上げが適切」と発表。さらに、「インフレが変わらなければ9月会合でより大幅な利上げをすることが適切となる」とした。

ユーロは一時買いが優勢となったが、その後はラガルド総裁の会見に目新しい発言がなく、期待されていたほどタカ派的な会見ではなかったとの見方が広がり一転してユーロ売りに傾いた。総裁は「高いインフレ率が主要な課題」「9月以降も緩やかだが持続的な追加利上げの道筋が適切になる」などと述べた。

14日
独6月ZEW景況感調査期待指数は-28.0と前月の-34.3から上昇したものの、予想(-26.8)ほどには改善しなかった。この結果を受け、ZEW(欧州経済センター)は「ロシアへの制裁の影響や中国の新型コロナウイルス再拡大による先行き不透明感、金融政策の道筋の段階的な変更など、経済は依然として多くのリスク要因にさらされている」との見解を示した。

15日
ECBは臨時会合を開くと発表。緊急利上げの思惑などからユーロは買いが強まったが、「最近の国債利回り急騰への対応を協議する」と伝わると伸び悩んだ。

その後、ECBは臨時会合を終えて声明を発表。「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の再投資に柔軟性を適用する」などとして国債利回りの格差拡大によるユーロ圏市場の分断を防ぐ措置を検討すると表明した。警戒していたほどタカ派的ではなかったとの見方からユーロ売りが優勢となった。

16日
SNBが予想外の利上げを発表した上に、追加利上げに前向きな姿勢を示した事でユーロ/スイスフラン相場が急落。これにつれてユーロ/円も下落した。

20日
ラガルドECB総裁は「インフレは望ましくないほど高い。ECBは行動しなければならない」と述べ、継続的な利上げの方針を改めて示した。また、断片化リスクに適切な手段と十分な柔軟性で対処するとし、南欧国債の利回り上昇を防ぐ方針も再表明した。なお、前日に行われた仏下院選では、マクロン大統領率いる与党連合が過半数を大幅に割り込んで大敗した。

23日
独6月製造業PMI・速報値は52.0(予想54.0)、同サービス業PMI・速報値は52.4(予想54.5)となった。その後に発表されたユーロ圏6月製造業PMI・速報値は52.0(予想53.8)、同サービス業PMI・速報値は52.8(予想55.5)であった。ユーロ圏経済の急激な減速に対する懸念が広がりユーロ売りが優勢となった。

24日
独6月Ifo企業景況感指数は92.3と市場予想(92.8)を下回った。エネルギー価格の高騰やガス不足のリスクで不安が広がった。IFOは独経済について「今年はリセッションに陥る可能性は低いが、来年は可能性が高まる」と指摘した。

29日
独ノルトライン・ウェストファーレン州の6月消費者物価指数(CPI)が前月比-0.1%と急減速したことで独長期金利が急低下。ドイツのインフレ鈍化でECBのタカ派スタンスが後退するとの見方からユーロが下落した。なお、その後に発表された独6月CPIは前月比+0.1%と予想(+0.4%)を下回った。前年比でも+7.6%に鈍化(予想+7.9%、前回+7.9%)し、欧州連合(EU)基準CPIも前年比+8.2%と予想(+8.8%)に反して前月(+8.7%)から鈍化した。

6月の各市場

日経平均、FTSE

独国債利回り(2年、10年)

6月のユーロ/円ポジション動向

6月のユーロ/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

7月のユーロ圏注目イベント

7月のユーロ圏注目イベント

ユーロ/円 7月の見通し

7月21日の欧州中銀(ECB)理事会では2011年以来、11年ぶりの利上げが確実視されている。ただ、ECBの利上げ期待はユーロ高に繋がりにくいと考えられる。市場が25bp(0.25%ポイント)の利上げを完全に織り込んでいるためだ。米国は7月に75bpの利
上げに動くと見られている点もユーロの逆風となろう。ECBが次回9月理事会での利上げペース拡大を示唆すればいくぶんユーロ高に振れる可能性もあるが、エネルギー価格の高騰などで景気の先行きに不透明感が強い中での利上げペース加速は、リセッション(景気後退)圧力を強めることになるためユーロ安の遠因になり得ると見ている。ウクライナ危機の地政学リスクなども踏まえれば、少なくともユーロを積極的に買うムードは高まりにくいと考えられる。

7月のユーロは、対円では日銀のハト派姿勢などを背景に強含む可能性はあるが、対ドルや対スイスフランでは弱含みの展開が予想され、結果的に対円でもユーロの上値は限られるだろう。
(予想レンジ:136.500~144.500円)

kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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