執筆:外為どっとコム総合研究所 神田 卓也
トルコリラ/円(4時間足)
※レポート内の為替レート・チャートは外為どっとコム「外貨ネクストネオ」を参照
直近1週間のポイント
☆当局のリラ安抑制策でリラ反発
・トルコ企業がリラ買いに動くとの観測
・効果の持続性に疑念も
足元のトルコリラ/円は1カ月半ぶりの水準へ反発
7円台後半の安値圏で推移していたトルコリラ/円は24日、トルコ当局がリラ安抑制に向けて新たな規制を打ち出したことで8円台を回復して急反発。
週明け27日には一時8.350円前後まで上昇して5月13日以来の高値を付けました。
トルコ銀行調整監視機構(BDDK)は、外貨現金資産が1500万リラ(約91万ドル)以上で、総資産もしくは年間売り上げ高に対する比率が10%を超える企業への新規融資を停止すると発表。
同国内の大企業や中堅企業の多くが規制の対象になると見られ、これらの企業が融資へのアクセスを維持するために外貨資産を売却してリラを買うとの見方が強まりました。
その後のリラ/円は、リラ安抑制効果の持続性に対する疑念から伸び悩みましたが、ドル/円の136円台回復にも支えられて8円台前半で底堅い動きとなっています。
注目ポイントは6月CPI
7月4日に発表されるトルコ6月消費者物価指数(CPI)に注目です。
前回の5月CPIは1998年以来の高水準となる前年比+73.50%に加速しました。
しかしその後、トルコ中銀は「まもなくインフレ鈍化(ディスインフレ)が始まる」として政策金利を14.00%に据え置きました。
もっとも、資源価格や食料価格の高止まりに加え、リラ安の影響で6月もCPIは高水準の伸びが続く見通しです。
トルコ当局が発表したリラ安抑制策はあくまでも対症療法で、リラ安の主因である「高インフレによる実質金利の低下」に歯止めをかける対策ではありません。
6月CPIがさらに上ブレすれば実質金利は一段と低下(マイナス幅を拡大)することになります。
6月CPIがリラ安再開のきっかけにならないか注意しておく必要があるでしょう。
来週までのメキシコペソ/円の見通し
予想レンジ
7.850~8.300円
基調
上値重い
来週までの注目ポイント
☆7/4 トルコ6月消費者物価指数
・主要国株価 国際商品価格
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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