ポンドのFXデイトレードを行ううえで、インプットしておきたいトレードシナリオなどをギュッとまとめました。
執筆：外為どっとコム総合研究所 中村 勉
Twitter:@gaitamesk_naka
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目次
今日のポンド トレードシナリオ
ここまでの相場
・英5月小売売上高（除自動車燃料）は前月比-0.7%（前月は+1.4%→+0.2%へ下方修正）と悪化（6月24日）。
・6月16日にイングランド中銀（BOE）は政策金利を1.25%に0.25%の利上げ。
金融政策委員会（MPC）メンバーの9人中3人は0.50%の利上げ支持。
・英5月消費者物価指数（CPI）は前年比+9.1%（予想+9.1%）と前回の英4月分（+9.0%）からインフレは更に加速。1982年以降、最大のインフレ率となった（6月22日）。
・英4月失業率（ILO方式）は3.8%と前回（3.7%）から悪化。賃金上昇率は+4.2％と堅調な伸びを継続（6月14日）。
・英1-3月期GDPは前期比+0.8%と予想（+1.0%）を下回る。6月13日発表の英4月月次GDPは-0.3%と前月からマイナス成長が拡大。
・6月13日に英国政府はEUとの間に交わしている「北アイルランド議定書」の一部を英議会に提出した。EUは「国際法である議定書に一方的に違反する意思を明確にするものだと批判」。EU側の報復も想定されるだけに、ポンドにとってはネガティブ要因。
今日のメインシナリオ
ポンド/円は懸念が多くて上げ幅は限定的？
米国のインフレがピークに達した可能性を示す経済指標の結果が出た。一方で、ポンドは英4月CPIが過去40年で最大の伸び率を記録し、小売売上高は前月比で縮小という結果となった。インフレの急伸が市民の消費行動を制限させているのが見て取れる。そのため、インフレ抑制のために今後も継続する予定のBOEによる利上げが、消費行動を一層と抑えることとなり、今後は英国経済を悪化させる可能性が出てきた。英国は経済減速懸念のほかにも、①政治的不安（※ポンドちょい足し情報参照）、②北アイルランド議定書問題、③スコットランド独立問題、と他の主要国にはない問題も抱えている。そのため、ポンド売りに傾きやすい状況と言えよう。
本日は英国に主要経済指標や要人発言の予定はなく、NY時間の米経済指標の結果を待つこととなる。米経済指標が「良好」となれば、リスクオンとなるが、上記の潜在的なネガティブ材料により、上値は限定的。一方で米経済指標が「悪化」となれば、リスクオフの米ドル買いが強まり、ポンド/円は下落することとなりそうだ。
個別の想定シナリオ
■世界的な経済減速懸念
⇒リスクオフの米ドル買い
⇒ポンド/米ドルは下落
⇒リスクオフの米国債買い
⇒米債利回り低下
⇒日米金利差縮小でドル/円下落
⇒ポンド/円は大きく下落
チャート分析
注目材料
米の経済指標
「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」
外為どっとコムのテクニカル分析ツール「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」ではポンド/円は雨、ポンド/米ドルは晴れ。ポンド/米ドルの移動平均で14時に買いシグナルが点灯。
【情報提供：外為どっとコム】
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ポンドちょい足し情報
6月23日に英下院議会の補欠選挙が2つの選挙区で実施されました。結果は2選挙区とも与党・保守党の惨敗。一因はもちろん、ジョンソン首相が2020年のロックダウン中に参加した首相官邸での飲酒を伴うパーティー。「パーティーゲート」に対して国民が「NO」を突きつける形となりました。先日の保守党内での信任投票では4割以上が不信任を突きつけるなど、党内での求心力が低下しているジョンソン首相。今回の惨敗を受けて、更に求心力の低下、そして辞任圧力が強まりそうです。それでも辞任しなさそうですが…ちなみに今回の補欠選は現職議員の1名が議会中にポルノを視聴していたこと、もう一名は未成年者への性的暴行で辞任したために行われました。
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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員中村 勉（なかむら・つとむ）
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー（株）へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から（株）外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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