執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
目次
- ▼ユーロ/円・ポンド/円は下値不安が残る。ECBフォーラムでタカ派姿勢に警戒
- ▼6月20日週のユーロ/円、ポンド/円は後半失速
- ▼市場の視線はインフレよりも成長
- ▼ポンド売り材料多数で上目線は困難
- ▼ユーロ/円、対ドルでのフォーメーションから下値警戒
- ▼ポンド/円、21日移動平均線割れなら下落幅拡大
- 6/27 週のイベント
- 一言コメント
執筆日時 2022年6月24日 16時00分
ユーロ/円・ポンド/円は下値不安が残る。ECBフォーラムでタカ派姿勢に警戒
6月20日週のユーロ/円、ポンド/円は後半失速
前半は株価反発を手掛かりにユーロ/円が144.241円、ポンド/円が167.859円までレンジ上限を各々広げました。しかし、後半になると風向きが変わり、再びグローバル経済への不透明感が意識されて、ユーロ/円は141.401円、ポンド/円は164.662円(共に執筆時点)とそれまでの上昇幅を失いました。
市場の視線はインフレよりも成長
来週はドイツやユーロ圏のインフレ指標が発表されるほか、ECBが主催する討論会に米・英・欧の中銀総裁が出席します。恐らく両イベントとも、中銀のタカ派姿勢が近い将来に転換するとの期待を抱かせる結果にはならないでしょう。それよりは、これらイベントを通じて中銀のインフレ退治を優先する姿勢が裏付けられて、成長見通しの不確実性が高まる方に投資家センチメントが向かうのが落ちでしょう。結果として、金融市場のリスク回避傾向は続くとみられ、ユーロへの売りバイアス、円への買いバイアスはなくなりづらいと考えます。大幅なインフレ加速で南欧諸国の国債利回り上昇によるユーロ圏の信用不安増大や、中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)の下振れなども加われば、ユーロ/円の調整幅が深くなる危険があります。いずれ利上げ期待からユーロが下値を切り上げる時期は来るとは思いますが、目先は下目線でしょうか。
ポンド売り材料多数で上目線は困難
22日に発表された英5月消費者物価指数は前月比で0.7%増と伸びは限定的でしたが、依然として物価には上昇圧力がかかっていることが確認されました。0.25%の利上げでは追いつかない状況になっています。結果を受けて、イングランド銀行による8月の利上げ幅を0.5%と見込む投資家も増え始めているほか、一部には0.75%になるのではとの期待も燻り始めています。一般的には、金利の先高感はポンド買い材料と理解されますが、物価上昇に経済が押しつぶされそうな状況下でのさらなる利上げは経済へのダメージが大きく、ポンドにとっては売り材料と捉えられやすいです。
また、アイルランド議定書を英国が一方的に書き換えることを可能性にする法案を巡るEUとの関係悪化や、スコットランドの独立を巡る動きなど政治的な混乱の芽もくすぶったままです。このように考えると、ポンドのネガティブ材料は多い状況で、長期的保有を目指したポジション構築は時期が悪すぎるように感じます。深押しした局面からの短期的な反発狙いはあっても、戻り売り目線が有効ではないでしょうか。
ユーロ/円、対ドルでのフォーメーションから下値警戒
ユーロ/米ドルは、1.0600-1.0650ドル近辺を低下中の下降レジスタンスラインと、1.0350ドル付近の支持線との三角もち合いの領域を推移しています。しかも、この形状はレジスタンスライン突破期待よりも、支持線割れからの下落スピード加速を警戒する形です。ユーロ/米ドルが支持線を割り込むようなら、ユーロ/円も3月7日安値124.393円を起点とする支持線(138.000円 執筆時点)まで下げ幅が広がる危険はあります。ユーロ/米ドルの1.0350ドル割れには注意が必要です。
【ユーロ/米ドルチャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:EUR/USD:1.01500-1.06500
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:EUR/JPY:138.500-143.500
ポンド/円、21日移動平均線割れなら下落幅拡大
目先、支持線として意識される21日移動平均線(164.518円:執筆時点)を明確に割り込むと、6月16日安値の159.980円付近まで目線が下がりそうです。21日線割れなら、素直に売りで追随しても良いかもしれません。
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:GBP/JPY:161.500-167.500
6/27 週のイベント
6/27(月) - ユーロ ECBフォーラム(ポルトガル・シントラ、-29日)
6/28(火) - ドイツ G7首脳会議、閉幕(26-28日、ドイツ・エルマウ)
6/28(火) 15:00 ドイツ 7月GFK消費者信頼感調査
6/29(水) 18:00 ユーロ 6月消費者信頼感(確定値)
6/29(水) 21:00 ドイツ 6月消費者物価指数(CPI、速報値)
6/29(水) 22:30 ラガルドECB総裁、パウエル米FRB議長、ベイリー英BOE総裁、パネル討論会参加
6/30(木) 15:00 イギリス 1-3月期四半期国内総生産(GDP、改定値)
6/30(木) 15:45 フランス 6月消費者物価指数(CPI、速報値)
6/30(木) 18:00 ユーロ 5月失業率
7/01(金) 18:00 ユーロ 6月消費者物価指数(HICP、速報値)
一言コメント
急に気温が上がり寝苦しい夜が続いていますが、運動して汗をかき、水分補給をしっかりして、そして疲れてぐっすり眠ることが、一番だと思います。
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