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FX/為替予想「世界的なインフレと中銀の対応を総点検」トルコリラ・メキシコペソ・南アランド・人民元・ロシアルーブル 6月12日号

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執筆:第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 西濵 徹氏

目次

▼【トルコリラ】調整圧力がかかりやすい
▼【メキシコペソ】堅調地合いが続くだけに変調に注意
▼【南アフリカランド】追い風吹くもリスク要因多し
▼【人民元】当局の政策対応に左右されやすい
▼【ロシアルーブル】特殊環境下でルーブル安定

【トルコリラ】調整圧力がかかりやすい

トルコリラ相場は、インフレの昂進にも拘らず中銀が断続的な利下げ実施したことで昨年末にかけて調整圧力が強まったものの、政府がトルコ国民によるリラ建定期預金を対象にハードカレンシーに対する資産価値を補填する実質的な米ドルペッグという「奇策」発表を受けて一旦は落ち着きを取り戻した。

しかし、年明け以降はウクライナ問題の激化に伴う商品高がインフレの上振れや対外収支の悪化を招くなか、米FRBなど主要国中銀がタカ派傾斜を強める一方、中銀による緩和姿勢の維持を受けて再び調整圧力が強まる展開をみせている。

なお、当局による事実上の資本規制に加え、外国人投資家も取引を縮小させるなど流動性は低下しており、リラ相場が大きく調整する事態とはなっていない。ただし、インフレの高止まりが避けられないなか、中銀は「金利の敵」を自認するエルドアン大統領に与して金融緩和を維持すると見込まれ、リラ相場は調整圧力が掛かりやすい展開が続くであろう。

◆トルコリラ/円 週足チャート
TRY/JPY 週足

【メキシコペソ】堅調地合いが続くだけに変調に注意

メキシコペソ相場は、輸出の8割以上を占める米国景気の影響に加え、原油価格の動向にも連動する傾向がある。こうしたことに加え、昨年以降は国際商品市況の上振れに伴うインフレ加速を受けて、中銀は断続的な利上げに動くなど引き締め姿勢を強めており、ペソ相場は堅調な動きをみせている。

なお、米FRBによるタカ派傾斜に伴う米ドル高圧力の高まりがペソ相場の逆風となることが懸念されたものの、メキシコ中銀はこの動きに追随する形でタカ派姿勢を強めており、こうした対応もペソ相場を下支えしている。ロペス=オブラドール政権の経済政策は「反ビジネス」色が強い一方、財政出動への慎重姿勢は金融市場から一定の信認を得ているものの、物価高と金利高の共存が景気の足かせとなるなか、財政運営も景気の重石となる可能性がある。よって、金融市場においてそうした見方が意識されれば、ペソ相場を巡る状況は一変する可能性には要注意と言える。

◆メキシコペソ/円 週足チャート
MXNJPY 週足

【南アフリカランド】追い風吹くもリスク要因多し

南アランド相場は、国際商品市況の動向に連動する傾向がある。昨年末にかけては同国でオミクロン株が確認されるとともに、感染が急拡大したことで実体経済への悪影響を懸念してランド相場は調整したものの、年明け以降は感染収束が進むとともに、ウクライナ情勢の悪化を受けた国際商品市況の上振れがランド相場の底入れを促した。

他方、同国は経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)が極めて脆弱な国のひとつであり、米FRBなど主要国中銀のタカ派傾斜などによる国際金融市場の動揺による影響を受けやすい。足下では、国際商品市況の上振れに加え、中国のロックダウン解除による景気底打ち期待も追い風にランド相場も底打ちしているが、インフレが顕在化するなかで中銀はタカ派傾斜を強めるなど物価高と金利高が共存しており、実体経済を取り巻く状況は厳しさを増している。電力不足や自然災害の発生が経済活動の足かせとなるリスクにも引き続き注意が必要と言える。

◆南アフリカランド/円 週足チャート
ZAR/JPY 週足

【人民元】当局の政策対応に左右されやすい

中国当局による「ゼロ・コロナ」戦略が景気の足かせとなるなか、米FRBなど主要国中銀のタカ派傾斜を強めたことで米ドル高圧力が強まり、中国人民銀行は金融緩和による景気下支えに動いたことも重なり、年明け以降の人民元相場は大きく調整した。足下ではゼロ・コロナ戦略を維持する一方、ロックダウンの解除により景気の底打ちが進むとの期待が強まっており、人民元安圧力は後退している。政府は財政及び金融政策の総動員により景気下支えを図る姿勢をみせるが、過度な金融緩和は資金逃避を通じた人民元安圧力を招くことを警戒して「的を絞った」対応が続いている。雇用の回復が遅れるとともに物価高も家計消費の重石となるなか、景気回復の足かせとなる可能性はくすぶる。また、共産党大会を前に当局がゼロ・コロナ戦略の旗を降ろす可能性は低く、感染が再燃すればロックダウンなど行動制限の再強化に動く可能性もある。先行きの人民元相場は引き続き当局の政策対応に揺さぶられるであろう。

◆人民元/円 週足チャート
CNH/JPY 週足

【ロシアルーブル】特殊環境下でルーブル安定

ルーブル相場は、ロシアによるウクライナ侵攻を機に欧米などが制裁強化に動いたことを受けて大きく調整した。しかし、その後はルーブル安阻止に向けた中銀による大幅利上げのほか、資本規制や強制的な外貨売却要請の動きに加え、ルーブル需要喚起に向けてすべての貿易決済をルーブル建で行うことを求めるなどの動きも重なり、足下のルーブル相場はウクライナ侵攻前の水準を上回っている。

他方、足下のインフレ率は欧米などの制裁強化を受けて大きく上振れしているものの、中銀はルーブル相場の安定も追い風に断続的な利下げに動くなど、景気下支えに舵を切る動きをみせる。外国人投資家の事実上の締め出しという特殊環境がルーブル相場の安定を促しているが、ウクライナ問題は先行きが見通せず欧米などが制裁緩和に動く可能性は低い。よって、仮に資本規制が解除されれば外国人投資家の「売り圧力」が顕在化するなど、ルーブル相場を取り巻く環境が一変するリスクはくすぶる。

◆ロシアルーブル/円 週足チャート
RUB/JPY 週足

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