高金利通貨であるメキシコペソについて、中長期にわたり買いポジションを保有する視点で、現在を分析します。
執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
Twitter:@gaitamesk_naka
メキシコペソ/円 上昇・下落のパワーバランス
メキシコペソ/円をトレードするうえで重要となる経済指標やイベントを個別に点検します。
2022年に入り2カ月連続で悪化していたが、3月は2.97%と大幅改善。メキシコの失業率が3%以下となるのは、コロナ前の2020年3月以来。4月の失業率は3.03%へ小幅悪化。次回は6月28日発表予定。
2021年6月以降8会合連続で合計3.00%の利上げを実施し政策金利は現在7.00%。国内のインフレを抑制をするために、次回会合6月24日以降も金融引き締めを示唆している。
本日6月9日 20:00 5月分発表!
5月9日に発表されたメキシコの4月消費者物価指数は前年比+7.68%と2021年11月からインフレ率は6カ月連続7%台で高止まり。本日発表予定の5月分も予想は+7.64%とインフレが治まる気配はない。
ウクライナ情勢の悪化により資源価格が高止まりしていることは、資源国のメキシコから見るとプラス材料。他方で、中国のロックダウンは徐々に解除されていることが、世界経済にとっては追い風になっている。アメリカの経済減速圧力が当初の予想ほどでもない可能性が浮上していることもメキシコペソにとってプラス材料。
日銀と他の主要国中央銀行との金融政策の方向性の違いが材料視され、円安が急速に進行している。基本的には円安基調は変わらないが、日銀による為替介入への警戒感も強まっている。
パワーバランス まとめ
メキシコ中銀は政策金利を7.00%まで利上げしたが、インフレ率は中銀目標(3%±1%)の遥か上で高止まり。メキシコの金融当局者は6月24日(AM3:00)の会合でも0.50%の追加利上げを示唆しているため、本日発表の5月CPIに注目が集まる。国内の労働市場を見ると、失業率は過去2カ月3%前後と低水準を維持。世界的なコストプッシュ型インフレへの懸念は残るが、上海の外出制限がほぼ解除され、米国の経済減速が予想していたほどではないとのデータも散見され始めていることが、メキシコペソには有利な材料となる。
メキシコペソ/円、いまが買いどき?
国内の高インフレからメキシコ中銀は利上げサイクルを継続。高止まりするインフレ率を背景に6月も追加利上げが予想されている。労働市場は改善傾向にある。警戒すべきは原油価格の大幅上昇によるコストプッシュ型インフレとなる。金融政策の面で見ると、対円では日銀が大規模緩和政策を維持していることからメキシコペソ/円の円安基調は変わらない。ただ、急速に進行する円安に対して介入警戒感が強まってきている。普段よりも少額で様子を見るのも一考。
経済指標予定
9日 20:00 メキシコ5月消費者物価指数(CPI)
10日 20:00 メキシコ4月鉱工業生産
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当社取扱通貨のうち、いわゆる新興国通貨に分類されるトルコリラ・南アフリカランドおよびメキシコペソ(MXN)はインターバンク(銀行間為替市場)における流動性が主要国通貨に比べ相対的に低く、経済指標発表のみならず金融政策変更やその他政治的要因、さらには地政学的リスク等の要因による突発的な相場急変動が起こりやすい環境下にございます。また、こうした急変動時には実勢インターバンクレートのスプレッド(BidとAskの差)も平常時に比べ大幅に拡大する傾向にあり、その場合には当社でもやむなく提示スプレッドを一時的に拡大することがございます。あわせて、相場状況により「ダイレクトカバーの対象となる注文」の基準Lot数(最低数量)を一時的に変更する場合がございますので、あらかじめご承知おきくださいますようお願いいたします。これら新興国通貨のお取引、およびこれらを対象とするキャンペーンへのご参加に際しては、以上につきあらかじめご留意のうえ、ポジション保有時、特に法人会員様の高レバレッジ取引における口座管理には十分ご注意くださいますようお願い申し上げます。以上の新興国通貨それぞれのリスク、および直近時点でのリスクレポートにつきましては、こちらのページをご参照願います。
新興国通貨が高金利である理由について
新興国に分類される国々は概して政治リスクや財政リスクが先進国よりも高く、したがってその経済的信用度は相対的に低い水準にあります。こうした条件下では海外投資家の資金を呼び寄せられず、経済発展の支障となるため、金利を上げたり税金を安くしたりすることで、信用度の低さを補いうる投資環境を構築しようとします。そのため新興国通貨は一般に先進国通貨よりも高金利となる傾向にありますが、前述したように各種リスクが高い水準にあることから、長期的には先進国通貨に比べて価値が下がる(=通貨が下落する)条件を備えているともいえます。
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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