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【海外特派員】トルコリラ狂騒曲~インフレ、コロナ、エネルギー危機、大寒波~トルコ国民の生活は大ピンチ

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インフレ

 昨年12月20日、トルコ政府の奇策によりトルコリラが急騰した日から1か月余り経ちました。今月20日、5回連続の利下げが避けられたことで、トルコリラは対ドルで13.2~13.5リラとほぼ安定しています。しかし、12月20日までに1ドル18リラ超えを記録するまで物価は上がり続け、ドルが下落した後も一向に下がる気配はありません。政府は、「物価を下げる」と息巻いていますが、一度上がった物価は下がりません。大手マーケットチェーンが価格を下げると約束したものの、なくても基本的に生活に支障のない商品を期間限定で「割引」で販売しているだけで、セール期間が終了すると、元の高値に戻っています。油、小麦粉、米や豆類、乳製品など国民生活に必要なものは全く下がる気配がありません。

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 オリーブオイル5リットル缶
現在市場ではほとんど出回らず、問屋が価格高騰を狙って売り惜しみしているという噂がある

 12月の値上げは明らかに便乗値上げでしたが、未だにジワジワと値上げしている商品もあります。12月に値上げ幅が小さかったからと油断していると、今頃になって5割値上げなど、信じられないことが続いています。

 マーケットに行っても、ほとんどの買い物客は必要最低限の商品を買い物かごに入れるだけです。中には店内を見回しただけで、手ぶらで出ていく人もいます。そもそも、トルコには定価という概念が希薄なので、ある商品の価格が本当は一体いくらなのか、メーカーのウェブサイトで発表されていない限りは誰にもわかりません。同じ商品が、AマーケットとBマーケットで2倍の価格差があることもあります。オンラインのショッピングモールでは年末年始もセールを続けていますが、出店者は便乗値上げをやりたい放題で、価格比較サイトで安値を確認しないと、高値で掴まされることになります。消費者が買い控えして、業者が在庫の山を放出せざるを得なくなるまで、持久戦しかないのかもしれません。

オミクロンの蔓延

 トルコでもオミクロンが猛威をふるっており、1か月前には新型コロナの患者数が2万人前後だったのに、現在は7万人を超えています。ただし、死者数は1か月前とほぼ同様の水準で、現在毎日150人前後となっています。政府は、患者数の急増を受けて、症状が出ていない人のPCR検査を有料にしました。症状が軽い患者は自宅で7日間待機し、待機期間が終了したらPCR検査を受けずに、自主隔離を解除できるようになりました。また、国内線搭乗時のワクチンパスポート提示義務を除き、長距離バスなどでの提示義務を撤廃しました。ただし、マーケットへの入店時はマスク着用、ショッピングセンターへの入店時はHESコードというトルコ独自のコードを示してコロナ患者ではないことを証明する必要があります。マーケットをはじめ、カフェやレストランも通常の営業を続けています。

 滞在許可証のある外国人を含め、2回ワクチンを接種済みの人は、3か月後に3回目を接種でき、3回目の接種が終了したら、約1か月後に4回目が受けられます。2回の接種率は、保健省の発表では84%を超えていることになっていますが、これはいささかトリッキーな数字です。世界基準では全人口に対する接種率で数値を発表しているのに対し、トルコでは18歳以上の接種対象年齢を母数にしています。18歳以下の人口が約1,800万人ですので、世界基準だと日本の79.2%に対して、わずか62%で、2回接種を終えている国民は3人に2人に留まっています。政府は引き続きテレビやマスメディアで接種の呼びかけを行っていますが、この数字を世界基準に改めない限り、危機感が高まらないのではないかと危惧しています。

エネルギー危機

 トルコは中東の産油国や天然ガスの産出国に囲まれながら、エネルギーの大半を輸入しています。これは、ひとつには数十年もの間にわたり主に東南部や東部の国境地帯でのテロとの戦いが続き、エネルギー埋蔵量の調査など二の次になっていたことがありました。近年テロとの戦いも落ち着き、数年前黒海で天然ガスが発見されたことから、2023年第1四半期に国産ガスの使用を目指して、急ピッチで施設の建設などを進めています。それまでは、石油、天然ガス、石炭などの大半のエネルギーを近隣諸国であるイラン、アゼルバイジャン、ロシアなどからの輸入に頼らなければなりません。

 ところが、1月の中旬、イランがトルコ向けの天然ガスの供給を10日間停止すると発表しました。折しも今年はトルコ全土で大寒波が押し寄せてほぼ全土で雪が降り、国民生活は大混乱に陥っています。トルコではほとんどのアパートやマンションでセントラルヒーティングの設備があり、冬季は天然ガスの使用量が急増します。したがって、家庭用の天然ガスの供給を止めたら、国民生活に大きな影響を及ぼすことは目にみえています。セントラルヒーティングは天然ガスと電気を使うので、国民側からすれば、年初の電気料金と天然ガス料金の大幅値上げに加え、大寒波の襲来は大ピンチです。政府は家庭用の天然ガスの供給を継続するために、工業用天然ガスの供給を減少し、薬や食料品など一部の例外を除くメーカーの工場を数日間操業停止にする措置を講じています。この措置で、大中小を問わず、メーカーの工場がエネルギー停止の影響を受けているようです。幸い、イランからの供給停止は予定の半分の期間で落ち着き、また供給が始まっているようです。ただし、ロシアからもウクライナ経由で天然ガスの供給を受けており、最近のロシアとウクライナ情勢次第では、再度エネルギー危機が生じるかもしれません。

大寒波

 トルコは日本と同様に四季がはっきりしており、冬には山岳地帯を中心に雪が降ります。ここ数年は暖冬で降雪が少なく、特に昨年の今頃はイスタンブールを中心に春のような陽気で、もう冬は来ないのではないかといわれていました。今年は先週あたりからトルコ全国で大寒波に見舞われ、どこもかしこも雪に覆われています。24日は特に全国的に降雪が多く、イスタンブールでは除雪が間に合わずに、高速道路や幹線道路をはじめ、あちこちで車両が立ち往生したり、車を乗り捨てて歩いて帰宅する人が続出しました。大都市であるイスタンブールやアンカラは坂の多い都市として知られ、雪が降ると運転に慣れていないドライバーや冬用タイヤを装着していないドライバーによる事故が多発します。テレビでは朝から夜まで、降雪、道路封鎖、交通事故、空港やバスターミナル施設の状況を刻々と伝えています。

 先週末から2週間の冬休みが始まったため、コロナ禍にもかかわらず、旅行客が空港や長距離バスのターミナルに押し寄せたものの、イスタンブール発の大部分の航空便や、全国で長距離バスが欠航・欠便となり、自宅に戻れない人々が空港やバス乗り場の施設で夜を明かしたということです。夜を徹しての作業で、高速道路や幹線道路は何とか車の往来が再開しましたが、3年前に郊外に新しく開港したイスタンブールの新空港では除雪が間に合わず、30時間以上離発着が禁止され、はからずも新空港の弱点が明らかになりました。イスタンブール空港は森林や畑地を切り開いて建設された空港なので、空港周辺には観光客が泊まれるようなホテルがまだ建設されていません。しかも、市街地への道路も除雪が間に合わず、封鎖されています。空港に閉じ込められた搭乗客は空港内の空いている場所で夜を明かさずを得ず、国内外の搭乗客により大規模なプロテスト行動が行われているようです。

 25日には、エーゲ海や地中海沿岸の普段なら冬でも暖かい保養地も、30年振りに雪が降り、真っ白になりました。26日も引き続き全国的に降雪が予想され、公務員の出勤見合わせ、大学の週末までの休校などが発表されています。

 この悪天候で、青果市場に出荷される野菜や果物が50%減少したというニュースがあり、物価が上がるおそれがあります。

 このように、トルコは波乱万丈な年明けとなりました。

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PickUp編集部 トルコ特派員