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FX/為替「投資で大切な『勝ち逃げ』発想」雨夜恒一郎 氏 FX特別インタビュー(中編)

投資で大切な「勝ち逃げ」発想

 

以下の取材記事は個人の経験や考えに基づくものです。その内容について当社が保証するものではありません。実際のお取引については充分内容をご理解の上ご自身の判断にてお取り組みください。

全3回にわたり、2021年まで毎週火曜日に定期動画投稿をご担当いただいた、「マーケットの語り部」こと為替アナリストの雨夜恒一郎氏にインタビューいたしました。今回は銀行ディーラーから個人投資家になって実感したことや、外国為替の世界に足を踏み入れるきっかけなどについてお話いただきます。

▼目次

1.短期売買について思うこと
2.個人投資家になって気づいたこと
3.外国為替を選んだ理由

1.短期売買について思うこと

編集部
編集部:
前編に続き)「相場のステージ」をそれほど意識しなくてよい、短期売買については何を気にすればよいでしょうか。
雨夜氏
雨夜:
スキャルピングやデイトレードをするトレーダーは、情報を見て即座に反応する必要があると考えます。これは、もうファンダメンタルズ分析などは関係なく、肌感覚というか、才能だと思っています。スキャルピングのうまい人は、度胸があり、ヒリヒリした感覚に慣れている人ではないでしょうか。
編集部
編集部:
つまり、誰もが出来るトレード方法ではないんですね。
雨夜氏
雨夜:
ええ。少ない値幅で利益を上げるのであれば、動かす金額が大きくなります。例えば100万ドルを動かすことは、個人投資家でなくても勇気がいることです。
編集部
編集部:
すると、短期トレードでコツコツ利益を積み上げても、ドカンと損を出すこともあり得るので、自分に才能があるかどうかを知っておくことが大事なんですね。
雨夜氏
雨夜:
いわゆる「コツコツドカン」について、トレードをしすぎるということが課題だと思っています。コツコツ利益を積み上げ、「勝ち逃げ」をすればいいと思うんですが、取引を多くやってしまう。私が銀行を退職し個人投資家になったとき、他の個人投資家の方々が結構な量のポジションを持っていることが分かりびっくりした記憶があります。 私の感覚からすると、個人があり得ない大量のポジションを持っていることもありました。 FXの場合、暴落で「ドカン」になることがありますので、コツコツ利益を貯めたのであれば暴落に備えてストップ注文を置くとか、ポジションを小さくするなどして資産を無くさないよう注意するくらいしかないと思います。 だいたい、「コツコツドカン」になる人はポジションサイズが大きいのではないかと。10銭、20銭を狙ってコツコツするなら、損切りを入れて、不利になったポジションをスパッと切らないと割合が悪くなります。

2.個人投資家になって気づいたこと

編集部
編集部:
いまのお話しに関係しますが、雨夜さんが2006年から個人投資家になって、気づいたことや感じたことは何でしょうか。
雨夜氏
雨夜:
基本的に、外国為替ではそう簡単に勝てないと思った方が良い、ということです。マーケット参加者は世界中のプロの金融機関のディーラーやAIです。「プロが切磋琢磨している世界で、簡単に利益を得るのがそもそも困難」と思うところからスタートしたほうがよいですね。
編集部
編集部:
・・・手厳しいですね。
雨夜氏
雨夜:
その前提に立ったうえで、自分が試してこれはというトレードルールを作り上げたり、投資パターンを守ったほうがいいと思います。 以前、システムトレードに近いことをやってみました。いろんな投資手法を考えてバックテスト(※過去のレートを用いて売買ルールの有効性を検証すること)した時期もありました。そのような経験を経て、ずっと儲けられるようなEAがあれば何十万円払っても買いますが、そんなものはないことが分かりました。プロは1秒以下の世界で取引を行っていて、これにかなわないです。
編集部
編集部:
ご自身でひととおりトレードを試した結論なんですね。
雨夜氏
雨夜:
ですので、私は一定のシナリオに基づいて中長期のポジションを取ることにしました。イベントドリブンであれば3~5日、長期であれば半年~1年、あるいは持ちっぱなしというポジションもあります。個人投資家はトレードより投資に重きをおくことで、より優位性が高まると考えています。

3.就職先に外国為替を選んだ理由

編集部
編集部:
長期投資に持ち込むんですね。では、投資に対する変わらない思いなどはありますか。
雨夜氏
雨夜:
外国為替に携わって長いですが、為替に対して常に「謙虚であるべき」だと思っています。破産した投資家や会社なども知っていますし。なので、私は投資に対して臆病者ですよ。私とおなじように身の丈に合う投資額で、恐る恐るやっている個人の方は実績が出ていると思います。派手にスキャルピングで儲ける映像も目にしますが、上手に出来るのは一握りだと思うし、私には真似できないです。
編集部
編集部:
そもそも、雨夜さんはなぜ外国為替の世界に飛び込んだんですか?
雨夜氏
雨夜:
私が社会人になる時、最先端の商品が外国為替だったからです。 外貨建てインパクトローンというのは、1980年代では外銀でしか扱っていなかったんです。 外為法の改正で、実需がないとダメという時代から解放され、外銀が東京でディーリングルームを開設しました。商品として最先端で、給料も高かったんです。そのころ有名なディーラーはファーストシカゴ銀行の坂本軍治さんなどでした。都銀もかなりイケイケで、若いトレーダーが一晩で100本など、平気でポジションを持った時代です。当時は円高が続き、乱暴に言えばドルを売っていれば儲かったような頃です。ドルを売って、一時的にアゲンストになっても2~3日たてば利益になっているような感じです。そんな荒っぽい時代に、ディーラーになってひと山稼ごうと思いました。
編集部
編集部:
いまでは当たり前のように個人がFXトレードを行っていますが、一部の銀行しか外国為替に携われないころもあったんですね。
雨夜氏
雨夜:
ですので、ディールや為替が大好きだから銀行に就職した、というわけではないんです。20代で人生設計をするなかで、若いころに死ぬほど働いて稼いで、人生の後半は好きなことをしながらゆっくり暮らそう、先行逃げ切りの人生を考えていました。見渡すと、外銀は給料が良く、成功すれば若くても数千万のボーナスが出る世界でした。当時、高収入を得る可能性が高かったのが外銀だった、ということです。
編集部
編集部:
しっかり人生計画していたんですね。すごいです。
雨夜氏
雨夜:
その後20年間銀行で勤め、予定通りしっかり稼いだので退職し、そのお金をもとに個人投資家になって投資資金を倍にして、給料が安くても好きな仕事をしながらハッピーに暮らす、ということをしてきました。ですので、投資でディールをするならば、何かの目的や目標があってするべきと思っています。私は若いころから、「住宅ローンを払い終わった家、金融資産1億」を目標にしていました。健康な体と家族、ストレスのない仕事も求めていました。
編集部
編集部:
強い意志を持って実行されたんですね。
雨夜氏
雨夜:
私がそこまでこだわるようになったのは、きっかけがあるんです。 当時、新橋駅の銀座線改札とJR横須賀線の間の通路にホームレスがたくさんいました。通勤途中で毎日見かけるわけですが、「何かひとつ狂うと、こうなってしまうのか」と感じ、怖かったです。なので、家、現金、家族があればこうはならないという考えに至りました。
編集部
編集部:
ショッキングな体験をもとに、人生設計が強固になったということですね。
雨夜氏
雨夜:
そういう経験もあるので、目的や目標をもって投資をしてほしいと皆さんに伝えたいと思います。トレードが好きならそれ自体が目的でもよいです。私はそれほどトレードが好きはなかったですが、将来の安心や、ストレスのない暮らしを手に入れるために投資をしましたし、皆さんにもしてほしいと思います。 トレードのために会社を辞めたという人もいますが、私のスタイルとは違います。投資やトレードは幸せになるための手段であることを忘れないようにしたいですね。
編集部
編集部:
身が引き締まる思いです。
雨夜氏
雨夜:
目的を持つと、投資自体を楽しむより、投資の振り返りが大事だと気づけると思います。 投資の失敗を言い訳しても始まらないです。 なぜ損になったのか、どう考えてポジションをとって、どう間違ってロスになったのかを振り返る。しっかり整理すれば、仮にロスが出ても「負け」ではないし、経験を次に生かせれば良い判断ができる。 そのためには記録をとる必要があります。
編集部
編集部:
雨夜さんはどのように投資を記録しているのでしょうか
雨夜氏
雨夜:
記録は主な指標の結果、その日の動きを具体的に書いて残します。文章にすれば、こんなポジションをとって負けたなというのがわかる。銀行に入った新入社員のころから、何十年も続けています。トレードは、言い訳するよりも記録をすべきであり、振り返りが大事です。言い訳しても、結果的に損するのは自分ですからね。
編集部
編集部:
ロスは「負け」ではなく、その失敗やロスをどう次につなげるか、なんですね。

PickUp編集部より

中編では外国為替の世界に足を踏み入れるきっかけとなったことや、銀行ディーラー時代から続けている「取引の記録」のことなどを伺いました。後編では、これまでの相場で儲かった局面や失敗した局面、そして個人投資家に向けたメッセージについてもお話いただきました。ぜひご期待ください。

投資の真髄がここにある!伝説のディーラー列伝 インタビュー記事まとめ

media.gaitame.com

 
amaya_96_130.jpg 雨夜恒一郎 氏
為替アナリスト スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど大手外資系銀行で、20年以上にわたり外国為替部門の要職を歴任。2006年に独立し、自己資金運用のかたわら、フリーランスの立場で市況・予想記事を提供中。ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析はもちろん、オプションなどデリバティブ理論にも精通する、「為替マーケットの語り部」。
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