目次
▼3日週のドル円は上伸後、上げ幅削る
▼市場は3月利上げを視野に
▼FRB議長による資産圧縮への言及あるか
▼115円台前半から半ばでの底固めできるか注目
▼1/10 週のイベント
▼一言コメント
115円の値固め成功なら118円半ばへ、パウエル議長の資産縮小への言及に警戒
3日週のドル円は上伸後、上げ幅削る
年明けは年末年始に目立ったネガティブニュースがなく、昨年末の流れを踏襲してドル/円は買いが先行しました。直近高値115.516円(2021年11月24日)を抜けて、2017年1月以来の水準となる116.34円付近まで上値を切り上げました。その後は、米金融当局のタカ派化がより明確となったFOMC議事録を受けて116.10円台へ戻す局面もありましたが、不安定な株価動向から115円半ばへ押し戻される格好になりました。
市場は3月利上げを視野に
オミクロン株によるパンデミック警戒は一度横において考えると、市場のメインテーマは米国の金利正常化スピードへ向かっています。市場では、先のFOMC議事録を受けて3月利上げも視野に入れ始めているほか、5月にも購入資産圧縮に対する何らかのメッセージが出るのではとの声も聞かれます。こうしたタカ派バイアスを素直に受け止めれば、米金利を押し上げドル/円のサポート材料とみることは可能です。しかしながら、金利上昇は消費者心理を冷やし企業業績を圧迫することも容易に想像がつきます。想定以上に速い引き締めは株価調整をもたらし、投資家のリスク回避行動を誘発することも想定され、この部分は円高圧力に通じます。
総合的には、中長期ではドル/円は底堅さを維持しそうですが、短期的なところで下値は万全とは言い切れず来週のイベントを通じてどこまで値固めできるかがポイントかもしれません。10日週は、11日のパウエルFRB議長の指名承認公聴会を皮切りに12日の米12月消費者物価指数、14日に同12月小売売上高、同1月ミシガン大学消費者態度指数・速報値と投資家心理を揺さぶりそうなイベントが並びます。前段を踏まえれば、金融政策への思惑と投資家マインドの強弱が為替相場のドライブ要素になりそうです。
図表1.米消費者物価指数 出所:米労働省労働統計局
FRB議長による資産圧縮への言及あるか
色々なケースが考えられますが、仮に消費者物価指数が物価上昇圧力の長期化を示唆する結果となれば、ドル/円は底堅さが増すでしょう。加えて消費の回復や消費者心理の改善も示されれば、早期利上げに対する不安が後退するなかで株高・金利高・ドル高からドル/円がもう一段上を目指す展開が見込めます。
これとは逆で、物価の押し上げ圧力が和らげば、緩やかな利上げ観測から金利低下・株高に伴って、ドル/円はやや上値が重くなる可能性があります。さらに、消費鈍化や消費者マインド後退となれば、今度は株安・金利低下でドル/円が下方向を試す展開も予見されます。
加えて、パウエルFRB議長がFRBのバランスシート縮小について言及する可能性もあり、こちらも相場動向に影響を与えそうなイベントで注視したいです。最後に、来週後半から10-12月期の米企業業績が発表されますが、悲観的な業績見通しが出てくれば、前月後半からの楽観的な株式市場に調整が促される危険も考えられます。どちらに転ぶかは不明ですが、各指標の強弱でドル円の方向性が日替わりで真逆となる危険はあり、長めのポジショニングは危険かもしれません。取引は少額に絞って、機動的に益出しを心掛けるべきでしょう。
115円台前半から半ばでの底固めできるか注目
ドル/円は直近高値の115.516円(2021年11月24日)を越え、目立った上値抵抗帯が見あたらず、115.516から112.533円(2021年11月30日)の下落幅の倍返しとなる118.499円が中長期的に視野に入った感じはあります。
しかしながら、日足一目の雲が短期的に低下しており、下値のサポート力が不足気味なのも気になります。115.32円付近の一目転換線付近で値固めして、上方向を目指す下地が作れるかどうかがポイントかもしれません。このレベルの維持に失敗すれば、114.50円アラウンドの同基準線付近まで値固めが長引く危険はあります。
図表2.ドル/円-日足、テクニカル-一目均衡表 出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:
USD/JPY:114.60-116.80
1/10 週のイベント:
1月10日(月) - 日本 休場
1月11日(火) 14:00 日本 11月景気一致指数(CI)・速報値
1月11日(火) 14:00 日本 11月景気先行指数(CI)・速報値
1月11日(火) 24:00 米国 パウエルFRB議長、指名承認公聴会
1月12日(水) 08:50 日本 黒田日銀総裁、挨拶
1月12日(水) 08:50 日本 11月国際収支・経常収支
1月12日(水) 08:50 日本 11月国際収支・貿易収支
1月12日(水) 22:30 米国 12月消費者物価指数(CPI)
1月13日(木) 22:30 米国 12月卸売物価指数(PPI)
1月13日(木) 22:30 米国 失業保険継続受給者数
1月13日(木) 24:00 米国 ブレイナードFRB理事、指名承認公聴会
1月14日(金) 08:50 日本 12月国内企業物価指数
1月14日(金) 08:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
1月14日(金) 22:30 米国 12月小売売上高
1月14日(金) 23:15 米国 12月鉱工業生産
1月14日(金) 23:15 米国 12月設備稼働率
1月14日(金) 24:00 米国 11月企業在庫
1月14日(金) 24:00 米国 1月ミシガン大学消費者態度指数・速報値
(執筆:小野 直人)
一言コメント:
一言コメント:フランスの大手通信社AFPBBが、ケニアのKFC(ケンタッキーフライドチキン)でポテト品切れ、国産イモ不使用発覚で不買運動が起きていると報じました。記事によれば、フライドポテトが品切れとなったことで同チェーンがケニア産ジャガイモを使っていない事実が発覚し、ユーザーの怒りを買っているとのこと。国際物流の混乱が原因で、ジャガイモが品薄となったところまでは温情もできたのだろうが、KFCが地元農家がジャガイモを保有しているにもかかわらず、それを仕入れていないと認めたことで愛国心に火が付いたようだ。日本でも先日、大手ハンバーガーチェーンがポテトの販売を制限していたが、コロナによる物流の混乱が日本ではあらぬ方向へ向かわずに済んでホッとしています。
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