総括
FX「与党ANC支持率50％割れ。ボリバン2σ下限からは反発し政策金利決定を待つ」南アランド見通し
通貨6位、株価7位
予想レンジ 南アランド円 7.2-7.7
（ポイント）
＊与党ANCの支持率50％割れ
＊中国景気指標に左右される南ア経済
＊次回金融政策決定会合は11月18日、引き締めか
＊欧米が南アの石炭脱却へ資金援助約束
＊コロナ感染者数は減少
＊10月アブサ製造業PMIとマークイットの総合PMIはともに悪化
＊石炭価格急騰でランドが上昇、急落で下落
＊9月貿易収支は縮小
＊計画停電実施中
＊株価は底堅い
＊IMFは2021年の成長率は引き上げたが22年は低成長とした
＊9月消費者物価は5％上昇
＊インフレ目標は3-4％へ明確化
（与党ANCが支持率落とす）
11月1日の地方選挙は、与党・アフリカ民族会議（ANC）の支持率が初めて50％を割り込んだ。また白人追放を訴える野党第2党のEFFが支持率を伸ばした。今後の政権運営に不安残す結果となった。今回の統一地方選挙は3年後に予定されている総選挙の前哨戦と位置づけられ、ANCとしては今後、汚職のまん延や経済格差への国民の不満に向き合うことができるかが問われることになる。
（中国景気、資源価格に左右される）
さて20年4月のコロナ禍から上昇してきた南アランドだが今年の6月から反落、10月は石炭価格の急騰で対円で8円近くとなったが、その後反落、月足も10月は長い上ヒゲを残し売り圧力を示した。10月31日に発表された中国の製造業PMIが7か月連続で悪化したので中国依存度の高い南ア経済への重しとなった。9月貿易収支は222.3億ランドの黒字となったが、予想の480億ランドの黒字を下回った。輸出の1％増加に対し輸入が15.9％増加し黒字が縮小した。中国の石炭価格抑制で石炭のみならず資源価格が下落し南アランドを押し下げた。また計画停電が続くのは景気後退要因。国営電力会社エスコムは、老朽化した石炭火力発電所の不具合で先週毎日、計画停電を実施していた。
ただ昨日11月7日発表された中国の10月貿易統計は輸出入伸びて黒字も拡大したので
南アにとって好材料だ
（金融引き締めとなるか）
金融引き締め観測やコロナ感染抑制策の解除での景気回復期待などがランド上昇要因。IMFは今年の成長率を4.0％から5.0％へ上方修正している。先週の10月アブサ製造業PMIとマークイットの総合PMIはともに悪化した。次回金融政策決定会合(11月18日）では物価上昇で追加利上げ観測があり、現在の3.5％から3.75％へ引き上げられる見方が多いが景気は減速してきた悩みがある。南ア全株指数は年初来14.17%高。
（欧米が南アの石炭脱却へ資金援助約束）
バイデン大統領はCOP26で、アフリカ最大の二酸化炭素（CO2）排出国である南アの迅速な石炭脱却を支援するため、英仏独およびEUとの新たなパートナーシップに参加すると表明した。
バイデン大統領は「南アの石炭火力発電所を予定より早期に閉鎖し、南ア国民のためにクリーンな代替エネルギーに投資する」ことを通じ、温室効果ガス排出量のネット（実質）ゼロを目指す世界的な取り組みを強化できるよう資金援助すると言明した。
ジョンソン英首相は、このイニシアチブが総額85億ドルと見込まれ、「石炭に向けられる国際金融の遮断」が世界的な気候変動対策に関する目標達成の一助になると述べた。
（コロナ感染）
ここ1週間のコロナ感染者数は1日当たり平均で266人で改善傾向にある
（石炭価格推移）
これが最近の石炭価格推移だ。中国の供給問題で急騰し、石炭を産出する南アのランドの上昇要因となったが、その後中国が厳しい価格抑制策を打ち出し急落している。
テクニカル分析（ランド/円）
5連続陰線の後は4連続陽線
日足、5連続陰線の後は4連続陽線。雲の上へ上昇。10月末は下ヒゲ長い。11月3日-5日の上昇ラインがサポート。10月21日-11月5日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き。
週足、8月23日週-11月1日週の上昇ラインがサポート。10月25日週-11月1日週の下降ラインが上値抵抗。雲の上。先週は下ヒゲ長い。
月足、雲に一時突入も反落。20年8月-10月の上昇ラインがサポート。21年6月-10月の下降ラインが上値抵抗。10月上ヒゲ長いが11月は陽線スタート。
年足、18年-20年の下降ラインを上抜く。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。20年の下ヒゲも効いている。
喜望峰
南アの一人当たりGDPは
一人当たりのGDPは5067ドルである。トルコの8548ドル、メキシコの8347ドルと比べて低い。日本は40146ドル、スイスは86849ドル、米国は63285ドルである。
南アはこの低さはあるが、収入格差、白人と黒人の格差もあり、先週の選挙で格差是正や白人追放、白人の土地没収を政策とするEFFが議席を伸ばした。
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