「ドルは115円迫るも油断禁物、円はトルコと選挙
ドル円は強含み
世界的なインフレ懸念、日本と主要国の金融政策の方向性の違いなどを手掛かりに円の弱さが目立ちました。また、7-9月期米企業決算が好調なことから株価が押し上げられたことも円の上値を重くする要因になりました。ドル円は114円台前半(執筆時点)と2018年11月以来となる水準まで上昇しました。
ドル円115円台回復も
来週はトピックとなりそうな話題は控えめながら、11月2-3日の米FOMC(連邦公開市場委員会)の議論の土台となる地区連銀経済報告(ベージュブック)がポイントになりそう。11月テーパリング開始を織り込んでいますが、テーパリング先送りを予感させる内容となれば、期待先行の反動から短期的な調整はあり得るかもしれません。反対に足もとの労働市場やインフレ動向を受けタカ派なトーンが並べば、ドルをもう一段押し上げる期待もあります。この場合、未だインフレ長期化を十分に織り込んでいない長めのゾーンの金利上昇も加わって、ドル円は2017年以来の115円台回復もみえてきそうです。
また、住宅市場の先行指標となる住宅建設許可件数も気になるところです。直近、リバウンド傾向を示し始めていますが、価格上昇から販売が低迷するなかでこの流れが本当に信じられるか見極める必要はあるでしょう。住宅市場の回復観測が広がれば、FRBのタカ派ムードを前進させてドル円上昇を後押すでしょう。一方、期待外れとなれば景気への向かい風となりドル円抑制の一因となるか。
円動向にも気配り
ただし、来週は円の動向には注意が必要かもしれません。21日にトルコの金融政策会合があります。弊社レポート「市場の信認はもはや回復不可能」で指摘されていますが、エルドアン大統領による中銀への圧力が増しています。市場はこうした状況を嫌気してリラ売りを先行させている部分もあって、リラ円は史上最安値の12.01円前後が視野に入っています。22日の金融政策で想定以上に利下げ幅が大きくなれば、リラ保有者の投げ売り(リラ売り・円買い)がドル円やそのほかのクロス円へ波及してくる危険はあります。また、21日を待たずしてトルコ中銀が動くことも予想されるため、リラ円の動向も注意しておいて損はなさそうです。また、本邦では19日に第49回衆院選が公示されます。欧米勢は何かと政治話題が好きですので、各党の選挙活動にも目を光らせるべきでしょう。押し目買いが基本線ですので、こうしたノイズによりドル円の下押し場面は絶好のロング構築と考えたい。
ドル円、114円半ばの抵抗試す格好か。
年初からの上昇チャネルの上限を上抜けしてこれまでの109-112円から112-116円へレンジが一段と切り上がった感があります。直近の上昇スピードが速かったため、このまま同レンジで定着できるかどうかは不明ですが、直近の騰勢を鑑みれば、2017年以降、上値が抑制された114.50-70円の抵抗帯を試す可能性は十分にありそうです。
予想レンジ:
USD/JPY:112.50-115.00
10/18 週のイベント:
10/18(月) 22:15 米国 9月鉱工業生産
10/18(月) 22:15 米国 9月設備稼働率
10/18(月) 23:00 米国 10月NAHB住宅市場指数
10/18(月) 03:00 米国 9月月次財政収支
10/18(月) 05:00 米国 8月対米証券投資
10/18(月) 05:00 米国 8月対米証券投資(短期債除く)
10/19(火) - 日本 衆議院公示
10/19(火) 21:30 米国 9月建設許可件数
10/19(火) 21:30 米国 9月住宅着工件数
10/20(水) 08:50 日本 9月貿易統計(通関ベース)
10/20(水) 03:00 米国 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
10/21(木) 21:30 米国 10月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
10/21(木) 21:30 米国 失業保険継続受給者数
10/21(木) 23:00 米国 9月景気先行指標総合指数
10/21(木) 23:00 米国 9月中古住宅販売件数
10/22(金) 08:30 日本 9月全国消費者物価指数(CPI)
10/22(金) 22:45 米国 10月サービス部門購買担当者景気指数(PMI、速報値)
10/22(金) 22:45 米国 10月製造業購買担当者景気指数(PMI、速報値)
10/22(金) 22:45 米国 10月総合購買担当者景気指数(PMI、速報値)
(執筆:小野 直人)
一言コメント:
10月も早いもので、折り返し地点。日一日と日照時間も短くなり、秋が深まっていくのを実感する今日この頃です。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。