執筆日時:2021年10月11日10時00分
執筆者:株式会社外為どっとコム総合研究所 小野 直人
※チャート:ドル円-15分足 外為どっとコム「ネオチャート」
米雇用統計のふりかえり
8日、米労働省が発表した9月の非農業部門雇用者数(NFP)は19.4万人増と、市場予想50.0万人増の半分以下に留まり、今年最も低い伸びとなりました。教育関連の採用が終了した政府部門の下落が全体を圧迫したほか、製造業分野の人員増も5.2万人増と相変わらず低水準にとどまりました。また、時間給の伸びも前月比0.6%増とインフレ傾向の継続性をうかがわせるなど、米国が抱える供給抑制問題の解消時期がまだ先になることを示唆する結果となりました。
このように期待外れにみられる今回の雇用統計ですが、前向きな材料も散見されています。それは小売業の回復です。7・8月は減少しましたが9月は5.61万人増へ転じています。対照的にヘルスケアは1万人増にとどまり、コロナ変異種の悪影響が薄らぎつつある様子がうかがえました。失業保険給付の特例が失効したこともあわせて考えれば、今後も雇用が持ち直す可能性は十分にあり、そう悲観的な内容ではなさそうです。金融市場が見通す年内テーパリング予想も変化していません。
結果公表直後に111.80円付近から111.50円近辺へ下振れしたドル円は、米長期金利が1.61%へ上昇するのを横目に見ながら112.25円と年初来高値を塗り替えました。他方、株式市場は買いが先行したものの、テーパリング観測に変化がなさそうとのムードが広がると頭が重くなり、結局、ダウ平均は前日比8.69p安の34,746.25ドルで週の取引を終えました。
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