未来への期待感が豪を支える!?
今週の振り返り
週初は米国の債務上限問題やインフレ懸念から米長期金利利回りが上昇。週央から後半にかけては、米ISM非製造業やADP雇用統計などの米国の経済指標が予想を上回る結果となったことや米債務上限問題への懸念が和らいだことでリスクオンの株高となりリスクセンチメントに敏感な豪ドル、NZドルはともに底堅い動きとなりました。豪では5日に発表された8月貿易収支が150.77億豪ドルと予想の101.00億豪ドルを大幅に上回る結果となったことも支えとなりました。同日の豪準備銀行(RBA)理事会では政策金利を0.10%での据え置き、債券買い入れ額と期間をそれぞれ週40億豪ドルと来年2月中旬までと前回(9月7日)の決定を維持しました。他方でNZでは6日のNZ準備銀行(RBNZ)理事会で政策金利を0.25%→0.50%への利上げを発表しましたが、市場では0.25%の利上げは織り込み済みであったために発表後のNZドルは「噂で買って、実で売る」の相場格言通り売りに押される展開となりました。ただ、売り一巡後は前述の株高や堅調に回復するNZ経済が支えとなりました。
過去と未来
豪では14日に9月豪雇用統計が発表されます。前回(8月分)では雇用者数は-14.63万人(予想:-8.00万人)、失業率は4.5%に低下したものの労働参加率が65.2%に低下したことが理由。と良い所がない結果となりました。今回は雇用者数が-16.00万人、失業率は4.9%、労働参加率は64.6%と悪化予想となっています。調査期間中は豪最大都市シドニーを含むニューサウスウェールズ(NSW)州や第2の都市メルボルンを含むビクトリア(VIC)州がロックダウン中であったこと、豪総人口の約58%がNSW州、VIC州に住んでいるため影響は大きくなってしまいます。この2州での減少幅をロックダウンが解除された他州でどこまでカバーできるかが焦点となりそうです。雇用者数がプラスとなっていたら特大のポジティブサプライズ。予想よりもマイナス幅が少なくても豪ドル買いの材料となりそうです。そのほか、豪では12日にNAB企業景況感指数、13日にウエストパック消費者信頼感指数と景況感をはかる指標が予定されています。ワクチン接種の加速やロックダウンが解除された地域での経済の力強いリバウンドと企業、消費者が未来に関しては明るい予測(期待)を持つ理由がはっきりとあります。過去の数字は悪いが未来は明るい。そんな豪経済ですので、あとは出た結果をしっかりと嚙み砕いて短期的な方向感をつかみたいところです。12日に国際通貨基金(IMF)が世界経済見通し(WEO)を発表します。長引く新型コロナとの闘いで世界経済や中国経済の成長率予測が前回(7月)から減速しているようですと、短期的には豪ドル売りの材料となりますので要注意です。
エネルギー価格
豪中摩擦や新型コロナの影響による物流の混乱などの要因から石炭や天然ガス等のエネルギー価格が急騰しており、それを端にしたインフレ懸念が広がりつつあります(エネルギー以外の資源も輸送にエネルギーが必要ですからね)。ロシアのプーチン大統領が「世界のエネルギー市場の安定を支援する用意がある」と表明しましたが、実際にどこまでやるのかは不明です。豪では石炭や天然ガスといった鉱物性燃料の輸出が豪全体の輸出品目の約3割を占めます。北半球が冬に向かい、エネルギー消費量が増加することも見込まれていますので、豪経済にとってはエネルギー価格の上昇は当面は支援材料となりそうです。
三役好転
豪ドル円は①転換線が基準線を上抜ける。②日足が雲の上。③遅行線が日々線の上。と三役好転となり買いのサインが出ています。9月3日、7日の高値82.00円付近で上値を抑えられていますが、ここを抜けることができれば、5月10日の高値と8月20日安値を結んだフィボナッチリトレースメント61.8%戻しとなる82.75円付近までの上昇も考えられます。下値は一目均衡表・雲や転換線が目途となりそうです。
予想レンジ:
AUD/JPY:80.50-83.00、NZD/JPY:76.50-79.00
10/11 週のイベント:
10/12 (火) 09:30 豪 9月NAB企業景況感指数
10/13 (水) 未定 中国 9月貿易収支(米ドル)
10/13 (水) 08:30 豪 10月ウエストパック消費者信頼感指数
10/14 (木) 09:30 豪 9月新規雇用者数
10/14 (木) 09:30 豪 9月失業率
10/14 (木) 10:30 中国 9月消費者物価指数(CPI)(前年同月比)
10/14 (木) 10:30 中国 9月生産者物価指数(PPI)(前年同月比)
(執筆:中村 勉)
一言コメント:
昨晩首都圏を襲った震度5の地震。東日本震災以来の大きな地震。スマホのアラートもなって、大きくガタガタ揺れたのに、我が家の子供たちは一切気づかず爆睡していました。その眠りの深さが羨ましいと思った反面、「親が守ってくれる」という本能的なものなのかも?と考えてました。
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