2022年6月24日更新
元外銀ディーラーで現在はマーケットについて幅広い投資情報を発信するYEN蔵さんに、外貨の長期投資について解説をしていただきました。
目次
▼外貨をポートフォリオの一部に加えてみては
▼先進国の金利はほぼゼロですが
▼時間軸とレバレッジ
▼参考:過去20年のレンジ
▼注目通貨はペソ/円とドル/円
外貨をポートフォリオの一部に加えてみては
おそらく多くの投資家の方々は円への投資が100%近いのではないかと思います。長期の投資に必要なことは「時間」と「分散」です。その意味では円のポートフォリオの一部に外貨を加えるのは良い選択肢ではないかと思います。
先進国の金利はほぼゼロですが…
現状は先進国の金利がほぼゼロですが、この先各国の中央銀行は「金融政策の正常化」に向かいますので新型コロナ感染が収まり、経済が落ち着けば、いずれ金利が上昇し外貨投資のメリットの一つであるスワップポイントの受け取りのメリットが増加します。
ただそうなると各国の中央銀行の温度差が重要になりますので、各国中銀の金融政策には注意が必要です。
時間軸とレバレッジ
長期投資ですから目先の動きに一喜一憂するのは避けたいところですが、過去20年ぐらいの値動きを見て、その中での高値・安値をしっかり調べて、現在がどの位置にあるのかを認識することは重要です。
長期投資なので「外貨預金+アルファ」ぐらいのレバレッジ、つまりレバレッジ2倍程度が良いのではないかと思います。基本は毎日、1週間、1カ月と時間を決めて粛々と積み立てていくのが良いかと思います。しかし多少は相場観を働かして、下落したところでは少し多めで購入する、押し目(おしめ)を狙うなど多少の工夫する楽しみもあってもよいかと思います。
参考:過去20年のおおよその為替相場レンジ
米ドル/円 75~135円
豪ドル/円 55~108円
ニュージーランドドル/円 44~98円
カナダドル/円 68~125円
南アランド/円 6~20円
トルコリラ/円 12~100円
メキシコペソ/円 4.2~12.5円
人民元/円 11.60~20.2円
ロシアルーブル/円 1.3~4.8円
注目通貨はペソ/円とドル/円
メキシコペソ/円は2020年4月に4.23円で安値を付けた後に2022年6月8日に6.87円付近まで上昇後にFOMC前後に6.39円付近まで下落しました。その後反発して6.7円付近で推移しています。FOMCは今年(2022年)3.4%付近まで利上げをする見通しですがメキシコ中銀も2022年5月23日の会合で0.75%利上げで政策金利を7.75%としタカ派的なスタンスを維持し、この姿勢がペソを高値圏で維持させています。
7円付近は2015年の下落前のサポートレベルで、ここが一旦レジスタンスレベルとして意識されます。ここを上抜けすれば下落前の戻り高値7.5円付近がターゲットになります。
一方で短期的には前回安値の6.4円がサポート、中期的には6円付近がサポートレベルとして意識され、ここが維持されれば6~7円のレンジを予想します。
ドル/円は世界的な金融引き締めの中で日銀だけが緩和スタンスを維持していることもあり円安の流れが続いています。
2021年12月の116円、2022年3月の125円とこれまでの高値を上抜けしたところで上昇が加速しました。2022年6月に入り136円台まで上昇しましたが、急ピッチの円安にさすがに政府も危機感を抱き円安けん制発言が目立ってきたこともあり高値圏でもみ合っています。
日銀の政策変更があった場合は円高方向に大きく振れるリスクはあります。ただけん制発言だけでは効果は限定的かと思われます。
短期的には130円、125円付近がサポートとなりドル高円安のトレンドは継続と思われます。
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株式会社ADVANCE代表取締役 米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行で、20年以上にわたり、為替ディーラーとして活躍。現在は投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。ドル、ユーロなどメジャー通貨のみならず、アジア通貨をはじめとするエマージング通貨でのディーリングについても造詣が深い。また、海外のトレーダー、ファンド関係者との親交も深い。YouTubeなどで個人投資家に対して為替に関する情報を発信しており、人気を博している。
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