総括
下落止まるも、依然ボリバン下位。コロナ感染警戒レベル4への引き上げ
通貨2位、株価8位
予想レンジ 南アランド円 7.5-8.0
(ポイント)
*コロナ観戦警戒レベルを4へ引き上げ
*南アのコロナ第3波、「デルタ株」が主流に
*2Qの消費者信頼感指数と6月製造業PMIは低下
*5月貿易黒字は予想を上回った
*ズマ前大統領に禁錮15か月の判決
*一妻多夫制の容認か
*FOMCショックから半値戻し近くへ
*CPIは5.2%へ上昇
*次回政策金利決定は7月22日
*今年の成長率予想は4.1%
*米中対立激化、FRB利上げ予想前倒しで南アランドは急落した
*対円8.15-20の売りも下落を誘った
*秋に米中首脳会談の可能性あり
*1Q・GDPは予想を上回った
*1Q経常黒字は拡大
*S&Pが財政、成長率で前向きな評価を与える
*貿易・経常収支の黒字が南アランドを支える
*弱点は雇用と停電
*中銀総総裁=南ア国債の利回りの高さが海外投資家をひきつける
*経済対策財源は公務員給与の昇給凍結
*21年インフレ見通しは4.2%
(ボリバン中位にはまだ届かない、警戒レベル4への引き上げ )
FOMCショックの対円7.61から戻しつつあるがボリバン中位にはまだ届かない。厚い8円以上の売りを突破する材料は出なかった。さらにラマポーザ大統領が、6月27日に新型コロナウイルス対策が不十分と判断、今後14日にわたり国内の規制を強化(警戒レベル4への引き上げ)すると表明したことがランド売りを誘った。南アは確認されている感染者数、死者数ともにアフリカで最悪の状況にあり、現在は感染第3波に見舞われている。6月26日の感染者は約1万8000人と1日当たりでは1月の第2波のピークに迫る水準となり、インドで見つかったデルタ型変異株が急速に拡大している。
(経済指標はマチマチ、消費者信頼感指数、貿易収支、製造業PMI)
2Qの消費者信頼感指数はマイナス13と、1Qのマイナス9から悪化した。景気回復ペースが鈍化し、自動車や電子機器など高額製品の買い控えが見られた。食品・燃料価格の上昇、新型コロナウイルス感染第3波の襲来、未熟練労働者の雇用回復低迷など一連の悪材料から、より富の少ない層の信頼感が急落した公算が大きい。
5月貿易収支は546億ランドの黒字で予想の462億ランドの黒字を上回ったことは好材料だ。
6月の製造業PMIは57.4と前月の57.8から小幅低下した。販売受注と企業活動で伸びが鈍化した。ただ、好不況の分かれ目となる50は上回った。新規販売受注と企業活動の伸びが若干鈍化しているが、依然としてともに極めて好調。実際、特に需要面では5月に若干落ち込んだものの、輸出がふたたび増加に転じた。
(ズマ前大統領に禁錮15か月の判決)1
南ア憲法裁判所は、ズマ前大統領に対し、法廷侮辱罪で禁錮15か月の有罪判決を言い渡した。前大統領は汚職を巡る取り調べに姿を見せず、汚職調査担当の弁護士が憲法裁に禁錮刑を命じるよう求めていた。 先の話だが、2024年の総選挙や与党ANCの内部抗争への影響はあるだろう。
(南アのコロナ第3波、「デルタ株」が主流に)
インドで最初に見つかった新型コロナウイルスのデルタ型変異株が、南アで発生している感染第3波で主流になったとみられると、南アの感染者はアフリカ全体の3分の1、死者は40%を超え、アフリカ大陸で最悪となっている。これまでのワクチン接種ペースは鈍く、全人口6000万人のうち接種が完了したのは270万人程度にとどまっている。
感染第2波は国内で見つかったベータ型変異株によるものだったが、現在はデルタ型が新規感染の主流とみている。新たな変異株は、南アで増えているだけでなく、感染の主流になってきているようだ。完全に取って代わった。
テクニカル分析(ランド/円)
月足は5か月連続陽線とならず反落。日足は雲の上に出るか
日足、雲中へ。ボリバン中位へ向かうか。7月1日-2日の下降ラインが上値抵抗。6月21日-7月2日の上昇ラインがサポート。5日線下向く。
週足、6月21週-28週の上昇ラインがサポート。6月14日週-28日週の下降ラインが上値抵抗。ボリバン上位。
月足、5か月連続陽線とならず反落。雲の下へ。21年4月-5月の上昇ラインがサポート。18年2月-21年6月の下降ラインが上値抵抗。
年足、18年-20年の下降ラインを上抜く。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。20年の下ヒゲも効いている。
喜望峰
一妻多夫制の容認か
1人の女性が複数の男性と結婚できる一妻多夫制の容認を検討する方針を政府が打ち出し、保守層が強く反発している。一妻多夫制の容認は、結婚の包括性を高める目的で、南ア内務省の提案書に盛り込まれた。同国では1人の男性が複数の女性と結婚できる一夫多妻制が認められている。 この提案に対して保守層からは強い反発の声が挙がっている。
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