▼メキシコ中央銀行の政策変更が影響を与えるか
▼メキシコの経済状況
▼金融政策
▼メキシコペソの予想
メキシコ中央銀行の政策変更が影響を与えるか
9月のメキシコペソは上昇後に下落するという動きになり安値圏で推移しています。
8月14日のメキシコ中央銀行の政策会合では予想の通り0.5%の利下げを行いましたが、追加利下げに関しては慎重になった可能性があるのではないかと先月のレポートで書きました。その影響なのかもしれませんが、その後のドル/メキシコペソは下落を続け9月18日に20.8445ペソまで下落しドルの安値・ペソの高値を示現しました。ペソ/円も9月15日に5.035円の高値まで上昇しました。
9月17日のFOMCに向けて市場は期待感から株高・ドル安のリスクオンの動きが堅調になり、この動きは新興国通貨にも影響を与えメキシコペソもドル安・ペソ高、ペソ/円もペソ高・円安の動きとなりました。
FOMCの結果はほぼ予想通りであったこともあり、それ以降は利食いの動きとなり株安・ドル高のリスクオフの流れが顕著になりました。
ドル/メキシコペソは9月24日に22.7012の高値まで上昇し22.3395で終了しました。ペソ/円も24日に4.643円まで下落し4.724円で終了しました。
メキシコの経済状況
先月発表されたメキシコの4~6月期GDPは前年同期比-18.7%と予想を上回る悪い結果となりました。しかしその後に発表された数字は8月製造業PMI41.3(前回40.4)、7月鉱工業生産-11.3%(6月-16.7%)、7月小売売上高-12.5%(6月-16.6%)と若干改善する指標が出てきています。
9月8日に発表れた2021年の予算案は歳入が20年見通しより6.4%多い5兆5390億ペソとなりました。大規模な景気刺激策を見送り基礎財政収支の均衡を目指す予算案です。政府は21年初めにワクチンがいきわたる予想で21年の実質成長率を4.6%と予想していますが、民間金融機関の予想は20年が-9.97%、21年が3.01%の予想と政府予想を下回っています。
金融政策
メキシコ中央銀行は9月24日に政策金利を0.25%引き下げて4.25%としました。利下げは11会合連続で、予想も0.25%の利下げだったのでサプライズはありませんでした。11会合連続の利下げで4%の利下げが行われ2016年9月以来の低水準となりました。
全会一致の決定となり、声明では6~7月に経済は回復したが不確実性や下振れリスクがあるとして利下げの理由としました。
9月前半の消費者物価指数は前年同月比4.1%に達しており、これはメキシコ中央銀行のインフレ目標3%±1%なので目標値を超えてきたことも利下げ幅の縮小に影響した可能性があります。
今回インフレ率が目標を上回ったこともあり緩和サイクルが終了した可能性もあり、11月12日の金融政策会合の予想は利下げが今のところ5分5分となっています。
メキシコペソの予想
ドル/メキシコペソは22.7012まで上昇後に21.9625まで下落しペソ高になり、金融政策発表はむしろ22.5525ペソまでドル高・ペソ安となっています。利下げサイクルが終了した可能性に対してペソ高という流れになっていません。
20日移動平均線が21.697付近、60日移動平均線が21.966に位置し、ここまでの下落トレンドでレジスタンスとなっていたこれらの中期の移動平均を上抜けしサポートとして機能しています。
一方で一目均衡表の雲の下限が22.34付近、上限が22.54付近に位置し、このレベルがレジスタンスとして機能しています。
またフィボナッチ・リトレースメント38.2%(25.850~20.845)が22.78付近に位置しこのレベルがレジスタンスとなっていますが上抜けすれば50%戻しの23.36付近への上昇が予想されます。
21.66~22.76のレンジを中心に、このレンジをブレークした場合は20.88~23.36への動きを予想します。
ペソ/円は5.035円まで上昇しましたが、6月5日の高値5.105円を上抜けできずに4.634円まで下落、こちらも6月29日の安値4.624円がサポートされ、結局ペソ/円は5.105~4.624円の6月以降のレンジ内の動きになっています。
長期的には5.05円付近に250日移動平均線が位置しており、長期的トレンドのレジスタンスとして機能しています。
中期的には4.63円付近が5月20日以降のサポートとして機能しています。RSIを見ても27%台に低下してきており4.63付近はサポートレベルになると思います。ただ先週のペソの下落は大きく、4.63円を抜けた場合は週間ピボットが4.5924に位置し、4.59~4.6付近がサポートとして意識されます。
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株式会社ADVANCE代表取締役 米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行で、20年以上にわたり、為替ディーラーとして活躍。現在は投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。ドル、ユーロなどメジャー通貨のみならず、アジア通貨をはじめとするエマージング通貨でのディーリングについても造詣が深い。また、海外のトレーダー、ファンド関係者との親交も深い。YouTubeなどで個人投資家に対して為替に関する情報を発信しており、人気を博している。