<第126回調査>2019年11月22日
外為どっとコムの口座開設者のお客様を対象とした投資動向等に関するアンケート調査です。
調査実施期間
2019年11月15日(金)13:00~2019年11月19日(火)24:00
調査対象
外為どっとコムの『外貨ネクストネオ』に口座を開設のお客様層。
調査方法
外為どっとコムの口座開設者にメールでアンケート回答URLを送付。
今回の有効回答数は788件。
※必要項目を全て入力して回答して頂いたお客様を「有効回答数」としました。
問1:今後1カ月間の米ドル /円相場の見通しについてお答えください
「今後1カ月間の米ドル/円相場の見通し」については、「米ドル高・円安方向」と答えた割合が44.0%であったのに対し「円高・米ドル安方向」と答えた割合は26.5%であった。この結果「米ドル/ 円予想DI」は△17.5%ポイントとなり、前回(△8.3%ポイント)から、プラス幅が拡大した。投資家の強気度合いを示すプラス幅は1年ぶりの高水準。
調査期間前後の米ドル/円相場は109円台に乗せると上値が重かった一方で108円台前半では下値が堅いという方向感に乏しい展開であった。米中通商協議を巡るニュースに一喜一憂する中にあっても、個人投資家の米ドル強気・円弱気予想がじわりと拡大した格好。
問2:今後1カ月間の米ドル /円相場の予想レートについてお答えください
「今後1カ月間の米ドル/円相場の予想レート」については、「1円~3円の米ドル高・円安」が38.6% と最も多く、次いで「±1円で推移(36.5%)」と続き、以下「1円~3円の米ドル安・円高(17.5%)」、「3 円以上の米ドル高・円安(4.6%)」、「3円以上の円高・米ドル安(2.8%)」の順になった。
ヒストグラムの形状は米ドル高・円安方向へと傾いており、問1の結果と整合的だ。4分の3以上の回答が「-1円~+3円」に集まった事と、調査期間前後の米ドル/円相場が108円台後半で推移していた事を踏まえると、年末にかけてのコア想定レンジは107.50~111.50円あたりと考えられる。
問3:今後 1カ月間のユーロ/円相場の見通しについてお答えください
「今後1カ月間のユーロ/円相場の見通し」については、「ユーロ高・円安方向」と答えた割合が26.6%であったのに対し、「円高・ユーロ安方向」と答えた割合は36.5%であった。この結果、「ユーロ/円予想DI」は▼9.9%ポイントと、16カ月連続でマイナスを記録。弱気度合いを示すマイナス幅は前回(▼3.2%)からやや拡大した。
調査期間前後のユーロ/円相場は、米中通商問題を巡る報道に一喜一憂しながらも一時120.60円台に上昇するなどやや強含みで推移したが、個人投資家の相場観を強気に転換させる事はなかったようだ。
問4:今後 1カ月間の豪ドル/円相場の見通しについてお答えください
「今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通し」については、「豪ドル高・円安方向」と答えた割合が32.2%であったのに対し、「円高・豪ドル安方向」と答えた割合は31.5%であった。この結果豪ドル/ 円予想DI」は△0.7%ポイントと、ほぼ中立の相場観が示された。なお、前回は△6.8%であった。
調査期間前後の豪ドル/円相場は、74.00円を挟んでもみ合ったが、弱い内容の豪10月雇用統計の影響もあって上値が重かった。豪中銀(RBA)議事録で「11月に利下げを検討した」事も明らかになっており、個人投資家の相場見通しの重しになったと考えられる。
問5:今後、注目の通貨ペアについてお答えください
「今後注目している通貨ペア」について尋ねたところ、「買い」で注目の通貨ペアは、米ドル/円が39.1%の回答割合を集めて1位となった。続く2位には英ポンド/円(13.2%)、以下、3位トルコリラ/ 円(6.7%)、4位豪ドル/円(6.2%)、5位ユーロ/米ドル(6.1%)と続いた。米ドル/円の1位は86カ月連続でその人気ぶりに翳りは見られない。一方で、英ポンド/円、トルコリラ/円、豪ドル/円などは前回から回答割合が低下しており、こうした後続集団の失速も米ドル/円の独走を許す要因になっている。
他方、「売り」で注目の通貨ペアは、米ドル/円が23.2%の回答割合で首位をキープした。以下、2 位英ポンド/円(15.5%)、3位ユーロ/円(15.0%)、4位ユーロ/米ドル(14.8%)、5位豪ドル/円(6.1%)と続いた。
英ポンド/円は、前回から回答割合が小幅に低下したものの「買い」で注目、「売り」で注目ともに2位をキープ。英国が欧州連合(EU)との合意がないままEUを離脱するリスクは低下しているが、12月12日に迫った総選挙の結果次第では、英ポンド相場が再び動意付く可能性があるとの見方は根強い模様だ。
問6:あなた個人の「景況感」はいかがですか?(ひとつだけ)
今回の特別質問として、「あなた個人の「景況感」はいかがですか?(ひとつだけ)」と尋ねたところ、「良くなっている」が11.0%、「悪くなっている」は34.1%、「あまり変化なし」が54.8%となった。この質問は3カ月ごとの定例調査だが、前回の調査では、順に9.0%、44.8%、46.1%であった。
「良くなっている」の割合は微増となったが、「悪くなっている」の割合は10%ポイント以上低下しており、個人投資家の景況感が、底入れから持ち直しに向かいつつあるようにも見える。なお、前回の「良くなっている」の割合は過去10年超の調査のうち2番目に低い水準であった。個人投資家の景況感の底入れが今後の投資姿勢にどのように影響するのか見守りたい。
問7:米中貿易戦争の長期化が予見されるなか、市場の関心が再び米国のファンダメンタルズに戻る様子もみられます。あなたが現在最も注目する米国経済のデータはどれですか?(ひとつだけ)
もうひとつの特別質問として「米中貿易戦争の長期化が予見されるなか、市場の関心が再び米国のファンダメンタルズに戻る様子もみられます。あなたが現在最も注目する米国経済のデータはどれですか?(ひとつだけ)」と尋ねたところ、「雇用情勢」との回答が34.4%と最も多く、次いで「総合的な国力(20.8%)」、「個人消費動向(17.3%)」、「貿易収支(10.2%)」、「インフレ動向(6.7%)」などとなった。
「雇用情勢」については、米連邦準備制度理事会(FRB)が雇用の最大化を目指す事を義務付けられており、毎月の雇用統計の結果に市場の注目が集まる事が意識されているのだろう。その一方で、FRBのもうひとつの目標である「インフレ動向」の回答割合が低いのは、米国のインフレ率が比較的低位で安定しているため為替相場の変動要因になりにくい事が影響していると考えられる。なお、その回答の理由を自由記述形式で尋ねたところ「雇用情勢」に注目する向きからは、やはり「雇用統計への注目度が高いから」などとする回答が多かった。一方、少数派の「インフレ動向」に注目する向きからは「米国は完全雇用の状態であり、雇用統計の重要性は低下している。一方で、金利動向が(為替相場に)大きく影響するようになっており、インフレの動向が今後は重要になると考えている」との声が挙がっていた。
今後の調査実施計画及び公表方針
本調査も第126回目となりました。調査開始から10年超が経過し、データの蓄積が進んできました。今後については、毎月定点観測で実施する調査結果を基に、予想DIの時系列比較から見出せるFX投資家の相場観の変化やその傾向などのほか、中長期的な視点に基づいたFX投資家の投資スタイルの変化などの考察も進めて行きたいと考えています。
なお、毎月の本調査においては、公表扱いとしている質問項目及び回答結果の他に、「投資家の属性」、「取引頻度」、「取引規模」、「取引時間帯」、「投資選好」など、投資家実態を把握するために必要な各種の質問項目も設けて集計しています。それらの回答結果を用いた投資家の実態報告や属性別のクロス・セクション分析等については、当研究所が1年に1回、毎年年央以降に公表する「外為白書」で紹介する予定です。