(1)
トランプ米大統領は10月1日に発動を予定している対中関税の引き上げを10月15日まで延期するとツイッターで発信。これを受けて米中対立懸念が和らぐと円売りが強まった。
(2)
欧州中銀(ECB)は預金ファシリティ金利を-0.4%から-0.5%へ引き下げた他、11月から月間200億ユーロの債券買い入れを再開するとした。また、長期資金供給オペ(TLTRO3)の条件を緩和し、銀行の超過準備の一部についてマイナス金利を免除する金利階層化システムの導入を決めた。 市場予想を上回る規模の包括緩和の決定を受けてユーロ売りが活発化したが、ドラギECB総裁の会見中に下げ止まると、その後は急速に切り返した。材料出尽くし感によるユーロ買戻しに加え、ドラギ総裁がマイナス金利の副作用に言及した事などが切り返しに繋がったと見られる。
(3)
米8月消費者物価指数は前月比+0.1%、前年比+1.7%という結果であった(予想:+0.1%、+1.8%)が、食品やエネルギーを除いたコア指数は前年比+2.4%と予想(+2.3%)を上回り2018年7月以来の高い伸びとなった。また、米新規失業保険申請件数は20.4万件と予想(21.5万件)を下回り、約5カ月ぶりの水準に改善した。
(4)
米中通商問題を巡り、米大統領顧問らが追加関税の一部先送りや撤回につながる暫定合意案の提示を検討したとの一部報道を受けて再び円売りに傾いた。その後、ホワイトハウスがこの報道を否定したため円が買い戻される場面もあったが、欧米株が堅調に推移する中、円売りが再び強まった。
ドル/円の見通し
昨日のドル/円は終値ベースで約0.2%上昇。米中通商協議の進展を示す複数の報道でリスク・オンの流れが強まる中、108.19円前後まで続伸して8月1日以来の高値を更新した。欧州中銀(ECB)の利下げを受けたユーロ/円の下落に連れて107.50円台まで弱含む場面もあったが下値は堅かった。こうした中、ドル/円は本日も堅調推移が見込まれる。米8月小売売上高が予想以上の伸びを示せば108円台半ばのレジスタンス(年初来高安の半値水準が108.42円前後)突破を試す可能性もあろう。
来週には米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合が控えているため、金曜日にありがちなポジション調整による反落があっても不思議ではない。ただ、その場合でも日足一目均衡表の雲上限が位置する107円台半ばはサポートになりそうだ。