(1)
前日1日に米中が相互に関税を発動。米国は中国製品1100億ドル相当に15%の関税を賦課した一方、中国は米国産の農産物を中心に5-10%の追加関税を適用した(総額750億ドル相当の米製品を対象に2段階で実施)。これを受けてオープンと同時に円買いが入ったが、関税発動は想定内との見方から、円は早々に売り戻された。
(2)
中国8月財新製造業PMIは50.4と予想(49.8)を上回り、3カ月ぶりに分岐点の50.0を上回った。これを好感して豪ドルに一時買いが入った。
(3)
欧州市場に入るとポンドが軟調に推移。「英野党、合意なき欧州連合(EU)離脱を阻止する法案を今週提出へ」と報じられた他、「この法案が可決されれば政府への不信任案だと受け止める」との首相関係者の発言も伝わった。また、BBCは、ジョンソン英首相が今週中に早期の総選挙を呼びかける事も多くの選択肢の中のひとつだと報じた。
(4)
9月に開催予定の米中閣僚級通商協議について、交渉再開に向けた基本的な条件で両者はまだ一致しておらず、日程もまだ決まっていないとの報道が伝わると、対ドルや対豪ドルで円買いが強まる場面があった。
(5)
英国の「合意なき離脱」反対派議員は、EU離脱を2020年1月末まで延期するよう求める法案を提出する考えを明らかにした。これに対しジョンソン英首相は「EU離脱延期は的外れ」「決して自らはEUに離脱延期を要請しない」と発言。この発言は、「合意なき離脱」反対派の法案が議会を通過すれば緊急総選挙に持ち込む可能性を示唆したものと受け止められた。
ドル/円の見通し
昨日のドル/円は前日比約0.1%安の106.19円前後でクローズした。1日付けで米中が相互に関税を発動した事を受けて105.90円台まで下売りが先行。その後106.40円付近まで買い戻されたが、次回米中通商協議の日程調整が難航しているとの報道を受けて再び軟化した。
こうした中、米国株先物は本日早朝の取引で一時1%超下落している。アジア株安も懸念される中、ドル/円は上値の重い展開が続きそうだ。なお、本日のNYタイムには米8月ISM製造業景況指数が発表される。予想は51.2となっており、市場は前回からの横ばいを見込んでいる。米中貿易戦争の影響で世界的に製造業の業況が悪化しているだけに下振れした場合は株安・円高に繋がるリスクがあろう。