(1)
仏8月製造業PMI・速報値が51.0と予想(49.5)を上回ったのに続き、独8月製造業PMI・速報値も43.6と予想(43.0)を上回った。これらを受けてユーロに買いが入った。なお、ユーロ圏8月製造業PMI・速報値は47.0であった(予想:46.2)。
(2)
韓国政府は日本との軍事情報包括保護協定「GSOMIA」を破棄すると発表。両国の対立が鮮明化する中でも協定は延長されるとの見方が多かっただけに、市場は意表を突かれた形となり、リスク回避の円買いが一時強まった。
(3)
ドイツのメルケル首相が、英国の欧州連合(EU)離脱について「10月31日までにアイルランド国境のバックストップ(安全策)に関する解決策を見つける事ができる」 と述べて「秩序立った離脱」への楽観的な見方を示すとポンドが急騰。一方、フランスのマクロン大統領は英国のジョンソン首相との首脳会談に先立ち「現行の離脱協定案と非常に内容の異なる新たな合意案を、我々が30日以内に見出す事はない」と述べて楽観的な見方にクギを刺した。
(4)
米新規失業保険申請件数は20.9万件と市場予想(21.6万件)を下回り前週(22.1万件)から改善した。一方、その後発表された米8月製造業PMI・速報値は49.9と予想(50.5)に反して前回(50.4)から低下。2009年9月以来、ほぼ10年ぶりに節目の50.0を割り込んだ。
ドル/円の見通し
昨日のドル/円は終値ベースで約0.2%下落。ただ、値動きは106.20-60円台の比較的狭いレンジ内に留まった。市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が本日、米ワイオミング州ジャクソンホールで行う講演待ちとなっている。議長のスピーチ内容は7月米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で示したようなタカ派的なものとなる公算は小さいだろう。
ただ、米政策金利先物は9月18日の25bp(0.25%)利下げをほぼ100%織り込むとともに、年内のさらなる追加利下げも8割以上織り込むなど、市場の見方はきわめてハト派的だ。議長のスピーチがそうした市場の見方以上にハト派に傾く事は考えにくく、ドル安材料にもなりにくいと見る。短期筋の円買いポジションの積み上がりを考慮すれば、むしろドル高・円安に振れる可能性もありそうだ。もっとも、追加緩和期待の剥落で米国株や資源価格が崩れるようだと円が強含む事も考えられる。パウエルFRB議長の講演前後は資産市場の動向にも注意を払いたい。なお、スピーチは日本時間23時から始まる予定となっている。