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【海外特派員】メイ首相辞任へ。混迷するEU離脱問題の行方

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※本記事は2019/6/10にイギリス特派員により執筆されています。

メイ首相は6月7日、正式に保守党党首からの辞任を発表した。
これでメイ首相は次の首相が決定され次第、内閣を退く事になる。
先月行われた辞意表明の会見では、彼女なりの今までの思いが、涙交じりに語られた。
それをみた国民からは、「誰がやっても同じだった」と、意外にも同情する声が多かったようだ。
それもそのはず、EU離脱騒動はキャメロン前首相が招いた問題であり、予想に反して、離脱が決定した途端に、キャメロン前首相に辞任され、メイ首相は、その後始末を強いられたわけだ。
彼女にしてみれば、何とも不甲斐ない思いの2年9カ月だっただろう。

EU選挙で圧勝したブレクジット党

5月23日に欧州議会議員選挙が行われた。
EU議会に選出する議員を選ぶ選挙であり、EU各国で行われる。
本来であればイギリスは、この時期には、すでにEUから離脱をしている予定だったため、急きょ参加することとなり、きちんとした選挙キャンペーンや、立候補者たちの討論なども行われずに投票となった。
その結果、ナイジェル・ファラージ氏が率いる新政党のブレグジット党が、英国の議席枠73のうち29議席を獲得して圧勝した。
ブレグジット党は、ファラージ氏が以前党首であったUKIP党(英国独立党)からの移籍議員が多く、ブレグジットの投票結果を尊重し、EU離脱を実行するべきだという、離脱派を呼び集めて結成された党である。
ファラージ氏は前回2014年の欧州議会議員選挙の際にUKIP党を台頭させ、内閣にEU離脱の国民投票を迫った立役者である。
2014年のEU選挙では、UKIP党が一位になった。
1910年以来初めて、2大政党(保守・労働党)以外の政党が、全国規模の選挙で一位となり、当時の連立政権であった内閣は、このような新勢力が野党側に回ってしまうことを恐れて、「EU離脱はない」という予想のもとに、離脱の是非を問う国民投票を行ったが、結果的に大誤算に終わったというのが、この離脱騒動の始まりである。

EU選挙と国政はあまり関係がない?!

今回のブレグジット党の勝利を聞いて、「えっ!イギリスは新勢力が国政を担うことになったの?」と思われた人もいるのではないだろうか。
確かに今回のEU選挙において、ブレグジット党が29議席を確保したの対し、労働党は10議席、与党の保守党はたったの4議席しか獲得できなかった。
保守と労働の2大政党が、多くの議席を失っており、ブレクジット党のみならず、自由民主党や緑の党などが、その分の議席を大幅に増やしたことは、一連の離脱に関する国会での与野党の論争が、何も導けていなかった事実が、明らかになったのだと思う。

離脱反対派票が分散

今回のEU選挙では、プロEU派(EU支持派)か、アンチEU派かで投票が分かれた。
プロEU派の票は、それぞれの党に分散されてしまう反面、今回のブレグジット党のようにアンチEUだけをテーマに掲げた党は、アンチEU票を獲得しやすかった。
EU離脱の渦中にあるイギリスでは、投票者がEU選挙で投票する理由が、離脱問題に限られてしまったことも確かである。
また、EU選挙においては、日々の生活に直接影響するアジェンダが少ないせいか、投票率は低く、今回も34.9%だった。
EUに対して"物申したい"アンチEU派の人たちが、投票する割合が高いのも、ここ数回のEU選挙の結果からうかがえる。
ちなみに国会議員を選出する総選挙の際の投票率は、約2倍の68.8%である。
ブレグジット党は今回の選挙前にできた政党なので、国会議員はまだいない。
また、前回勝利したUKIP党も、現在は国会議員を選出できておらず、EU選挙で勝利した2014年でも、わずか2名のみの国会議員しか選出されていない。
この事実から考えると、EU選挙での勝利が、国政の場において、直接的に影響力を高めることはないだろうとされている。

ブレクジットの話は一時中断

メイ首相の辞任やEU選挙で、今年4月に6カ月間の延長が決まったEU離脱期限ではあるが、その後、何も進展もないまま、また数カ月が経過してしまう事になった。
新首相が決まるのは7月22日の週なので、8~10月の3カ月で、新内閣はブレグジットの解決策を導き出さないといけない。(通常、8月は国会の夏休み期間なので、実質的にはさらに短期間で解決しなければならない) イギリス国内では、「同意なき離脱でいいのではないか」という楽観的な声が多くなってきている印象が私にはある。
その背景は、3年前に実施された国民投票の前から、何度も「イギリス経済は悪化する」というようなネガティブな予想がされてきたにもかかわらず、イギリスの景気や失業率、インフレ率が安定してきたからだろう。
離脱投票前に、当時の財務大臣だったジョージ・オズボーンは、「ブレグジットとなった場合、経済の"アルマゲドン"となり、国民投票から2年後には、高いインフレと急激な不況に陥り、失業率も上がる」と述べた。
しかし、この3年間、経済の先行きに不透明さはあるものの、イギリスの失業率は下がり、インフレ率も安定的で、なおかつ、EU圏を上回る成長を達成しているのだ。
新首相の登場まで、ブレクジットの話は一時中断ということになりそうだ。
ただ、新首相の選択にイギリスの未来がかかっていることは間違いないだろう。

 

PickUp編集部 イギリス特派員
S・K氏
日本の高校を卒業後、ロンドンの私立大学メディア学部に留学。同大学卒業後にメディア関連企業に就職。その後、ロンドン都心部の不動産仲介業を経験、現在は海外(英国外)の投資家を相手に、不動産コンサルタントとして活躍している。英国在住18年。