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【2026年最新ドル円相場見通し】日経平均7万円は来るか?イラン情勢がマーケットに与える影響を武者陵司氏が徹底解説《武者陵司×神田卓也》前編 2026年4月10日

はじめに

今回は武者リサーチ代表の武者陵司氏をお招きし、インタビュー動画を撮影しました。イラン停戦合意後のマーケットを中心に、原油・金・日本株・ドル円相場・高市政権の経済政策まで幅広くお話をうかがいました。

【必見!】武者陵司氏の解説動画

 

 

停戦合意とマーケットの反応

― 2月28日にアメリカとイスラエルがイランに侵攻し、4月8日に2週間の停戦が決まりました。マーケットは株高・原油安・ドル安・金高という反応を見せていますが、この停戦合意についてどうご覧になりますか?

 

イラン情勢のマーケットへの影響

 

私は当然の結果だと思っています。端的に言えば、アメリカとイスラエル対イランという構図は、もともと「喧嘩にならない」力関係なんです。イランがホルムズ海峡を人質にとって長期抵抗するシナリオは現実的ではありませんでした。

理由は明快です。ホルムズ海峡を閉鎖して利益を得る人は一人もいない。イラン自身の原油もホルムズを通して中国に輸出しているわけですから、閉鎖は自らの首を絞めるに等しい。湾岸諸国にとっては経済破綻を意味します。さらに紅海を特定の勢力が長期支配することはあり得ない話です。

加えて、アメリカとイスラエルはホルムズ海峡にほとんど依存しない国です。アメリカは世界最大の産油国でもある。つまりイランの戦略は、相手にダメージを与えられない構造だったのです。

原油価格動きを見ても、期近物は急騰したものの期先物はそこまで上昇してない。「多くの専門家が事態の本質を見ずに騒ぎすぎた」、あるいはトランプ政権への反発から、フェアな評価がなされなかったと感じています。

原油価格はどうなる?

― 戦争勃発後、原油先物の近物が一時1バレル110ドルを超え、国内でガソリン価格が1リットル200円を超える地域も出ました。今後の原油価格をどうご覧になりますか?

早晩60ドル台が見えてくると見ています。戦争前の水準に戻ると考えていいでしょう。

再び戦闘状態に陥る可能性は極めて小さい。最大の理由は中国です。中国はイラン産石油の約9割を購入しています。アメリカとイランが長期対立すれば、中国はイランからの原油が入ってこなくなる。ベネズエラのケースと同じく、中国にとって戦略的に極めてマイナスです。

加えてトランプ氏が5月14〜15日に訪中し、首脳会談が予定されています。それ相応の中身がなければ国賓待遇での会談など実現しません。イランのホルムズ問題について米中が何か「握って」いる可能性が高い。この問題は第三次石油ショックや大規模な世界的軍事衝突とはならず、局地的な係争に終わると思います。

また、サウジアラビアがアメリカと共に原油価格を引き下げる方向に強い意欲を持っています。「エネルギー価格が高止まりしてインフレが続く」というシナリオは崩れると見ています。

金(ゴールド)の下落、なぜ?

― イラン攻撃直後に金が一時4,100ドル台から約20%急落する「有事の金売り」現象が起きました。これはどう解釈するべきでしょうか?

金の値段はひとつの論理だけで解釈するのが難しい商品です。ただ一点だけはっきり申し上げたい。「金が買われる=ドル売り、金が売られる=ドル買い」という一般通念は必ずしも正しくないということです。

 

金価格とドルの実質実効レートの推移

 

1970年代以降のデータを見ると、ドルが売られて金が買われたという相関が明確に見られたのは、2011年の大底からのドル回復局面のみです。それ以外の時期には特段の逆相関はありませんでした。

 

ドルの供給量と金価格の関係

 

では金価格は何で決まるのか。私はドルの供給量(信用創造の量)によって決まると考えています。信用創造が活発になりドルの供給が増えると金が上がる。これはドルが弱くなることを意味するわけではなく、むしろドルとアメリカ経済が強い局面でも金が上がることがある。「ドルと金は裏表」というセオリーは修正が必要だと思います。

日本株の見通し

― 武者さんは一貫して日本株に強気です。ご著書では「日本株の価格推移は地政学の影響を受けてきた」と書かれています。強気目線に変化はないでしょうか?

変化はありません。イランの問題が解決に向かいつつある今、年末に株価7万円というレベルが視野に入ってきたと思います。

 

日本株の見通し

 

2024年には植田ショック、直近ではトランプショックで株が下がりましたが、その後の大きなリバウンドという構図は今回も繰り返す可能性があります。ただ条件があります。高市政権が積極財政政策を打ち出し、日本経済の潜在成長率を押し上げるという確信を市場に与えられるかどうかです。

― PERが20倍を超える場面もありましたが、割高感はないのでしょうか?

全くありません。金利水準はまだ2%にも達していない。配当利回りと比較しても株の方がまだ有利で、さらに社内留保による資産価値向上も加わります。株のリターンが債券や預金を圧倒的に上回っていることは明白な事実です。

 

著しく拡大した利潤率・利子率ギャップ

 

もっと重要なのは企業の利潤率です。現在の固定資産純利益率は16%、政策金利は1〜2%。この空前のギャップが不均衡を生んでいます。家計が保有する金融資産のうち、1,000兆円は現預金です。これはデフレ時代の遺産であり、今やインフレ時代に「非理性的な投資行動」と言っていい。

この資金が株式などのリスク資産に移動し始めた今、壮大な需給相場がやってくる。PERもピーク時には30倍まで行く可能性があると見ています。1989年のバブル前夜の日本のPERは60倍付近でしたからね。

高市政権と積極財政

― 2026年度予算が成立し、過去最高の122兆3,000億円となりました。積極財政と評価されますか?

これは積極財政とは言えないと思います。概算要求の枠組みは前の石破政権時代に定められたものが大半で、しかもプライマリーバランスが黒字という財政引き締め気味の予算です。本当の意味での高市さんの政策は、6月の骨太の方針以降、来年度概算要求(8月〜)から始まる。本領はそこからです。

重要な問題提起をしたい。アベノミクス以降で一人だけ取り残されているのが国民の生活です。株価は5倍、企業利益は2.5倍になった。しかし個人消費が最も良かったのは12年前の2014年です。国民生活だけが一番良かった時から悪化し続けているような国は日本以外どこにもないと思います。

 

急増した税収と国民負担率

 

原因は明快で、国民負担率の急上昇です。アベノミクス直前の2011年に38.8%だった国民負担率が、2022年には48%に達した。10年間で約10ポイント上昇した。消費税の引き上げ、社会保険料の引き上げが国民の可処分所得を静かに蝕んできたのです。

さらに驚くべき事実があります。日本は2024〜2025年とG7の中でGDP対比の財政赤字が最も小さい国なんです。毎年5〜10兆円の税収上振れが続いているのに、その果実が国民生活に還元されていない。これが最大の政策課題です。「責任ある積極財政」の本領が骨太の方針以降に発揮されるかどうか、注目しています。

インタビューを終えて

停戦合意を「当然の結果」と位置づけ、原油は60ドル台へ、日経平均は年末7万円が視野に入ると武者氏は分析。企業利益と税収が倍増する一方、個人消費だけが12年前から改善されていないという鋭い指摘は、高市政権への期待とともに、財政政策の本質的な転換を求める声として重く響きます。記事後半では、AI革命と雇用・米中関係の大転換・ドル円相場の見通し・個人投資家へのメッセージをお届けします。

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yoshizaki.jpg武者陵司氏
1973年横浜国立大学経済学部卒業後、大和証券(株)に入社。 1988年~1993年ニューヨーク駐在、(株)大和総研アメリカでチーフアナリスト、米国のマクロ・ミクロ市場を調査。1997年ドイツ証券(株)調査部長兼チーフストラテジスト、2005年ドイツ証券(株)副会長を経て、2009年(株)武者リサーチを設立。 著書に『株価7万円の最強日本経済』等がある。

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