
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2026年1月30日 19時13分
米雇用年次改定次第でドル円150円割れの危険も
米ドル/円、前週から7円超下落
米ドル/円は前週比で約7円超の下落となりました。日米協調介入への思惑を背景に円買い戻しが強まり、米ドル/円は153円前半へと下落。その後、米ミネソタ州での緊張の高まりや、トランプ大統領による米ドル安容認発言を受けた米ドル売りが加わり、下落幅は152.094円まで拡大しました。
下落一巡後は、景気判断を上方修正したFOMCを受けて154.053円まで反発したものの、先行き不透明感が払拭されず、戻りは限定的で153円前半へ再び押し戻される展開となりました。ただし、FRB議長候補の中でトランプ氏の影響が相対的に小さく、柔軟な政策運営が期待されるウォーシュ氏の指名観測や、米連邦政府の閉鎖回避への期待が高まったことで、米ドル/円は154.129円付近まで持ち直すなど、直近の安値圏で不規則な値動きが続きました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
米経済指標がドル安の防波堤となるか注視
■介入警戒は残る
市場では依然として日米協調介入の可能性が意識されており、為替市場のボラティリティを高める要因となっています。過去にはレートチェック実施後1週間前後で実弾介入が行われた例も確認されているため、来週にかけても日米通貨当局のスタンスが主要テーマになるとみられます。このため、米ドル/円は下方バイアスを維持しやすい状況が続くと考えます。
一方で、足もとの米ドル安についてはファンダメンタルズとの乖離を指摘する声も増えています。前週半ばに顕在化したドル安要因は週後半には後退し、短期的なフロー主導の動きには巻き戻しもみられました。米金利の実質水準や景気サイクルを踏まえると、米ドル安が持続的なトレンドへ移行するには、追加的なマクロ要因の裏付けが必要と考えられます。
■米雇用年次改定に注目
来週は米主要指標が相次ぎ、特に6日の雇用統計と年次改定値が政策判断に大きく影響する見通しです。パウエル議長は政策判断においてインフレよりも労働市場を重視する姿勢を示しており、同氏が指摘した「雇用増加数の過大評価」は労働市場の実勢評価に不確実性をもたらしています。仮に過大評価が事実であれば、昨年の労働市場は実質的に雇用減少局面にあった可能性があり、3月追加利下げ観測が強まる余地があります。
一方で、過大評価が確認されない、あるいは改定値が強めに出た場合には、金利据え置き観測が強まり米ドルの買い戻しが進む可能性があります。総じて、米ドル/円は政策要因と米マクロ指標の再評価が交錯し、不規則な値動きが続きやすい局面にあるとみられます。
154.82円の攻防が短期のトレンド判断の節目(テクニカル分析)
米ドル/円は152.00円割れを回避し、154.00円付近まで反発しています。今後、戻り基調が継続するかを判断するうえでは、まず直近下落幅の38.2%戻しに相当する154.82円水準を明確に上抜けられるかが重要な分岐点となります。同水準を突破できれば、次のターゲットとして半値戻しとなる155.66円が意識され、戻り余地拡大の可能性が高まります。
一方で、154.82円付近で上値が抑えられる場合には、戻り局面の勢いが鈍化し、再び152.00円割れを試す展開が強まるリスクが高まります。この場合、下値メドとして150.00円を意識しながら下方リスクが強まっていくと見られます。
総じて、米ドル/円は重要なテクニカルの節目を前に方向感を探る局面にあり、154.82円の攻防が短期的なトレンド形成における主要な判断材料となりそうです。
【米ドル/円チャート 日足】

出典:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:USD/JPY:151.000-156.000
2/2 週のイベント:

一言コメント
米トランプ大統領は、イランに対し核合意をめぐる交渉再開を要求し、応じない場合は攻撃もあり得ると警告しています。中間選挙を控えた共和党支持層へのアピールの側面も考えられますが、中東情勢は依然として不安定な状況が続いています。
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