
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2026年1月23日 20時00分
本邦の財政政策をテーマに円急騰への警戒は徐々に後退か
ユーロ/円・ポンド/円、高値更新後に急落
ユーロ/円とポンド/円は、グリーンランドを巡る対欧州関税の話題から、リスクオフの円買いが進み、ユーロ/円は182.733円、ポンド/円は210.664円まで下落しました。しかし、自民党をはじめ各政党が消費税軽減を選挙公約に掲げる姿勢を示すと、財政健全化の遅れが意識され、円が売られやすくなり、ユーロ/円は185.53円レベル、ポンド/円は213.488円まで上昇しました。その後は米ドルの買い戻しの影響から、方向性は定まりにくかったものの、本邦の財政運営や金融政策を巡り円安期待が広がったことから、ユーロ/円が186.872円とユーロ導入後の最高値を更新し、ポンド/円は214.850円まで上昇しました。しかしながら、植田日銀総裁の会見後に、急速に円が買い戻され、ユーロ/円は184.717円、ポンド/円は212.402円まで急落しました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
円動向が相場の波乱要因となる可能性もある
■ユーロの見通し
来週は、フランス、ドイツなどで10-12月期GDPが発表されます。ECBによる一連の利下げの効果から、全体的には域内の経済成長が広がっていると見られます。また、トランプ大統領の欧州関税が撤回され、欧米の対立激化懸念が後退したこともユーロを支える材料とみられます。
ただ、トランプ大統領は「欧州諸国が株や債券などの米国資産を売却した場合、米国は『大きな報復』に踏み切る」と述べており、先行きに対する不安は残っています。また、シカゴ通貨先物市場におけるユーロのネットポジションはロングが減少しており、この点はユーロの上値を抑えそうです。
とはいえ、ECBが金利の調整を急がない姿勢を示しているため、ユーロは全体としては他通貨の動向に左右されやすくなると見られます。ユーロ/円は本邦の政治動向や金利動向を受けた値動きが警戒されます。
■ポンドの見通し
英国の12月消費者物価指数は前年比3.4%と、11月の3.2%から加速し、英インフレ率の高止まりが続いていることが明らかになりました。ただ、今後は前年に引き上げられた公共料金の効果がなくなるため、物価上昇の勢いはこの先、数カ月で急減速する見通しで、ベイリー総裁は4月か5月にはインフレ率が中銀の目標である2%近くまで低下するとの見方を示しています。
この見通しに沿えば、追加利下げの議論が少しずつ高まることが予想され、ポンドの上値を抑制する材料になると考えています。一方、ポンド/円については引き続き本邦の政治の話題が市場のかく乱要因になると見られます。
ユーロ/円とポンド/円、トレンド転換はしていない(テクニカル分析)
■ユーロ/円:21日線や183.77円付近で下げ一巡を期待
ユーロ/円は、21日移動平均線を支持線とし、186円半ばまで上昇していて地合いは堅調です。高値更新が続いているため、上方向はテクニカルな節目が見当たらない状態ですが、1月14日高値185.571円から1月19日安値182.733円の下落幅の倍返しとなる188.409円や、心理的節目の190.00円が意識されると考えています。21日線(184.18円、執筆時点)やその次の安値183.767円付近では、少額でも打診的に買いを検討したいと考えています。
■ポンド/円:ボックスの上下限の動向確認
ポンド/円も右肩上がりの推移が続いており、全体的に底堅い展開と言えます。ただ、今年以降のチャート形状を見ると、210.00円~214.00円のボックスを形成する可能性もあるため、売買ポイントは慎重に選びたいです。ボックス上限の214.30円手前では戻り売り、超えたら買い。ボックス下限の210.301円付近では押し目買い、下抜けなら売りを検討したいと考えています。
【ユーロ/円チャート 日足】

出典:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:EUR/JPY:183.500-188.500
【ポンド/円チャート 日足】

出典:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:GBP/JPY:210.000-216.000
1/26 週のイベント:

一言コメント
日銀会合はあまり盛り上がりませんでしたね。でも、会合後は大盛り上がりで、疲れる1週間でしたね。来週も神経質な展開が続きそうです。
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