
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2026年1月23日 20時00分
本邦の介入姿勢見極めつつ円安継続なら160円も、米FOMCは脇役か
米ドル/円、総裁会見後に急変動
米ドル/円は乱高下する展開になりました。トランプ米大統領が「米国がグリーンランドを取得するまで欧州8カ国に追加関税を課す」と表明したことでリスク回避の円買いが先行し、米ドル/円は157.419円まで下落しました。その後、高市首相が早期の解散総選挙を表明。加えて食品にかかる消費税を時限的にゼロにする施策を検討するとしたため、財政懸念が想起され、米ドル/円は158.604円まで反発。加えて、トランプ米大統領が対欧州関税を撤回したことや、植田日銀総裁の会見が追加利上げのトーンを高めなかったため、米ドル/円は159.224円まで上昇幅を拡大しました。しかしながら、159円台では投資家の円買い介入への警戒心が高まると、157.303円まで急落するなど不安定な値動きが続きました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
米FOMCは脇役、主役は本邦政治か
■慎重姿勢から変化はあるのか
来週は米FOMCが開催されます。金利は据え置きが見込まれています。そのため注目は物価や雇用に対するパウエルFRB議長の見解となりそうです。インフレについては抑制された状態が続いていることもあり、それほど懸念されないと思われますが、雇用情勢については少し事情が違います。パウエル議長は「最近のアメリカの雇用増加数が1月当たり6万人程度、過大評価されている可能性がある」ことを示唆しています。そのため、25年の雇用者数の増加はゼロに近いのではとの予測を示しています。1月の雇用統計を受けてこれがどのように変化したのか注目されます。
また、1月末に期限を迎える米暫定予算については、歳出法案がすでに下院を通過し上院へ送られているため警戒は緩んでいるものの、上院での審議が滞れば不安材料として残る可能性があります。
■外国為替平衡操作の実施状況にも密かに注目
とはいえ、市場の目線は日本政府や総選挙の動向に移行しており、ドルの変動よりは円の動向が米ドル/円相場の行方を見通す上で重視されそうです。選挙戦序盤で与党が劣勢に立たされている場合、どの政党も単独で議会の過半数(多数)の議席を獲得できないハングパーラメントが意識され、法案成立の遅れや予算通過が遅れるなどの弊害を意識しながら、政府・日銀による円買い介入のレベルを確かめに行くことになりそうです。現時点では、疑心暗鬼から米ドル/円の上値を試しにくい状況にはありますが、財政運営への思惑や日銀の追加利上げペースが速まらない現状を踏まえれば、緩やかに円売りが再燃してくるのではないでしょうか。
ただし、30日には財務省から1月分の外国為替平衡操作の実施状況が報告されます。23日の円急騰が実弾介入であることが明らかになれば、改めて市場の動揺を誘い円が買い進められる展開も考えられます。
調整期間過ぎれば再び上方向(テクニカル分析)
■ 157.00円割れからは慎重に買いポイント見極めたい
米ドル/円は157.303円まで下落したものの、各種トレンドラインが右肩上がりの推移を続けており、直ちにトレンド転換するとは言えない状況です。足もとの下げは上昇ペースが速かったことに対する調整的な動きの範疇にあると考えています。期間21日のボリンジャーバンドの-1σ156.46(執筆時点)あたりでは、調整が一服するのではないかと見ており、157.00円割れからは慎重に押し目買いのポイントを見極めたいと考えています。
【米ドル/円チャート 日足】

出典:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:USD/JPY:156.000-160.500
1/26 週のイベント:

一言コメント
27日公示、2月8日投開票の衆院選における投票所の入場券の発送が遅れる地域が多数発生するようです。表明から選挙までの期間が短期間だったことが要因だそうで、色々と今回の選挙の弊害は出ているみたいですね。
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