
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2025年12月26日 15時50分
口先介入による調整も、日銀追加利上げ後ずれ観測で下値は堅い
ユーロ/円・ポンド/円は底堅い推移を継続
ユーロ/円とポンド/円は、総じて底堅い展開となりました。本邦通貨当局者による円安牽制発言を受けて円買い戻しが進み、ユーロ/円は183.216円、ポンド/円は210.053円まで一時下落しました。
しかし、東京都区部CPIの鈍化を受けて日銀の追加利上げ時期が後ずれするとの見方が再浮上し、ユーロ/円は184.42円付近、ポンド/円は211.40円付近まで反発。加えて、米ドルに対してユーロ・ポンドが底堅く推移したことも、クロス円の下支えとなりました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
ユーロ・ポンドは期待先行の側面も
■ユーロの見通し
ドイツの拡張的な財政政策が景気を下支えするとの期待が、ユーロの買い材料となっています。ユーロ圏の製造業・サービス業PMIが、こうした期待感を反映して改善を示すかが次の焦点です。
市場心理がさらに前向きになれば、ユーロは上昇幅を広げる余地があります。
ユーロ/円については、日銀の追加利上げ期待が後ずれするとの観測が上昇要因として働いています。実弾介入への警戒感は残るものの、スムージング・オペレーションの範囲を超える動きにはなりにくいとの見方が優勢です。人口減少や積極的な財政運営など、構造的な円安要因も背景にあります。
そのためユーロ/円は、急騰局面では高値掴みを避けつつ、押し目形成時には丁寧に買い場を探る戦略が有効と考えられます。
■ポンドの見通し
製造業・サービス業PMIは改善傾向を示し、英経済への期待感は広がっています。一方で、消費関連指標や製造業の生産データは力強さを欠き、期待と実体経済の間にギャップが見られます。
今後の経済指標がこのギャップを埋めるのか、あるいは期待感が後退するのかが注目点です。
一部では、足元の景気停滞を受けて英中銀の追加利下げ時期が前倒しになる可能性も指摘されており、ポンドの上値を抑制する要因となり得ます。
ポンド/円は円安基調を背景に底堅さを維持していますが、過熱感からの調整には引き続き注意が必要です。
ユーロ/円とポンド/円、高値掴みを警戒(テクニカル分析)
■ユーロ/円:185円~186円付近までの上昇も
ユーロ/円は、182.45円付近を通過する上向きの21日移動平均線が強い支持線となり、上昇基調を維持しています。
目先は186.00円付近が上値目標として意識されます。
ただし、21日線との乖離が拡大しつつあるため、いったん現状水準でのもみ合いを経て、21日線付近でのサポートを確認してから再上昇を試す展開も想定されます。押し目買いのタイミングには慎重さが求められます。
■ポンド/円:まずは割り切って少額だけ挑戦
ポンド/円は210.05円付近でサポートされ、211.00円付近まで戻すなど底堅い動きが続いています。
次の上値目標は211.73円、さらに214.72円が意識されます。
ただし、200日移動平均線との乖離が拡大しており、短期的な上昇ペースの速さも目立つため、一気に上値を追う展開よりは、緩やかな上昇を想定するのが妥当です。まずは少額から戦略的にポジションを取る姿勢が望まれます。
【ユーロ/円チャート 日足】

出所:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:EUR/JPY:181.500-187.500
【ポンド/円チャート 日足】

出典:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:GBP/JPY:207.000-214.000
12/29 週のイベント:

1/5 週のイベント:

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