
株式会社外為どっとコムの完全子会社である株式会社外為どっとコム総合研究所(以下、「外為どっとコム総研」、本社:東京都港区、代表取締役社長:竹内 淳)は、個人投資家の外為投資に役立つ外国為替情報の調査・研究を行なっております。今回、FX投資家の実態を調査しましたので、お知らせします。
初の女性首相誕生、円キャリートレードは新興国通貨に限定 USD(米ドル)売り超に転じる 【外為どっとコム総研FX投資家調査2025年10月】
一般社団法人金融先物取引業協会 FX投資家動向まとめ
取引額は約1221兆円(前月比 約28.19%増)
2025年10月の店頭FX月間取引金額は約12,213,531億円(=約1221兆円)で、9月の約9,527,486億円(=約953兆円)から前月比約28.19%増加した(金融先物取引業協会公表資料、2025年11月17日)。主要通貨ペアではUSD/JPY(米ドル/円)の取引額が前月比で約28.4%増加し、全体を牽引した。
当月末の店頭取引における未決済ポジション残高は合計95,363億円(=9兆5363億円)で、前月の99,206億円から約3.87%減少した。内訳は売建玉50,066億円(前月43,181億円)、買建玉45,297億円(前月56,024億円)。この結果、買建玉が減少したことが未決済残高の減少をもたらしている。 USD/JPY(米ドル/円)のポジショニングは、月間を通じてUSD(米ドル)のロング優勢(ロング超)からショート優勢(ショート超)へと傾いた。
取引金額上位5通貨ペアは、USD/JPY(米ドル/円)・GBP/JPY(ポンド/円)・AUD/JPY(豪ドル/円)・EUR/JPY(ユーロ/円)・EUR/USD(ユーロ/米ドル)の順。

図1.取引金額とポジション計
(出所)金融先物取引業協会の「店頭FX月次速報」をもとに、当社が作成
左軸-取引金額、右軸-ポジション計
グラフ中のデータ単位は百万円
株式会社外為どっとコムFX投資家動向2025年10月
実現益を出した投資家の割合は3カ月連続で6割超
FX口座数が88万件に迫る株式会社外為どっとコムの協力の下、2025年10月のFX投資家動向を調査した。
【調査概要】
調査対象:株式会社外為どっとコムのFXサービス「外貨ネクストネオ」利用者(約88万口座)
調査機関:株式会社外為どっとコム総合研究所
調査対象:調査期間中にFXサービス「外貨ネクストネオ」の新規口座開設およびFX取引をした顧客
調査期間:2025年10月1日6:00 ~ 2025年11月1日6:00
調査方法:対象期間中の取引データより抽出
(特定の個人を識別できないよう個人情報を匿名化した上で行っております。)
FX取引における実現損益
10月のFX取引において実現益を出した投資家の割合は63.9%と、9月の64.4%から0.5%ポイント減少した。直近3カ月は、回転を利かせながら、6割超の投資家が利益を積み上げている。

図2.取引参加者の損益
通貨ペア別取引者数
通貨ペア別取引者数のトップ10は、USD/JPY(米ドル/円)・TRY/JPY(トルコリラ/円)・AUD/JPY(豪ドル/円)・GBP/JPY(ポンド/円)・EUR/JPY(ユーロ/円)・MXN/JPY(メキシコペソ/円)・EUR/USD(ユーロ/米ドル)・NZD/JPY(NZドル/円)・ZAR/JPY(南アフリカランド/円)・GBP/USD(ポンド/米ドル)の順。上位の5通貨ペアの入れ替わりはなかった。
月末時点の未決済ポジションを見ると、USD/JPY(米ドル/円)が約7%減少したのに対し、MXN/JPY(メキシコペソ/円)は約7%の増加、TRY/JPY(トルコリラ/円)は約3%の増加となった。高市首相の「責任ある積極財政」を意識したJPY(円)売りへの期待もあったが、円キャリートレードの動きは新興国通貨の一部に限定された。
※現在の取引保証金額はコチラで参照いただけます。

図3.通貨ペア別取引者数
平均取引数量
FX投資家の1注文あたりの平均取引数量は4.7万通貨(47ロット)と、前月の4.6万通貨(46ロット)から増加。平均取引量は1~3月の平均47.3 ロットにほぼ並んだ。米国の通商政策の話題が落ち着きつつある中で、個人投資家のリスク許容度は持ち直し傾向が続いている。
USD/JPY(米ドル/円)であれば、1ロットあたり6,200円の必要保証金(11/17時点、法人口座除く)がかかるため、1注文を47ロットとすれば、1注文あたりの必要保証金額は約29万1,400円となる。TRY/JPY(トルコリラ/円)であれば、1ロットあたり200円の必要保証金(11/17時点、法人口座除く)がかかるため、1注文を47ロットとすれば、1注文あたりの必要保証金額は9,400円となる。
※現在の取引保証金額はコチラで参照いただけます。

図4.平均取引数量
口座の開設期間
取引をしたFX投資家の口座開設後の期間は、平均125カ月(10年5カ月)と、前月から伸びた。

図5.口座開設期間
FX投資の年齢分布
FX投資家を年代別に見ると、50代が32.4%でトップ。次に40代が29.5%で続き、以下、60代の15.4%、30代の11.6%と続いた。ミドル・シニア世代が7割を超える状態が続いている。

図6.取引参加者の年齢構成
FX口座開設者動向
新規にFX口座を開設した投資家は、40代が29.3%でトップとなり、その次は30代の23.2%、50代の21.3%、20代の15.2%と続いた。

図7.口座開設者の年齢構成
まとめ
2025年10月のFX取引は6割超の個人投資家が利益を積み上げた。利益を積み上げた投資家の割合は9月から低下したものの、直近3カ月連続で6割を超えている。ただし、USD(米ドル)ショートポジションが2割ほど増加しており、FX個人投資家の多数がコストの悪いJPY(円)ロングポジションを抱えて、スワップポイントを支払いながら、損益分岐点に到達するのを待っている状況と推察できる。さらなるJPY(円)安は、JPY(円)ロングを保有している個人投資家の投げを誘発し、JPY(円)安の追加燃料となる可能性がある点には留意したい。
10月の為替相場は、米国の短期的なネガティブ材料(つなぎ予算未成立による政府機関の一部閉鎖や9月米ADP民間雇用者数の下振れ)で月初にUSD(米ドル)が下落した後、日本の自民党総裁選とその後の政治展開をきっかけに急速なJPY(円)売りが進行。月後半にかけて米金融政策(10月FOMCの0.25%利下げとパウエル議長の利下げ牽制)と、日銀の利上げ見送り・総裁の慎重姿勢をからUSD(米ドル)高・JPY(円)安が加速して、月末にUSD/JPY(米ドル/円)は約154.45円の2月以来の高値を付けた。ただし、米国のつなぎ予算を巡る不透明感が意識されてJPY(円)売りの勢いは限定された。結局、JPY(円)安の流れは一部の新興国通貨に限定される格好になった。
※過去の調査結果は、マネ育ch( https://www.gaitame.com/media/ )よりご参照ください。
「投資家調査」カテゴリー
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